ハワイ旅行記・会社から搭乗まで

BR> 11月10日(金):日本時間

 壁に掛っている時計が鳴った。12時だ。もう帰らないといけない時間だが、まだキリが悪い。どうしてもこれだけは、と思っている仕事がまだ残っているのだ。更に1時間が過ぎた。
「急がなきゃ」
 会社を出て、レンタル専門店に向う。レスーツケースのレンタル予約をしていたからだ。目的の店は表参道と渋谷の間にあると思っていたため徒歩で向うが、なかなか店がみつからない。あまり探す時間もないので店に電話をした。
「もしもし、場所がわからないので教えてもらえますか?」
 すると、電話に出た女性が答えた。
「今どちらですか?」
「道玄坂と明治通りの交差点の所です」
「それでしたら、東急プラザの先の横断歩道を渡って、246を三軒茶屋方面に向かった通り沿いにあります」
 やばい!最初からそこにあると分かっていたら絶対電車で来たのに!と歩いて来たことを後悔しても始まらない。急いで店に向かった。
 店は普通の事務所といった感じで、入り口にたスーツケースが置いてあった。「SSG様」と書かれた札が貼ってある。これが俺が予約したやつだな。
 店の人から付属品などの説明を受け、お金を払い、そそくさと店を出る。
 渋谷駅に着くと、既に2時になっていた。乗車予定の成田エクスプレスが東京駅を発車するのが17時03分だから、逆算すると15時半には家を出ないと間に合わないという計算になる。かなりヤバイ状態だ。
 家に着いたのは15時。駅前のファーストフードで買って来たハンバーガーを急いで胃に流し込み、準備を始めるが、30分しか時間がない。とにかく最低限必要なものは忘れないように考えながら、準備する。最悪でもパスポートと旅行会社から貰った書類さえあれば大丈夫だろうから、それらを確認して、いざ出発!時刻は15時45分になろうとしていた。
 新宿に着いたのは16時35分頃。これならなんとか17時03分の成田エクスプレスに乗車できそうだ。ホッと胸を撫で下ろすが、のんびりもしていられない。急いでJRの切符を買い、中央線のホームへ到着する。するとそこに悪夢のような事体が・・・・。
「16時○○分到着予定の中央線は、車内で急病人が発生したため、4分程遅れております」のアナウンス。・・・・・・、4分も遅れてるのか!折角間に合うと思ったのに!!一気に顔面から血の気が引いていく。自分が急病人になりそうな勢いだ。
「早く早く!」気ばかりあせる。
 しかし、自分がどんなに焦っても電車が速く到着する訳もないし、予定の電車に乗れなければ成田空港に到できない訳でもないと思いなおし、なんとか落ち着こうと努力するが、電車は一向にやってこない。
 結局電車は、予定より6分遅れて新宿駅に到着した。もう絶望である。4分の遅れでも危ないというのに、それが6分になってしまったのだから。”急病人”と家を遅く出た自分、そしてその原因にさえ怨みつつ、急いで電車に乗り込んだ。自分1人が急いだって、早く発車するはずないのに。
 のろのろ進む電車(自分にはそう思えた)は、やっと神田駅を出た。その時、待ち合わせをしていた友人の1人、UkiukiからPHSに電話が入った。
「もしもし、中央線が遅れちゃってさ、今神田を出た所なんだ」
「え、今神田なんですか」
「うん。とにかく向かってるから」
 本当にアセっていたので、いつもなら「もう、アカンだ」なんて寒いギャグでも飛ばすのだが、そんな余裕さえない。それから1分くらいで電車は東京駅に着いたのだろうが、その1分が何倍にも感じられた。
 さあ、東京駅に着いた。PHSの時計を見ると5時3分だ。この時計は2分程進んでいるので、もしかしたらまだ間に合うかもしれないと思い直し、とにかく急ぐことにした。
 重い荷物をかかえ、総武線のホームに向おうとするが、第一の難関のエスカレーターが待っていた。中央線のホームから下に降りるエスカレータに向って人がひしめき合い、全く乗ることができない。日頃は無理はしないのだが、この時ばかりは仕方が無い。「早く俺を乗せてくれ!」とばかりにぐいぐい押して、やっとエスカレータに乗れた。重い荷物を持ち、左側に凸凹に立っている人々にぶつかりながら、エスカレーターを駆け下りた。
 次に第二の難関である。
「あれ?成田エクスプレスは総武線のホームの何番線に停車しているんだろう?」
 更に顔面がら血の気が引く。成田エクスプレスの表示を探そうと思っても見つからない。が、迷っているヒマも落ち着いて探すヒマも無い。各線のホームの数は少ないので、とりあえず総武線の千葉方面のホームに走り降りることにした。
「やった!まだいた!」急いで掛け込もうとするが、更にあることに気が付いた。目の前の車両は7号車だ。自分が乗るのは何号車だ?急いで乗車券を見た。
「4号車だ!」
 目の前の7号車と隣のχ号車はお互い先端部であるため、行き来ができない。χ号車が6号車か8号車かによって、どっちに乗るかが決まるのだ。その時。
「間もなく発車致します」のアナウンスに続き、発車のベル。
「ヤバい!」
 急いでχ号車が何号車なのか確める。6号車だった。急いで飛び乗ると、背後でドアの閉まる音が聞こえた。
「ああ、間に合った・・・・・・・・」
 なんとか4号車辿り着き、動き出した車内で友達と感動の合流を果たすことができた。
 なんとか間に合った電車の中で、まだ書いていない書類(ハワイへの入国記録表など)を書かなければいけないことを思い出し、隣のKuniちゃんからボールペンを借りた。しかし、それまでのドタバタのおかげで右手が急性の筋肉痛になり、字を書くどころかペンを持つことさえ出来なくなっていた。隣ではKuniちゃんが自分の分の書類を書いている。
「ねえ、Kuniちゃん」
「なに?」
「俺のも書いてくれない?」
「えぇ〜、自分で書きなよー」
「今、荷物持って走ったら、ペンが持てなくなっちゃってさ・・・」
「もう、仕方無いなぁ」
 電車が揺れて書きにくそうだったが、ちゃんと書いてくれた。kuniちゃん、どうもありがとう。
 電車は東京駅を出てから50分少々で成田空港に到着。
 4Fのロビーの中央にあるモニュメントの近くのシートに座り、1人別ルートで来るEnoちゃんを待つ間、上着をスーツケースにしまうなどの準備をしていた。
モニュメントにて

 Enoちゃんも無事到着。早めに集合したので、十分時間があった。ツアーの手続きを済ませ、手荷物以外の荷物を預けて身軽になってから、軽く食事をすることにした。沢山ある店のうち、ロイヤルという店に入る。自分はパスタ系の食べ物(名前忘れた)と白ワインを頼む。右手でフォークを持つと、腕が痛んでブルブル震える。フォークを左手に持ち直し、食べることにした。

 飛行機は21:20発、NW22便
 さあ、いよいよ搭乗の時が来た!



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