カリフォルニアの青い空 2
LAX、ロス・アンジェルス国際空港に到着、手続きを終えロビーに出てみるとすでに3時をまわっている。
箱崎で受け取った旅行社からの手紙を思い出す。
「ホテルの予約は5時を過ぎるとキャンセルされますので、チェックインが遅れる場合は
ホテルにその旨連絡をして下さい。」
手紙に問いかける、
「どうやって?」
ロスからサン・ディエゴまでどれくらいかかるのか調べてみたら、バスで3時間・・・
「5時過ぎるじゃん・・・」
ロビーから出るとタクシーを探す。(ポケットの「ホエア・イズ・ザ・バス・ステーション?」は通じなかった)
皮肉なもので、「テーク・ミー・トゥ・サン・ディエゴ。」は一発で通じた。
何が皮肉かというと、ロビーのすぐ外でタバコをふかしていた黒人の運ちゃんは自営の白タク屋さんだったのだ。
「サン・ディエゴ!?」
少し驚いた彼は、真っ白な前歯を見せて「トゥエンティ・ダラーズ!」と指を2本立てる。
ドルという通貨に慣れていない僕にでも簡単な暗算だ。「1ドル288円だから・・・・高くないよな・・・きっと」
とにかく時間がないので「プリーズ。」というと、
その運ちゃん今度は真っ白な奥歯まで見せると、さっさと僕の荷物をトランクに積み込み始めた。
親切な人だなぁと感心していたら、突然ピーピーと笛の音が聞こえてきた。
だんだん大きくなるその音は、やがて僕の耳元で止まった。
大きな黒人のおばちゃんが何か言ってる。服装からすると、そのおばちゃんは警官だ。
「何がバレたのかな?」被害妄想にひたる間もなく事態が飲み込めた。
あの運ちゃんは雲助だ!頭の中でひらめいても、僕には何もできない。
彼はせっせと僕の荷物を車に積んでいる。
荷物が積み終わると彼は、やはり笑いながら、何か言っている。
そして、彼とおばちゃんの対決。
映画で見たとおり、アメリカ人の口論というのは凄い。
もしかしたらこの2人は本当は仲が良いんじゃないか?というくらい顔を近づけて怒鳴り合っている。
口論に一区切りつくと、そのおばちゃんが僕に向かい彼を指差しながら「セイ・ノゥ!」と繰り返す。
「セイ」が解らないのだが、「ノゥ!」は解る。きっと「ノーと言え」と言ってるのだなと判断し、言ってみた。
運ちゃんは、今度は真っ赤な口の中を見せて、何かわめきながら車のトランクを指差す。
「自分で荷物を出せ!」と言ってるのだなと思い、積まれた荷物を全部出すと、彼は不機嫌そうに
あっちへ行ってしまった。
呆然としている僕に、おばちゃんは優しく何か言っている。
優しさに応えるために微笑んでいると、目玉だけで天を仰いだおばちゃんは僕の手をひき、
少し離れた所に止まっていたイエロー・キャブの所へ連れていった。
おばちゃんに「サンキュー!」と言い、今度は白人の、運ちゃんに「テーク・ミー・トゥ・サン・ディエゴ。」と言うと、
彼は「ワン・ハンドレッド・フィフティ・ダラーズ!」と指を15本立てた。 ・・・すみません、嘘です。
「150ドルかぁ・・・」今度は暗算できない額になった。
「セブン・スターが150円だから、高くないよな・・・」
自分に子供ができたら、ちゃんと勉強させようと心に誓いながら「プリーズ!」と言い、
「ファイブ・オクロック!」を連発すると、その運ちゃん最初変な顔をしていたが理解したらしい、
左の頬だけで微笑むと、ブルース・ウィリスのような声で低く「OK」と呟いた。