第[3]プロジェクトルーム
DREAM

 

夢枕 獏 代表作(私撰) 
 

 

キマイラ・吼 シリーズ
ソノラマ文庫

4. キマイラ魔王編

8月31日。 明日から新学期が始まる。だが、夏が終わっても、西城学園には戻ってこない人間がいた。
その一人久鬼は、この日、白蓮庵で花を活け、鬼道館で柔道・剣道・空手の各部の主将と立ち会いをおこなった。
鋭さをました久鬼の技に息をのみながら、鬼道館に集まった者はみな、久鬼が別れを告げに訪れたことを感じとっていた。
だが九十九は不安だった。"何故、久鬼は小田原に来たのだ"−由魅をめぐる大鳳との経緯を知る九十九は、深雪の身を案じていた。
久鬼が辿るのは修羅の道だ。自分が踏み入るのもそれかもしれない。
だが、深雪だけはそうであってはならないのだ。
そしてもう一人、大鳳吼は修羅の世界のとば口で、汚れ、やつれきった姿でひたすら街を彷徨っていた。

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