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EP-4BDA/2+の憂鬱

LastModified 03/03/10

 できるかできないか、泣き言はやってみてからいえーっ!!
(島本和彦著 「炎の信長 戦国外伝」より)

EP-4BDA2からのサーマルダイオード出力の取り出しがうまくいき、UltraVapoでの第1回稼動の成功に気を良くした四万十川が次に取り組んだのは当然ながらTurboPLLの取り付けによるグリグリ化です。EP-4BDA2には、FSBを1MHz単位でBIOSから変更する機能、[PCI33/AGP66固定]モード、[PCI 1/3, AGP 2/3 モード]があります。[PCI33/AGP66固定]モードなどは440BX時代には喉から手が出る程欲しかった機能です。

当然、TurboPLLを装着しなくても実験を続ける事は可能ですが、グリグリになれた身としては今更BIOS切り替えなんて、そんな、ハッ!

という訳で当然取り付けねばならないのですが、取り付け事例も無いので最初は途方に暮れてしまいました。しかし折りよく、PullpopサイトにTurboPLL取り付けマニュアルがUpされたのを受けて、とにもかくにもやって見る事にしました。後に待ち受ける悲劇も知らずに・・・・・


1. Realtek RTM660-109

EP-4BDA/2+にはクロックジェネレータとしてRealtek RTM660-109Rが採用されています。まずは、この仕様がわからないと改造ポイントもわかりません。しかし、Realtek社のサイトでは、2002.01当時このチップのデータシートは公開されていませんでした。(2002.3末現在でも未公開みたいです)

そこで思い余って、Realtek社、Epox社、日本代理店のMUSTARDSEED社の3社にデータシートをもらえないかメイルを送ってみました。Epox, MUSTARDSEEDに送ったメイルは完全に無視されてしまいましたが、Realtek社からはメイル添付の形でデータシートをPDFファイルとして頂く事ができました。

 Realtek社の Mr..Kuo-Lin Tai にはこの場を借りて謝意を表します。有難うございました。

データシートに記載されていたピンアサインを以下に示します。

左図のとおりで、クリスタルは2番(入力)ピンと3番(出力)ピンに接続されています。

48番ピンがREF0となっており、ここから14.318MHzが出力されています。

そのほかの固定クロックは、31番ピン、34番ピン、35番pinの48MHzです。

但し、31番pinはVCH48MHz, 66MHzPCIとの記述がありどちらが出力されるのか判別できません。また、34番pinも24/48MHzと記述されておりどちらが出力されるのか特定できませんでした。

マザー上での実装は左写真の様になります。

31番pinは、R133(100Ω)、R139(1kΩ)に接続されています。

34番pinは、R155(22Ω)経由でWibondのSuperI/OチップW83762HFのSystemClockに接続されています。

35番pinは、R154(22Ω)に接続されています。

48番pinは、R131(10Ω)に接続されています。

#赤くマークをつけているのが、31,34,35,48pinです。

31番pinが接続されているのが、ダンピング抵抗でないのとVCH66MHzとの記述が気になったので、改造はクリスタル端子への可変クロックの接続及び、R131(48番pinに接続されていた)への14MHz固定clockの接続R154(35番pinに接続されていた)、R155(34番pinに接続されていた)への48MHz固定clockの接続のみ行いました。

しかし、これだとキーボード、及びフロッピーの誤認識してしまいました。試しにR155(34番pinに接続されていた)に24MHzを接続したらBIOS-POST画面で固まってしまします。

結局、R155に四苦八苦してチップ抵抗を再度接続した所、キーボード及びフロッピーの誤認識はなくなりました。可変clockのTurboPLLコントローラによる変更も問題なく行えます。

但し、この状態ではマザーのBIOS上で[PCI33/AGP66固定モード]に設定するとBIOSが起動しなくなります。(FSB100のままでも)

