2.京都市山科地区の上水道フッ素化調査報告から

 1952年2月から1965年5月まで京都市山科地区において試験的上水道フッ素化(0.6ppm)が行なわれ、1961年2月16日より同月21日までの6日間、口腔衛生学会上水道弗素化調査委鼻会が現地調査を行なった。調査対象人員は山科地区2687名、対象地区である修学院地区1479名、計4166名であった。

 @ 乳歯については両地区のあいだに明らかな差異は認められなかった。

A 永久歯齲蝕罹患状態は山科地区のものが、修学院地区より低率を示す傾向を示した。

B 永久歯の歯種別齲蝕羅患状態については、第一大臼歯以外のものでは、大きな差異は認めなかった。

C 第一大臼歯について、上顎において10〜25%、下顎において5〜15%を示した。白濁様歯牙の発現状態は、小学校3年以後のものでは、山科地区におけるものの方が多いことを示し、その差は有意であった。

 以上のことから、上水道弗素化は学童生徒の永久歯齲蝕、ことに第一大臼歯のそれをやや低下せしめたようであるが、白濁様歯牙の発現をやや増加せしめたようである。