予防歯科関連学会への疑問


 日本において 歯科の予防に関連した学会としては 口腔衛生学会といえます。歯科の公衆衛生的なこと、予防的なことを扱う学会ですが、基礎系(実際の診療行為は行わず、研究室での研究が中心で、医学の元となる普遍的な真理を追究する)と 臨床系(診療行為を中心とし、診療行為と直接関連する実践的な研究を行う)の 中間に位置付けられていました。医学界には 基礎系のほうが研究者としては上位に位置する という位付けのようなものがあり、口腔衛生学も 基礎的な研究が優位でした(現在でも)。口腔衛生学・予防歯科関連の講座にとって もうひとつ重要な学会は 公衆衛生学ですが、あまり虫歯の基礎的な研究はそぐわず、また 医学会系の学会で全身が対象であるため 歯科が大きく取り上げられることは 非常に少ないこともあって どうしても 発表の中心は 口腔衛生学会 となり 基礎的な研究が むしろ 中心となっています。  基礎的研究の利点は 短期間で勝負しやすい点にあります。臨床研究の多くは 資料集めが大変で、特に歯科疾患のような慢性疾患では 5年 10年との期間がかかることが普通です。また 結果も 基礎研究のほうが はっきりとしています。 そこで、フッ素は予防歯科・口腔衛生学にとって 格好の素材と なっているのです。そこが 歯科でのフッ素研究者にとっては フッ素が歯科予防の特効薬である との前提で 物事が始まりやすい 土壌となっている と思うのです。フッ素が 害が多くて使えない薬剤である とすると 研究者としての 自分の立脚基盤が 無くなってしますからです。

こういった見方は ちょっと 穿っていますか?


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