という訳で、PCI 1/3 でしかclockを可変できない状態となってしまいました。また、当然SuperI/Oチップ側への出力も可変clockに応じて変わっている可能性もあります。FSB 128MHz, PCI 42.6MHz迄の動作は確認しましたが、そこから先はリセット・・・CPUが根性無しなのか、PCI 45MHzのせいかあるいは、24MHz系ラインを結局未改造な為I/Oコントローラがエラーを起こしているのか・・

ここで完全に行き詰まってしまった四万十川は、いつもの如くヒロ坊さんに泣き付いたのでございました。


2. ヒロ坊さんによる解析及び改造

ずうずうしくもTurboPLLの解析を御願いしてしまった四万十川でしたが、ヒロ坊さんが非常にお忙しいにも関わらず親身に対応して頂きました。いつもいつも本当に有難うございますm(__)m 解析の結果頂いたお返事がこちらです。

こちらの実物を計測しての調査ではX'talを上に見て
R155 右 48MHz
R154 右 48MHz
R131 右 14MHz
の3箇所の改造で動くはずです。
GNDとの接続が甘いような感じですので締め付けてください。
CPUCLKの電圧が低めですのでこの辺りも影響するかも知れません。

ぬぬぬ・・・なんと、四万十川が最初に最初にやった改造と同じ個所じゃあーりませんかっ!うーむ、またしてもヘッポコなハンダ付けで動作不良を起こしておったか・・恥ずかしや・・・・恥ずかしついでに接続し直しと、ずうずうしくもVcore可変改造迄御願いしてしまいました。

EP-4BDA/2+のコア電圧生成はHIP6301というレギュレータが行っています。VID0〜VID4の5本のpinへの設定の組み合わせで1.100〜1.85VまでのVcore電圧を生成します。通常はCPUのpinからの情報でVcoreが設定される訳ですが、このpinを乗っ取ってマニュアルでVcore電圧を設定しようという訳です。手法としては以前からある手法ですが、今回はHIP6301の位置がPS2コネクタの裏側で、CPUファンの電源コネクタ近傍というとんでも無い位置だったので、とても四万十川では手が出せない状態でした・・・・

かくして帰ってきたのが下の状態です。

VID4 VID3 VID2 VID1 VID0 VDAC 黄SW SW

これがヒロ坊さんに改造して頂いた状態です。とんでもない場所にあるHIP6301のpinを上げて、2つのロータリスイッチが接続されています。黄色のSWは正論理、赤SWは負論理(お手持ちのSW在庫の都合上)なので、設定としては左表の様になります。

これによりVcoreを1.1〜1.85V迄自由に設定できる様になりました。しかし、いつもながらなんとまあ、美しい配線か・・・流石の技ですねー。

ヒロ坊さん、いつも有難うございますm(__)m

1 1 1 1 1 Off 0 7
1 1 1 1 0 1.1 6
1 1 1 0 1 1.125 5
1 1 1 0 0 1.15 4
1 1 0 1 1 1.175 3
1 1 0 1 0 1.2 2
1 1 0 0 1 1.225 1
1 1 0 0 0 1.25 0
1 0 1 1 1 1.275 1 7
1 0 1 1 0 1.3 6
1 0 1 0 1 1.325 5
1 0 1 0 0 1.35 4
1 0 0 1 1 1.375 3
1 0 0 1 0 1.4 2
1 0 0 0 1 1.425 1
1 0 0 0 0 1.45 0
0 1 1 1 1 1.475 2 7
0 1 1 1 0 1.5 6
0 1 1 0 1 1.525 5
0 1 1 0 0 1.55 4
0 1 0 1 1 1.575 3
0 1 0 1 0 1.6 2
0 1 0 0 1 1.625 1
0 1 0 0 0 1.65 0
0 0 1 1 1 1.675 3 7
0 0 1 1 0 1.7 6
0 0 1 0 1 1.725 5
0 0 1 0 0 1.75 4
0 0 0 1 1 1.775 3
0 0 0 1 0 1.8 2
0 0 0 0 1 1.825 1
0 0 0 0 0 1.85 0

