教え子と友人たちの取り組みの記録

Last Update 2004/02/06

哀悼

辻内鏡人さん

1954-2000

2000.12.20.

辻内鏡人さん傷害致死(容疑)事件に関する目撃情報の収集に協力してくださった全ての皆さん、そして辻内さんの死を悼み、その死の真相に関心を抱く全ての皆さんへ

さる12月4日午後8時25分頃、私たちの最良の友人であった辻内鏡人さんは、国分寺富士本1丁目の一方通行路で軽トラック(赤帽)にはねられて死亡しました。加害者は傷害致死の容疑で逮捕されました。容疑者は事件の直前に国立駅付近で辻内さんとの間でトラブルがあり、その後、現場で故意に辻内さんをはねたと供述したことが、事件の直後、新聞各紙、インターネット、ＴＶなどで報道されました。

12月14日より20日まで、一橋大学教職員･学生有志および辻内さんの死を悼むボランティアの皆さんのご協力を得て、私たちは、国立駅付近で加害者と辻内さんとの間で生じたとされるトラブルを中心に目撃情報を探すため、市民の皆さんに対してビラの配布や情報提供の呼びかけを行ってまいりました。のべ200人以上の方がこの活動に参加し、1万数千枚のビラを配布、追悼や激励を含めて100点以上の情報と証言が市民の皆さんから私たちのもとに寄せられました。冬の夜おそく寒風のなかビラの配布や情報の収集に努力された皆さん、そして情報を提供していただき、また私たちを激励していただいた市民の皆さんに深く感謝申し上げます。

私たちの活動を通じて収集したそれらの情報は、警察に適宜お伝えしております。その内容について、せっかく情報の収集活動に参加・協力してきていただいた皆さんにお伝えすることができないのはまことに残念ではありますが、刑事事件としてのこの出来事の性格上やむを得ないこととして、ご諒解いただきたいと思います。事件発生以来、警察は、私達が知る限り、立件に向けて適正に捜査を行っており、辻内さんのご家族および代理人の弁護士にも丁寧に接していただいております。辻内さんの死を悼み、事件の真相を一刻も早く知りたい気持ちから、多くの方が不安や苛立ちをお持ちになるのは当然ではありますが、今の段階で私達がとるべき態度は、冷静に捜査と裁判の行方を見守ることだと考えます。

私たちをこのような行動に駆り立てたひとつのきっかけは、一部とはいえ、事件直後の報道が、辻内さんについて事実と異なる不名誉なイメージを流布したことに対する怒りでした。この点については、私たちは、辻内さんの本当の姿を伝え、名誉を回復するため努力してまいりました。その結果、各紙に続いて、本日12月20日、朝日新聞朝刊･多摩版に、辻内さんの、教育研究者としての、また人間としての優れた人柄を伝え、真相を正しく知りたいと思う教え子と友人たちの思いを伝える9段抜きの記事が掲載されました。このように大きな成果をあげることができたのも、この行動に参加した皆さんひとりひとりの努力の結果です。深く感謝申し上げます。

本日をもって、ビラの配布は一応終結いたします。もちろん今後も、目撃情報の連絡先として指定されている一橋大学歴史共同研究室(Tel 042-580-8918)ならびに教員の中野聡が、情報の提供があり次第、辻内衣子さんおよびその代理人である弁護士の方にお伝えいたします。今後の展開について憶測をさしはさむことは避けたいと思いますが、予想される展開としては、12月25日前後に加害者の起訴の有無についての処分が明らかになるでしょう。ただしこの時点で明らかにされるのは、起訴の有無そして起訴される場合にはその罪状のみです。さらに１ヶ月余りを経て、起訴された場合には裁判が始まり、公判において事実が明らかにされることになります。私たちとしては、引き続き市民の皆さんからの情報を募り、適宜、警察に情報を提供して真実の解明に努力するとともに、公判の行方を見守りたいと思います。

一方、私たちには、辻内さんがまとめつつあった仕事を世に問う遺稿集や私たちの思いを伝える追悼集をまとめること、残されたご家族を支える輪を広げて行くことなど、まだ多くのやらなければならないことが残されています。ここに集われた辻内さんの友人の皆さんにも、引き続きご支援・ご協力をいただければ誠に幸いです。

あらためて、これまでの皆さんのご協力に深く感謝申し上げます。

最後に、辻内鏡人さんの死にあらためて哀悼の意を捧げるとともに、残されたご家族に心からお悔やみを申し上げます。

ビラ配布行動の呼びかけ人を代表して
一橋大学教員　中野　聡

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