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12V拡張電源の咆哮
-あるいは日本で一番祝福された電源-

 

LastModified 02/10/14

「力が欲しいか? 力が欲しいならくれてやる!」
(皆川 亮二 著 「ARMS」より)

signature.jpg (7755 バイト) くれ〜、12V系をくれ〜! という訳で以前よりペルチェの電源をATX電源から取る事には引っ掛かりを感じており、なんとかしたいと思っていました。また、並列ペルチェ2枚、またはVapochillとペルチェの併用を視野に入れた場合役不足なのは明白です。

普通であればここで、安定化電源の導入となる訳ですが、相変らず「ケース内完結」に拘る四万十川としては、スイッチの切り忘れによるペルチェの暴走への危惧等から踏み切れませんでした。

そんな折、久々に秋葉原に行く機会があり、かねてより念願であったヒロ坊さんOverClocker'dDream Sitemasterさん、コア内部温度回路を設計された坂巻さん、Valkyrieさんにお会いする機会を得ました。左のサインはその際に頂いたものです。(Valkyrieさんは先に帰られたので頂けませんでしたが)

憧れの大御所を目の間にしてずうずうしくもご相談した所、小型12V電源をリレーで連動させればいいよという事で、購入に付き合って頂きました。何とも恐れ多い・・・

かくいう次第で、日本で一番OverClockの神様に祝福された電源の製作記です。同様の電源の3.3V版をs5さんが製作され記事にしておられます。製作に際しては随分参考にさせて頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。

 


1 使用部品

基本的には、12Vスイッチング電源と、ATX電源のON-OFFに連動させる為のスイッチとなるリレーの2種類の部品を使う事になります。今回は、下記の部品を使用しました。

デンセイ・ラムダ スイッチング電源 VS150B

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千石電商で \5110 で購入しました。大きさは 222 x 75mmです。

出力は12.5A-150W でピーク電流は1.2倍となります。60Wx2個を取り出すのであれば充分ではないでしょうか。写真左のコネクタがAC入力、右はDC出力になります。写真右下の黄色いツマミで±2V程度の電圧の微調整が可能です。

 

秋月電子 半導体リレーキット

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秋月電子で、1個 \300、2個 \500です。入力電圧 3〜8Vで、AC100V/40A迄のコントロールが可能です。ATX電源からの5V出力のONにより、AC100VをONにします。

部品点数はたったの5点ですので、すぐに組み立て可能です。左の写真の灰色のパーツは組み立て図には説明がありませんでしたが、サージキラーだと思います。今回は、知り合いに10K201のZNR(右の写真の黒いパーツ:規定電圧以上の高電圧をバイパスし回路を保護)をもらったので交換してみました。

右の写真の、左青コードがAC入力、右の赤黒コードがDC入力となります。DC入力側にはPC用電源コネクタを取り付けています。

   


2 組立

部品の準備ができたら組み立てです。今回は、秋葉原のラジオデパートで購入したアルミケース(24x14x6cm \2100)に組み込んでみました。

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ま、こんな感じです。配線に関しては特に記述すべき事もないですかね。AC100Vの片側を電源に直接入れ、もう片側は間にリレーを入れるだけです。使い勝手を考え、AT電源のプッシュスイッチをリレーをバイパスする形式で配線し、マニュアルでもスイッチONできる様にしています。正直、配線関係よりアルミケースの加工の方が、よっぽど面倒ですな。

リレーのフォトトライアックには手持ちのジャンクから適当なヒートシンクを設置し、ケース片側には4cm12Vファンを仕込んでいます。うーん、小口径高回転な為でしょうか? やたら煩いです。出力としてはPC用電源コネクタを3本出してあります。

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ケース底面に頂いたサインを貼って、ケース上面には1cm径の穴を千鳥で26個開けて完成です。ケースの青い色はコーティングされているビニールの色ですが、気に入ったので剥がさずにそのままにしています^^

うむ、格好い・・・・・・・・青い弁当箱?

 


3 稼動試験

 

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最後に連続稼動状況における動作試験を行いました。当初想定していた80W級ペルチェに12V印可(約60Wの消費電力)で1枚、2枚の場合について2時間連続稼動させた場合の電源各部の温度を計測しています。バックの愛媛みかんの箱が泣かせます。

計測場所は、ヒートシンク、電解コンデンサ1(AC入力側)、電解コンデンサ2(DC出力側)です

 

80Wペルチェ12印可

室温 ヒートシンク温度 コンデンサ1 コンデンサ2
ペルチェ2枚(120W) 24.5 61.0 46.9 46.6
ペルチェ1枚(60W) 24.5 44.6 36.6 37.3

60Wと120Wでは随分電源内部の温度も違う物ですね。一般に半導体は110℃で数千時間というオーダで動作保証され、10℃温度が下がる度に飛躍的に耐久度が伸びると云われています

2000.7.17修正
一般的に電解コンデンサは85℃で2000時間、105℃で1000時間というオーダーで動作保証されていますが、10℃温度が下がる事で寿命が倍に伸びると云われています。コンデンサで47℃と85℃に対して40℃低ければ、2000 x 2^4=32000時間。つまり3.65年の連続稼動に耐えるという事になりますね。 < ホントか?

 


4 独り言

という訳で如何だったでしょうか。今迄はATX電源を選ぶ際には、ペルチェ駆動を考え12V出力の大きな400W系以外は不可! と考えてきましたが、これでその制約からは逃れられた事になります。まあ、電源なんざそうそう買い換える物でもないですか・・・

24 x 14 x 6cm と少し大き目になってしまいましたが、フルタワーケースであれば充分内部に格納可能でしょう。日本のOverClockerの頂点に位置する方々にご足労をおかけしたという点だけでも、私にとっては宝物です。

よっしゃこいつで、がんがん12V使ちゃるぞ〜・・・・ペルチェ2枚→空冷じゃ廃熱間に合わないじゃん・・・・Vappochill→ペルチェ併用だとコンプレッサに負担かけすぎじゃん・・・・・・・・・いけてね〜(爆)

まあ、当初の目論見とは少し外れてしまいそうですが、Vapochillの単独運転やコンプレッサの負担をまかなう役目を安心して任せられるという点では、これから大活躍してくれそうです。しかし、こいつとVapochillの冷却ユニットをTB-505に組み込むのは一体いつになるやら・・・

「よくやった事の報酬は、それをやったって事だけさ。」
(三原 順 著 「カッコーの鳴く森」より)

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