これで全て準備は整ったぜい!と浮かれる四万十川でしたが、その先にはなんともう1段の罠が・・・・


3. 泥沼・・・・そして・・・・・

帰ってきたEP-4BDA2/+に対してVcore電圧可変を確認し、最後の確認と懸案であった[PCI33/AGP66固定モード]に設定して動作確認をしようとした所、以前と同じく起動しないという現象が発生してしまいました。

[PCI 1/3, AGP 2/3 モード]では問題なく可変clockを変更できるので、基本的な配線はあってる事になります。(何より、ヒロ坊さん御自らの解析ですし) 試しに、可変clock以外の固定clockの配線を全て元に戻しても現象は変わらず・・・・途方に暮れつつ、「これはBIOSが壊れてるんちゃうか?」とEpoxのヨーロッパサイトに新しいBIOSがあったので焼き直してみるも、やはり同じ現象・・・・

うーん、これは壊してしまったのだろうか・・・それとも、そもそも[PCI33/AGP66固定]モードって動いてたんやろか?と不安になってしまいました。そこで、自爆覚悟でもう一枚買ってしまいました(笑)

でやってみた所、BIOSで[PCI/AGP固定モード]にしたら全然問題無く動くじゃあーりませんか!あらーやっぱ壊してたかと2枚の同じマザーを弄った結果以下の事が判明しました。

1) 壊れていたと思った1枚目もXtalを取り付けて改造前の状態にしたら、PCI/AGP固定モードは動作
        →つまり壊れていなかった。
2) 固定clockを全て接続し、Xtalのみ接続したらPCI/AGP固定モードは動作。
3) PCガイガーで見ると、本当にPCI/AGP固定モードでは、PCIが固定されている。
4) 固定clockを接続した上で、可変clockの変わりに14MHz固定clockをXtal端子に注入すると[PCI/AGP固定モード]でも動作。
5) 可変clock をX1, X2(Xtal左右端子)のどちらに接続してもPCI/AGP固定モード動作せず。
6) 可変clockをデフォルトの14.328MHzにしてもPCI/AGP固定モード動作せず。

つまり、TurboPLLの可変clockを接続した場合のみ(たとえ14.328MHzでも)、[PCI33/AGP66]固定モードが動作しないという状態です。どう論理的に考えてもおかしい話ですが・・・・

以上の事から考えると、Realtel  RTM660-109Rで[PCI/AGP固定モード]を使用する場合には、

基準Clockを14.328MHzと決め打ちしている様な処理をしているのではないか? 

というのが四万十川の結論です。(データシートにはPCIを固定できるといった機能の記述は一切無いんですけどね・・・) 以上は全て推論ですが、このマザーにTurboPLLをつけるのは無理だと考えざるを得ません、つまり、

こ〜の、どクソマザー!!

という事です、トホホホホホ・・・・・・・・440BX時代から比べると、多彩なFSB設定、BIOSからのVcore, DIMM, AGP電圧の設定等見た目の機能はどんどん豊富になっていますが、なんか却って不便になっている様な気がするのは私だけでしょうか・・・

今後のマザー選択においては、カタログスペックだけでなくモニタチップやPLL-ICの型番にも十分注意を払う必要があると思うとちょっと憂鬱な四万十川だったりします。

#EP-4BDA/2+で源発乗っ取りに成功されて、[PCI/AGP固定モード]も使えるぜい!という方がおられましたら、是非ご一報下さい。


4. 独り言

という訳で、なんだかんだで3ヶ月近く手間隙かけた結果がこのていたらく・・・・トホホ・・・折角、Vcore可変改造迄して頂いたというのに・・・・

 「そうだいつも男は、おもいきり汗を流して、やるだけやって!!
・・・たとえ墓穴を掘ってはまっても、それでいいのだ」

(島本和彦著 「無謀キャプテン」より)

いや、それじゃ良くねーだろ、それじゃ! ええい、次や次!!

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