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サムイ島滞在記3

7/16

 また飯を食って、ビーチに出て本を読む。パソコンを打つ。小鳥と遊ぶ。今日はやけに天気がいい。二人乗りのバナナボートが目の前で派手に転倒する。ザマミロ。

 昼飯は外の店でタイ飯を食べる。
 4時、またジェットスキーを20分借りて暴走する。600B。レセプションの前の旅行代理店で飛行機のチケットを受け取る。おねえちゃんはマレー系の美人である。  
 4時30分、バンガローに戻ってテラスで読書したり、パソコンを打ったり。

  8時、メールを読んだ後、町に出る。
 まず、ホテルの金庫から出してきた円を両替する。バンブーというレストランで、マグロとかにとエビのグリルを頼む。いつまでたっても出てこないので、「なにやってんだ」と聞くとすぐに出てきたが、やや冷たくなっている。蟹とマグロのグリル。蟹味噌には日本酒が欲しいのだが……。
「お前んとこのグリルは暖かくない。珍しいな」とイヤミを言って店を出る。  

 露店の果物屋でマンゴーシェイクを作ってもらう。見ていると、ミキサーに切ったマンゴーと砕いた氷を入れて、そこに茶色の液体を器からスプーンですくって何杯も入れている。これは凝固剤なのだろうが、とても体に悪そうだ。飲んでみるとまずいし、固まりすぎていて飲めない。ゴミ箱に捨てて、別の店でココナッツジュースを頼む。
 で、またマッサージ屋に行く。帰りに、さかんにトランプをやっていけと進められるが、振り切って店を後にする。  

  またバーに行ってニーダと飲む。「もう明日帰るからね。日本に来い」というと、「とんでもない。働き詰めに働いてポケットにいっぱいお金を詰めていっても、すぐからになってしまう」と言われる。そうだよねえ。「明日の昼の12時にはここに来て何か食べているから来い」と言われるが、ちょっと難しいかな。ここで別れる。

 彼女と別れて、次にクリースティーズという店でオカマショーを見る。「ミッドナイトに始まる」というので23:55に行って座って待っていたら、始まったのは0:30だった。
 出演するオカマは総勢12名。なんか国際色豊かそうなオカマ軍団である。夜の8時には表通りで、小林幸子並の衣装を着てチラシを配っている。オカマもなかなか大変である。
 音楽に合わせた口パクでの大勢での踊りと、着替えの間の場つなぎの道化役の踊りが交互に繰り返される。なんの感慨も覚えない。なにか日本語の歌があったが、最近の歌で私はよく知らない。


どうしましょう、これ。 オカマショー


 ソウテンを拾ってバンガローの近くのディスコ、サンタフェに行く。金曜の夜中なので、すごいにぎわいだ。生バンドが出て、みんなで踊り狂っている。ここのディスコはすばらしいデザインだ。でも入場はタダのようだ。女の子に話しかけても、英語が通じない。ビールを飲んで出てくる。

 2時、バンガローに帰ろうと歩いていると、また露店のバーがあって、おねえちゃん二人と白人二人が妙ににこにこ笑って手招きするので誘われるままに自然に入って座ってしまった。白人の一人はスウェーデン人で、右手の指が欠損して半分くらいしかない。この手でやたら握手を求めるのには閉口した。もう一人は初老のオランダ人で、泥酔してほとんど相手にならない。

 女性はこの店のオーナー(ノット)と、バンコクから観光ショウを手伝うためにこの島に来たという女性(ヨーヨー)である。ヨーヨーはバンコクの学校で、観光と英語について働きながら勉強したらしい。他の女の子は、全員サンタフェに遊びに行ったという。ヘンに楽しく騒ぎながらビールを3本飲んでしまった。ガイジン二人はパンがーローに引き上げた。

 深夜なので、犬以外は表通りを通る者もなく、開店休業状態である。ヨーヨーが「カーオッ・パを作ったら食べるか?」と聞くので是非作ってくれと頼む。裏で料理しているところを写真に撮ると、やたら恥ずかしがっていた。
 食べてみるとなかなかうまい。5時になったので帰ろうとするが、ノットはビール代しか受け取ろうとしない。無理矢理チップを受け取らせる。彼女がバイクでバンガローまで送ってくれた。夜風が快い。

 バンガローに戻ると、机の前に砂が落ちているので、「おかしいな」と思ったがその上に足ふきマットを敷いて、シャワーを浴びた後、明日チェックアウトしてから飛行機の時間まで何をしてつぶすかな」と考えつつ寝てしまった。

 7/17

 9:30目が覚める。トイレに行って、もう一眠りしようかなと思ったが、パソコンの変換プラグがないのに気がつく。
  反射的にパソコンを入れていた机の引き出しをあけると、パソコンがない!
 やられたーっ。
 他に引き出しに入れていた2万円も消えていた。しかし、レセプションの金庫の鍵は残っていたし、この島では使えないCITICARDも残されていた。考えてみれば、昨日は油断してバンガローの電気を消して外に出たのがまずかった。電気もテレビもつけっ放しにしておくのが正解なのだ。   

  いずれにしても、最初からパソコンだけをねらった犯行だろう。生まれてはじめて泥棒というのに入られた。レセプションに電話して「警察を呼べ」というと、「まずレセプションに来い」と言われる。

 レセプションに行く途中でこの犯罪の意味を考えた。2年落ちの、しかもMACなんか盗ってどうするのだろうか? 私はデータの盗難をおそれて、パソコンのデータはあらかじめMOに落としてきていた。パソコン本体は、もう2年も使っており、FDもCDドライブも破損。画面も半分おかしくなっていたので、近々買い換えるつもりだった。すでに性能も劣化しているので、パソコンのハード自体は惜しくはない。保険も、今回はセットの旅行保険を断って、自分の身体にしかかけてこなかったくらいだ。

