『クリティカル進化(シンカー)論 --- 「OL進化論」で学ぶ思考の技法』 (道田泰司、宮元博章、秋月りす (著)、北大路書房 1999)
適切なものの見方・考え方を身につけるための本。人間のものの見方・考え方にはどのような「くせ」(あるいは、「ゆがみ」)があるかについて、認知心理学の研究成果を取り入れて身近な事例に即して解説したうえで、その「癖」に適切に対処するための指針を提示している。
一般的なスキルとしてのものの見方・考え方を身につけるためだけでなく、認知言語学で重視されている「フレーム」あるいは「スキーマ」について理解するうえでも、さらには学問の方法の基礎を身につける上でも、とにかく最初に読むべき本。
昔書いた紹介
著者の一人の道田氏の 読書日記・日常雑記/ ブログ/大学生に読んでほしい本
『「科学的思考」のレッスン --- 学校で教えてくれないサイエンス』 (戸田山和久 (著)、2011、NHK出版)
『武器としての決断思考』 (瀧本哲史 (著)、星海社新書 2011)
ディベートに基づいて構造化したクリティカル・シンキング本。それを、自分の生き方を自分で主体的に決める上での意思決定のためのガイドとして提示している。内容もしっかりしている。よい本。
『超常現象をなぜ信じるのか --- 思い込みを生む「体験」のあやうさ』(菊池聡 (著)、講談社ブルーバックス 1998)
この本のテーマは「超常現象」ではなくて、「なぜ信じるか」にある。つまり本書は、超常現象を素材にした認知心理学の入門書である。その点で、『クリティカル進化論』と問題意識および内容が重なる部分も多い。
人間のものの見方・考え方の「くせ」(あるいは、ゆがみ)が、単なる「エラー」ではなく、適応的な意味を持つということも明確に述べられている。
『わかったつもり --- 読解力がつかない本当の原因』 (西林克彦 (著)、光文社新書 2005)
「読む」こと、あるいは「読んで理解する」ということについての見方が変わる本。例文は小学校の国語の教科書などから取られているが、述べられている誤読のパターンは、実は、学術論文の誤読のパターンでもある。
『なぜ伝わらない、その日本語』 (野田尚史 (著)、岩波書店 2005)
日本語実用文の書き方を独習するための参考書。
自分の意図を読み手に的確に、そして気持ちよく、伝えるために必要なことが、豊富な具体例に基づいて、的確に、そして気持ちよく、伝わる形で書かれています。
私自身、自分が書いてきたメールを、この本のアプローチにしたがって見直したときには、冷や汗が出ました。
大学等のテキストのバージョンとしては、同じ著者による『日本語を書くトレーニング』 (野田尚史、森口稔 (著) ひつじ書房 2003)があります。
『知的複眼思考法 --- 誰でも持っている創造力のスイッチ』 (苅谷剛彦 (著)、講談社 (文庫 2002、原著 1996))
『クリティカル進化論』の次に読む本。
『新版 論文の教室 --- レポートから卒論まで』 (戸田山 和久 (著) NHKブックス No.1194 2012)
「論文の書き方」の本としては、私が読んだ中ではいちばん良かったと思います。 (2002年初版/2012年新版)
『概念化と意味の世界 認知意味論のアプローチ』 (講座 認知言語学のフロンティア 3)
認知科学全般に幅広く目配りした、視野の広い本格的な認知意味論の概説書。
基礎の基礎から最先端まで網羅した文献案内など、充実したサイトです。
オエカキを突き抜けて面白い研究をするために…知の冒険者たちの創発の心意気を知る──「コレクション認知科学」完結にあたって (佐伯 胖)
まずいちばん大事なことは、言語との関連を抜きにして、とにかくそれ自体として楽しむことです。