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HELP! ヘルプ! 4人はアイドル CD:1987年4月30日 CP32-5324 LP(モノ・ステレオ) 1965年8月6日(イギリス) 1982年1月21日(モノ・日本) EAS-70134 1965年9月15日(ステレオ・日本) EAS-80554 |
収録曲(曲名をクリックすると詳細が表示されます) |
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1 | Help!
(Lennon-McCartney) ヘルプ! (2'18") |
レコーディング場所 プロデューサー エンジニア レコーディング日時 参加ミュージシャン アウト・テイク 「涙の乗車券」モノ・リミックス1 「Help!」モノ・リミックス1,2 「Help!」ステレオ・リミックス1 「The Night Before」ステレオ・リミックス2 「Yesterday」モノ・リミックス1 |
2 | The
Night Before (Lennon-McCartney) ザ・ナイト・ビフォア (2'34") |
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3 | You've
Got To Hide Your Love Away (Lennon-McCartney) 悲しみはぶっとばせ (2'08") |
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4 | I
Need You
(Harrison) アイ・ニード・ユー (2'28") |
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5 | Another
Girl (Lennon-McCartney) アナザー・ガール (2'05") |
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6 | You're
Going To Lose That Girl (Lennon-McCartney) 恋のアドバイス (2'18") |
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7 | Ticket
To Ride
(Lennon-McCartney) 涙の乗車券 (3'09") |
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8 | Act
Naturally (V.Morrison-J.Russell) アクト・ナチュラリー (2'29") |
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9 | It's
Only Love (Lennon-McCartney) イッツ・オンリー・ラヴ (1'56") |
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10 | You
Like Me Too Much (Harrison) ユー・ライク・ミー・トゥ・マッチ (2'35") |
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11 | Tell
Me What You See
(Lennon-McCartney) テル・ミー・ホワット・ユー・シー (2'36") |
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12 | I've
Just Seen A Face
(Lennon-McCartney) 夢の人 (2'04") |
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13 | Yesterday
(Lennon-McCartney) イエスタデイ (2'04") |
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14 | Dizzy
Miss Lizzy (L.Williams) ディジー・ミス・リジー (2'54") |
アルバム製作に至るまで
前年の映画「A HARD DAY'S NIGHT」と同様に、1965年も2作目の主演映画を撮ることになった。 タイトルは『HELP!』だが、当初は”BEATLES PRODUCTION 2”という仮タイトルがついていた。 3月17日には”EIGHT ARMS TO HOLD YOU”というタイトルに変更された。 しかしそのタイトルにふさわしい主題歌をジョンとポールが作れなかったた。 4月4日にジョンが”HELP!”という曲を作ったら、急遽『HELP!』が新作映画のタイトルに本決まりしたのだった。 そして撮影前に大急ぎで新曲のレコーディングに入り、クランク・インの2月24日までに、11曲が録音・ミキシングされた。 その11曲についてはレコーディング日記(1965年2月20日)を参照ください。
そして、映画の撮影と並行してレコーディングとミキシングが行われ、クランクアップ(1965年5月13日)後にノン・サウンドトラック面(B面)を仕上げた。 これも昨年同様。
アルバム・レコーディング
1965年2月15日から始まる「ヘルプ・セッション」から、録音方式が変わった! これまでは歌と演奏を同時に行ったものを録音してベストを選び、そこにオーバーダブをして完成させていた。 しかし、このセッションからは、リハーサルから録音して、その中から使えそうな(リハーサル)テイクを選び、それを聴きながら空いているトラックに正規の音を録音していくのだ。 そしてリズム・トラックを完成させる、つまりカラオケを作るのだよ。 そのリズム・トラックが完成したあと、リハーサル・テイクが入っていたトラックは必要なくなるので、そのトラックにヴォーカル、ピアノ、リードギター、パーカッションなどのオーバーダブをスーパーインポーズするのだ。 これらのオーバーダブには番号が付かないので、このセッション以降の海賊音源にはリズムトラックだけのものが多くなるのであった。 MTRなどで多重録音している方には分かるかもしれませんが、そうでない方、理解できますか? では簡単に説明しましょう(私は専門ではないので、間違っていたら教えてくだされ)。 下記をクリックしてください。
トッラクとチャンネルの違いと、録音方式の図解
ある資料ではギターを前面に出したギター・アルバムと書いてあったが、私(管理人)はそういう印象を持っていない。 もともとギターグループだしね。 このアルバムでは前作以上に多種の楽器を使用している。エレクトリック・ピアノ、ハモンド・オルガン、タンバリン、マラカス、カウベル、ボンゴ、クラベス、ギロなどに加え、外部ミュージシャンを雇ってフルート、バイオリン、ビオラ、チェロなども。 ジョンとポールのピアノも上手になってきたので、それらも彼らが演奏することが多くなっている。 そういったことからギターが前面というより、多種多彩な楽器を使用したという印象が強いのだ。 皆さんはどう思われるか?
