2004年1月17日 北鹿新聞 朝刊



交流している女性におくる千羽鶴が完成し、ビデオレター作りに取り組む3年生
阪神淡路大震災からきょうで9年
息子を失った母親と交流秋田県の小学3年生 千羽鶴など送る

小学校の3年生が、阪神淡路大震災の被災者の女性(42)とインターネットを通して交流している。女性が震災で1歳半の息子を失った平成7年は、ちょうど3年生たちが生まれた年でもあった。あの大震災からきょうで9年。児童たちは女性に千羽鶴と全員のメッセージを録画したビデオレターを送った。交流を通じて子どもたちは「命」の重さを見つめている。
 担任の教諭がたかいさんのホームページ(HP)「将くんのホームページ」を児童に紹介したのは昨年12月4日の道徳の授業。HPに掲載されている写真を使って震災を説明したり、たかいさんが失った「しょうくん」にあてた手紙や執筆した本を紹介した。
 授業は保護者の参観で行われ、児童と保護者が書いた授業の感想は電子メールで送った。子どもたちの感想には「将君はお母さんにそっと頑張れと声をかけてくれていると思う」「天国にいる将君を応援して、自分の命をもっと大切にして生きたい」と優しさが込められていた。
 その後、将君にあてた手紙も電子メールで送り、児童らの感想や手紙はたかいさんのHPに掲載された。たかいさんは「将君の失われた命が今も生きているような気がして親としてうれしく思っている」「みなさんの感想で、将君の死は、失うことの悲しみだけではなく、存在することに感謝できる気持ちを気づかせてくれたような気がする」と感謝のコメントを寄せた。
 児童たちのアイデアで1月17日に向けて折った千羽鶴が完成し、15日にはみんなでビデオレターを撮った。1人一言ずつビデオの向こうのたかいさんや「天国の将君」にメッセージ。「将君はきっと天国で元気にしているので、頑張ってください」、「将君、命の大切さを教えてくれてありがとう」などと呼びかけた。
教諭は「子どもたちが以前より優しくなったようだ。震災や社会で起きていることに敏感になり、学校でも話していて気づくことや視点が変わってきた」と交流の成果を話していた。
 震災で亡くなった少女が育てていたひまわりの種を全国で増やそうという運動があり、3年生のもとにはたかいさんから種が届いている。児童たちは今後もたかいさんと交流し、新年度はひまわりを咲かせる活動にも取り組むことにしている。