今月のトピックス
2005年7月

スペインのアルタ・コシーナ(高級料理)界のトップシェフ
エンリケ・ダコスタ

Enruique DaCosta

  今、スペインの高級料理界では若手シェフ達が新しい考え方や調理法を次々と革新している。エンリケ・ダコスタはその最高峰の一人として今、最も注目されている。その彼の料理を食べに、レストラン、エル・ポブレEl Pobletに行って参りました。

エル・ポブレはバレンシアとアリカンテの中間に位置するデニアという地中海沿いのリゾート地にあります。自ら創造的だと自負する彼は、レストランや学校での修業経験はなく、全て独学で、本で調べ、レストランで食べた経験から学び、試し、研究しながら自分のものにしてきたといいます。レストランにも至る所に本が山積みになっていました。その創造の出発点は常に素材。素材の個性を見極め、直感を働かせて、火入れや味のイメージを組み立てる。納得がいくまで実験と分析を繰り返し、さらにそれにあう素材、季節感などを加えて完成させるという。

Gamba Roja de Denia al polvo de Carbon Vegetal y americana translucida

デニアのガンバ、もやしと透明なアメリケーヌソースと植物炭

彼を一躍有名にしたデニアのガンバ。デニアの赤海老(ガンバ)は世界で最上の海老だと言われています。普通のエビは水深500メートル以下には棲息しませんが、デニアのガンバは800〜1000メートルに棲み、透明なプランクトンと海草のみを食べているので、苦味がなく脂がのっています。デニアの街では伝統的にボイルするか、鉄板で焼きます。でも高温で焼くと、せっかくのエビのジュースと旨みが失われて固くなってしまいます。そこで彼はこのエビの最も旨みを感じる調理温度を研究しました。その結果80℃で15%の湿度にセットしたオーブンで2分間焼くと、熱が肉の中心と頭に充分に浸透し、全体は半生の状態にできることがわかりました。さらに、炭火で焼きたかったが火力のコントロールが問題だったため、香り付けのために中国の燻製茶と米の籾殻の炭を超微粒に砕いたものをかけたのです。それが“デニアのガンバ、もやしと透明なアメリケーヌソースと植物炭”と題した料理となったのです。

Cubalibre de foie con escarcha de piel de limones y rucula silvertre

フォアグラのクーバリブレ、レモンの霜と野生のルコラ添え

彼の代表作の一つ。フォアグラのクリームの上に煮詰めたコカコーラとラム酒のゼリーを流し、レモンのグラニサードをのせたもの。なめらかなフォアグラのクリームとクーバリブレの甘味の相性の良さに驚く。固定概念にとらわれない素材の組み合わせ方に感嘆。

Bayas semillas,brotes y legumbre germinadas a la brasa en translucido de panceta ahumada e higado de pichon

種、芽、豆、穀類の焙り焼き、仔鳩のレバー添え

ベーコンのコンソメベールがけ

発芽ものや穀類は、健康志向で日本でも最近よく見かけますが、こんなに高級なアルタコシーナになるとは・・驚きの一品です。モヤシを見直してしまいました。

とにかく彼の料理は素材に向き合い、直感と感性を生かし、とことんまで追求研究し、考え抜かれた料理でした。

Pan con tomate

Ostras dejada caer,con nueva “Alga Icebert”emulsion de bayas de ginegre a la pimienta brotes de mertensia

Huevo de Gallina de coral a 62°C con polvo de
Te de hierbas crones y consome de boletus

Arroz de almendras amargas y tiernas, cubierto de terciopelo de acelgas bordes

Arroz Senia de tripas de bacalao con coliflor y calabacin

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