スピーチ 退社記念パーティー スピーチ(2)
   

 

退社記念パーティー スピーチ(2)

 


 


 かなり自分の都合のいいように誘導してきましたが、ズバリ申しますと日本企業はビジネスをしていないということだと思います。
 では彼らがやっているのは何か、「生活」なんですね。会社は家よりも落ち着く居場所なんです。そこでは毎日小さないざこざが起きるので見ていて飽き
ないし、そのいざこざたるや家庭でのもめ事とは違って基本的には人ごとだし、実はそのもめ事自体がビジネスの重要な部分なのですが、あまりそういう認識をしている人はいない。そしてなんとなく意味があるのかないのかよく分からない仕事を忙しくやっているうちに四季が巡ってきて、「ああ、今年も暮れだなあ。今年の憂さは忘年会でパーッと忘れて……」と、毎年なんの進歩もない繰り返しなわけでございます。これで競争に勝てたら奇跡ですよ。
 何のために働くのか、それは働くことによって付加価値を生んで、ステイクホルダーに利益をもたらす……なーあんてことは、まったく考えてないってことですよ。
 では何を考えているのか、自分が明日も変わらず出勤して、ややこしくない仕事を何のプレッシャーもなくやりおおせる、そういう場がありさえすればいいと思っている人が大半です。そうでない日本人のほとんどは、今、この場ににいらっしゃっていると思います。
 会社をビジネスの場ではなく生活の場であると考えている人が多ければ、そういう人が加わった会議で戦略的に正しい結論が出るはずはありません。なぜなら、そういう人はどんなにみんなの利益になることであっても自分の労働負担が増えることには反対だからです。そういうわけで、組合が喜ぶ経営判断を下すと、株価が下がるわけです。しかしそんな甘っちょろいことで、旧体制の澱がたまった伝統のある会社では、世界の企業を相手に闘っている状況で、勝てる見込みはない。

 政府は92年以降、今度の景気対策も含めて121兆円の景気対策を行いました。これは毎年、税収入の3割に達する規模の対策をやっていたことになります。こうした対策はまったくといっていいほど効果を顕しませんでした。もし効果があったならば、私はH製作所の株を売ることができたと思います。でもH製作所の株はまだ私の手元にあります。別に好きで持っているのでなく早く売りたいのですが……。戦略変更を発表しても8円しか上がらないんだもんなあ。
 マクロ政策ではどうやっても手の届かないところに、日本経済の病巣はあると思います。それは経営の不在ですから、私は最初は、「それなら"経営"という概念をもっと普及すればいいのだな」と思ったのですが、どうやらそれを突き詰めていくと、一体何のために働いているのか、自分のやっている仕事にどのような意味があるのか、それは本当に社会に裨益しているのか、そしてそれに見合う対価をもらっているか……といった、一人一人の人の働くことに対する不理解、不見識があるのではないかと思うようになりました。
 そこでもう少し、「働く」ことの意味について考えてみよう。新時代の「働くおじさん」の哲学を研究してみようと、この失業したデブは考えておるわけであります。ポイントは「ビジネス・マインド」をいかに取り戻し、意思決定の中に織り込むかということだと思っております。

 それでまず私は、ウェブサイトをつくりたいと思っています。そこで皆さんに私の考えを問いかけたいと思っています。でもまあ、準備がなかなか間に合わなくて、「貧乏カネなし」ってやつでして、1900年代の間は難しいかもしれませんね。アップしましたらご連絡申し上げますので、是非ご覧ください。いろいろとご協力いただければ幸いです。

 

 

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