最近のう蝕罹患の状況
学校保健統計調査より |
日本においても う蝕の罹患率は随分減っています。毎年報告されている学校保健統計調査によれば平成11年度の12歳児(中学1年生)のう蝕経験者率は76.6%でした。昭和58年からの16年間の経験者率の推移を上記グラフに示しました。この16年の間う蝕は減り続け、平成6年(1994)以降さらに急激な減少してきているように見受けられます。 さて、ここでう蝕経験者率といったのは過去 永久歯の虫歯に罹った ことのある児童の 割合のことです。正確には う蝕で未治療の歯・治療済みの歯・う蝕で抜けた歯を持っている児童の割合です。さらに歯科関係者は これをう蝕罹患率と一般に言っています。 ここに、大きな誤解が生じることとなります。 一般的に病気の割合として罹患率が使われているのですが、通常の病気は短期間に治って元にもどるので ある年の罹患率 がそんなに多くなりません。そこでう蝕の発生が減っても罹患率77%と言うと非常にがっかりするわけです。しかし、風邪で言えば12歳児(中1年生)までに風邪を経験したことのない子はほとんどいないでしょう。100%に限りなく近い数字になります。3年間風邪の流行がなくても 12才児の経験者率で見た場合それほど下がらないでしょう。う蝕の場合罹患率というより経験者率と考えたほうがよく一致します。 そんなわけで、経験者率が下がってきたことは 年度毎の う蝕発生率でいえば もっと下がっていることと なるのです。 ただし、う蝕の発生率を求めることはそんなに簡単ではありません。長くなるので詳細はいいませんが非常に大変です(水谷) |