学問の批判
西谷啓治=学者が自己自身と対決していない

西谷啓治

学者が自己自身と対決していない

 西谷氏は、こういう。坐禅のみが道元禅とか、縁起説の思惟のみが仏教だというのは、釈尊や道元、その人、当時の人々を軽薄に考えているのである。そんなことで、当時の人が、人生上の問題のすべてを解決したというのであろうか。また、学者自身の問題を縁起説か坐禅のみで解決しうるのか。その程度のことで解決するという軽薄さ。学者や僧侶が自分自身と深く対決していない。

(1)西谷啓治著作集、第4巻、「現代の精神的空虚と宗教」、創文社、1987年、80頁。
学問の批判