ジョンのメイン楽器はまたギブソンJ-160Eのアコギだ。 「恋のアドバイス」ではアンプに通しているようだ。 珍しいところではアコギの12弦ギターを導入して「悲しみはぶっとばせ」「It's Only Love」でこの12弦アコギを使用している。 映画で「悲しみはぶっとばせ」でジョンが使っていたアレだ! またジョージも「夢の人」で使用している。 そういえば、ジョージが1964年アメリカ・ツアー時にリッケンバッカー社から12弦エレキ(リッケンバッカー360-12WB)をもらったとき(1964年2月8日最初のエド・サリバン・ショーの前日)、ジョンもリッケンバッカー325/12という、あのショート・スケールのままの12弦(すごいな・・・)をもらっている。 しかし使われたことはないようだ。 ちなみにポールもこの日リッケンバッカー4001ベースをもらっているが、使用し始めたのは次のセッションからだ。 話戻って・・・、ロック色の強い曲ではもちろんトレードマークのリッケンバッカー325JGを使用している。 しかしこのギターをレコーディングに使用したのはこのセッションが最後となる・・・。 あとピアネットNというホナー社エレピも演奏している。
ポールは相変わらずヘフナー500/1'63(バイオリンベース)がメインだが、すでに入手していたエピフォン・カジノを使って「涙の乗車券」「Another Girl」で演奏している。 また「夢の人」「イエスタデイ」ではアコギのエピフォン・テキサンを使用。 ギタリストとしても顔を見せ初めているが、ポールはもともとはギタリストなので! エレピを弾いてもいる。 マルチなのだ。
ジョージは代名詞のグレッチのテネシアンを引き続き使用。 しかし有名メーカーのフェンダー・ストラトキャスターを使い始める!! このアルバムでは5曲にて使用している。 さらに言えばエフェクターも使用し始めた!フット・コントロール式のトーン・ペダルとビブラートだ。 これまでのジョージのスタイルにはなかったことだ。 また12弦エレキ(リッケンバッカー360-12WB)も「涙の乗車券」で使用しているが、このギターを使用するのはこの曲が最後になる。 次回作「恋をするなら」で使った12弦はリッケンバッカー360-12という別のもの。 あとはジョンと同じギブソンJ-160Eを使っている。
上記の録音方式でふれたように、リズム・トラックを先に作り、後からギターやヴォーカルを入れることになり、ヴォーカルを入れるときは歌にだけ集中できるようになった。 そのため歌い方も余裕が出たというか、深みのある表現力のある歌い方になっている。 と思うのは私だけ? ヴォーカルで分けると、ヴォーカルとコーラスの掛け合いの曲が「Help!」「The Night Before」「恋のアドバイス」の3曲に増えた。 リード・ヴォーカルではジョンが6曲、ポールが5曲、ジョージが2曲、リンゴが1曲(カバーを除けば、曲を作った人が歌っている)。
曲構成など
自作曲ではジョンが5曲、ポールも5曲、ジョージが2曲となっている。 同時期製作のシングルB面は「Yes It Is」がジョンで1曲、「I'm Down」がポールで1曲。 アウト・テイク2曲「If You've Got Trouble」「That Means A Lot」はポールの曲。 曲数ではポールが上だが、シングル2枚の収録曲4曲を見ると、ジョンの曲が3曲でポールの曲が1曲となる。 まだまだジョンが優勢だ!
アルバムは前のサントラ『A HARD DAY'S NIGHT』と同じくA面が映画で使用されたサウンド・トラック面、B面がノン・サウンド・トラック面。 違いといえばB面にカバー曲が2曲入って14曲になっていることとジョージの曲が2曲入ったこと。 『A HARD DAY'S NIGHT』では13曲全部がレノン・マッカートニー作だった。
ここで面白いのは、カバー曲2曲を外して、「If You've Got Trouble」(リンゴのヴォーカル曲!)と「Yes It Is」「That Means A Lot」「Wait」のどれかを収録すれば全曲オリジナルになった! そして、外した「Dizzy Miss Lizzy」「Act Naturally」に「Bad Boy 」「I'm Down」とで4曲入りのEPで出すと、『A HARD DAY'S NIGHT』のときとほぼ同じになるのだ! アルバム『HELP!』発売前のシングルがA面の7曲目、同時に出したシングルがA面の1曲目というのも同じだね!
