PART6(99/10/01)


地獄耳

「静かにしなさい!」
「口をとじなさい!」

どんなに大きな声で言ってもちっとも子供達の耳には入りません。
「あっ!1組テレビ見てる!」
教室がシーンとなるとかすかに隣のクラスからテレビの音が聞こえてきました。

秘密の隠し場所

整理整頓が苦手な男の子。
その子の机のまわりはいつもプリントが落ちています。
机の中をみると案の定ギュウギュウ詰め。
そして机の中に入らなかったプリントは椅子につけてある座布団の下にはさんでいるのです。

なんだったっけなあ

「先生ディズニーランド行ったことある?」
「あるよ。楽しいよね。」
「うん。でも俺、こわい乗り物が好きなんだ。」
「先生はこわいのは嫌いだな。」
「ほら、あれバーベキュー。」
「何それ?」
「船のやつでこわいのあるでしょ。バーベキューって言うやつ。」
「もしかしてバイキング?」

何となくイメージは似ています。

楽しみ!

「先生!今度給食にステーキでるよ!」
「へーすごいね。」

別の男の子も
「先生!俺の誕生日ステーキがでるんだよ!」
また別の子が
「来週ステーキでるよ!」
「何とかステーキって書いてあるよ。」
子供達の間では給食ででるステーキへの期待が高まっています。

献立表には「生揚げステーキ」と書いてあります。

ありがとうは?

「のどかわいた〜。水筒もう空っぽだよ。」
「先生の余っているからあげるよ。」

自分の水筒からふたをとり私の前にさしだしたので麦茶を入れてあげました。

何も言わずにごくごくと飲みだしました。
「もらったら何か言うことあるでしょ。」

するとその子は一気に飲み干した後
「おかわり!」