アルバム・ジャケット
前作と同じく撮影者はロバート・フリーマンさん。 4人が手旗信号で”H・E・L・P”を表していると昔の解説にはあったが、本当は”NUJV”だそうだ! 何の意味があるのか判明していないようだ。 映画のロケ中、「涙の乗車券」が流れるシーンの撮影時に撮られた写真を編集したものらしい。 アメリカのサウンドトラック盤のジャケットは”HELP”の文字を浮かび上がらせたものに、この4人を乗せたものになっている。 私(管理人)はこっちのアメリカ盤のジャケットのほうが好きだ。 ただ並びが代わっていて、イギリス盤ジャケットは左からジョージ→ジョン→ポール→リンゴと並んでいるけど、アメリカ盤ではジョージ→リンゴ→ジョン→ポールと並んでいる。
ちなみにポールだけが帽子をかぶっていない。
アルバム発売
1965年8月6日に発売され初登場1位。 NMEでは11週連続1位、メロディ・メイカーでは1回だけ2位に落ちたものの、通算で15週1位を記録。 予約枚数は25万枚だった(前作75万枚)。 シングル「涙の乗車券」は5週連続1位、10枚目のシングル「HELP!」は4週連続1位。
アメリカのサントラ盤『HELP!』は映画に使用された7曲に、ケン・ソーンのオーケストラが演奏した6曲(シタールが使用されている)を加えた構成で1965年7月19日に発売された。 カッコいいのはオープニングで、映画『007』の”ジェームス・ボンドのテーマ”にジョンの「Help!」がつながっているのだ。 聴いてみれば分かると思うけど、私(管理人)はこれがめちゃくちゃ好きです。
アメリカ編集盤ではこのように分散されて収録されていた。 1枚で4枚おいしい、キャピトルならでは!
@『BEATLES Y』・・・「You Like Me Too Much」「Dizzy Miss Lizzy」
「Tell Me What You See」「Yes It Is」「Bad Boy」
他は『BEATLES FOR SALE』から6曲。
Aサントラ『HELP!』・・・「Help!」「The Night Before」「I Need You」
「You've Got To Hide Your Love Away」
「Another Girl」「You're Going To Lose That Girl」
「Ticket To Ride」
ケン・ソーンのオーケストラによるインスト。
B『RUBBER SOUL』・・・「I've Just Seen A Face」「It's Only Love」
他はイギリス同名アルバムから10曲。
C『Yesterday And Today』・・・「Yesterday」「Act Naturally」
イギリス『RUBBER SOUL』から残りの4曲と
イギリス『REVOLVER』から3曲。
ミックス違いとアウト・テイク
このアルバムのCDからステレオになった。 この際にジョージ・マーティンはステレオ・ミックスのテイクをミキシングしなおしているのだ。 そのために、同じステレオでもCDとLPではミキシングが異なる。 ただ右にあったものを中央に、ヴォーカルにエコーがかけられた、といったくらいなので、ここではあまり記載しない。
が、いくつか。 私はレコード・プレーヤーを現在所持していないので、LP音源を確認することは出来なくなったが、「It's Only Love」でサビの”It's Only Love”の”only”(右チャンネル)と、エンディングの”loving you”の”you”(中央のチャンネル)の部分をジョンが歌い損なったので、LPではその部分を消していたそうだがCDではそのまま収録されたそうだ。
また「Help!」のステレオ・テイクとモノラル・テイクは別音源だという説があったが、どれも第12テイクをリミックスしている。 同じと言えるのだが、リミックスの際に、ヴォーカルだけを他のものと一部入替えているようだ。 そのため”But now these days〜”(ステレオ)が”And now these days〜”(モノ)だったりするようだ。 ヴォーカルだけで4テイク録音しているので、どれかを使用しているのだろう。 だれか確認できたら教えてくだされぇ〜。
録音してミキシングまでされたが未発表に終わった曲が3曲ある。 「If You've Got Troubles」「That Means A Lot」「Wait」だ。 前者2曲はアルバム「アンソロジー2」で公式には初めて発表されるまで未発表だった。 「Wait」はモノ・リミックスだけ行ったが未発表になる。 次回の『RUBBER SOUL』で再び引っ張り出され、さらにオーバーダブを加え仕上げられた。 しかしこの時のモノ・リミックスは未発表のまま・・・。
その他のリミックスでの未発表についてはレコーディング日記を見てくだされ!
アンケートにお答えください!「HELP!」について!
←アンケートはこちらから!待ってます。
メッセージ
ーーーー余談ーーーー
管理人の想い出
どちらかというと、『BEATLES FOR SALE』より地味な印象を持っている。 それは何故かと考えたら、ポールのシャウトが無いからだ。 実際にはそれだけではないのだけれど・・・。 なぜかあまり聴かないアルバムだ。 変身前、サナギマンからイナズマンに変身する手前という感じがしてならないのだ。 あっ、サナギマンって知ってます? それはそうと、曲単品では良く耳にします。 初期の集大成ってところですからね。 いい曲は多い。【Dr.Jinの思い入れ】
「悲しみはぶっとばせ」がディランの影響を受けていると知ってディランも聴いてみたりしました。しばらくハマってLPたくさん買ったなー。初めてハープを買ったのもこの頃だったなー。
【リチャード先生の思い出】
(未投稿)このアルバムのA面を聞くと,必ず映画のシーンが浮かんできます。演奏シーンもカッコいいし,本当にいい曲が揃っています。中学生の頃は友達と4人で並んで,よくジャケットの手旗信号を真似して遊んでいました。さらにマニアな方には米盤サントラもオススメ(入手困難?)・・・こればっかり!
【Uchiyの思い出】
(未投稿)