 問題は、この1週間に入力したアイデアやデータが失われたことだが、それは私のアタマの中に残っているのだから問題ない。この滞在記を帰国後5日たってから入力できることからもわかるとおりである。私にもそのくらいの記憶力はある。パソコンは記憶媒体というよりも、ナレッジ・クリエイティングの援用ツールとしてもっとも意味を持つものなのである。ただ、入力の時間はロスになるが。
 惜しいのは写真である。象に乗った写真が……失われてしまった。これが実損である。ということは、逆に言うとたいした被害ではないのである。2万円が一番惜しい。

 とすると、ここから先のプロセスは、観光の延長ということで楽しんでもよいではないか。ちょうど5時40分の飛行機まで丸一日時間があるし。射撃に行くよりも警察に行く方がおもしろいのではないだろうか。これが結論である。

 レセプションに行って話をすると、全然伝わっていない。「シリアスなんだ」と理解させるまでに時間がかかった。暢気なものである。マネージャーが出てきて、警察まで車で送ってやるという。若いのが、近所の交番まで連れていってくれた。

 警官に話すが、英語が通じない。無線で英語が分かる警官に連絡する。やっと事情を伝えはじめるが、相手の訛りがひどすぎて、何を言っているのかさっぱりわからない。困っていると「お前、英語わからないのか?」と聞かれた。やっとの思いで説明すると、現場検証に来るという。

 ホテルのレセプションに戻ると、代理店のマレー系美女が「問題があったの?」と聞くので「んー、まあたいした問題じゃないよ」と応える。
 バイクで警官がやってきて、警官を従えてビーチを歩き、バンガローに案内する。かなり異様な風景で、みんなが振り返る。部屋を一通り見て、窓が破られていないことを確認した警官は、「保険がかかっているのであれば、保険用の証明書類を作るから、ナトンの警察署に行け」という。もうこうなったら、ナトンの警察も見物してやろうと思って「じゃあ、行く」と応える。
 ホテルのマネージャーがタクシーを呼んでくれた。300B。

 正午、ナトンの桟橋近くの警察に着く。やけに日差しが強く暑い日だ。警察署にはいると、署長が出迎えてくれるが、よく話が通じない。先の警官からも、何の連絡も受けていないらしい。また最初から説明しなくてはならないようだ。
 しかも、何か午前中に交通事故があったらしく、署長は私の目の前で3台の無線機を使って忙しく連絡している。全く話にならない。しばらくすると、まともな英語ができる警官がやってきた。盗まれたパソコンは8万バーツすると説明して、やっと重大な事件として対処しようという動機づけがなされたようだ。英語警官に昨日の夜からの状況を話すと(どこで飯を食べて、どこで飲んで、オカマショーを見て、ディスコに行って……)、署長がパソコンを不器用に使って調書をまとめていく。これはタイ語で、なんだかさっぱりわからない。プリントアウトに判を押して、サインを求められる。
  話していくうちに、最初は見物のつもりできたのだが、犯罪者を告発することは市民の義務のように思いこみ始めたのは我ながら不思議だった。

 次に、英語ができる警官が調書を作り、事件番号を割り振り、サインを求められ、保険請求用にコピーをくれた。その間、私は署内を観察していた。警察署というのは、どの国でもスチールロッカーがあって、机が無機的に並んでいて、無線がガーガー鳴っていて、同じようなものだ。やや違いがあるとすると、この署長の机には、仏像や高僧の写真が置いてあることくらいである。そういえば、調書を作るときに宗教を聞かれた。面倒なので、仏教徒にしておいた。

 署長は、「2時に現場検証に行って見取り図を書く」と言う。「それならハウスキーパーが部屋を掃除してしまわないように電話した方がいいんじゃないのか」と英語警官に言うと、「それはそうだなあ」と電話機を探すが、署長室の2台の電話は電話線につながっていない。やはり暢気としか言いようがない。外の電話でバンガローに電話してもらう。

 私は、警察の前の飯屋で飯を速攻で食べて、チャウエンに行くソウテンを捕まえようとするが、まったく来ない。1時15分、やっと乗り込むが、車内はすでに満員である。ところがこの運転手は途中で何人も人を乗せる。なんと13人も載ってしまった。これはギネスに挑戦の世界である。脳天気な快晴で、やたら暑い。

 やっとの思いでバンガローにたどり着いて、シャワーを浴びる。2時10分、6,7人の警官を引き連れて署長が颯爽とバンガローに到着。変にうれしそうである。色白で、いかにも線の細そうな男性警官が現場見取り図を書き始める。3分もしないうちに「できた」と言って、皆が引き上げていった。「指紋は、大勢の人が引き出しを触っているので、取ってもムダだ」と威張っている。最後に英語警官が、「犯罪者というのはどこにでもいる。でもそれは少数なんだ。タイのほとんどの人はいい人なんだよ」とのたまう。こいつはなかなかのナイスガイである。

 3時、チェックアウトしてタクシーで空港に向かう。150B。空港では時間があるので、到着口のベンチに横になってぐうぐう寝る。着いたばかりの白人が「おお、こいつはホントにリラックスしているな」などと話している。おまえもこの島に3日もいれば、すぐにこのくらい神経が鈍磨するよ。起きてココナッツジュースを飲む。

 そうこうするうちに時間が来て、どやどやとプロペラ機に乗り込む。飛行機は未練なく島を後にした。隣の席に座ったのが、オスロから来たというBernstroem青年である。
 彼は隣のバンガン島(フルムーン・パーティーで有名)に1ヶ月滞在していたという。1日2ドル(食費1ドル、バンガロー1ドル)で暮らしていたという。これはなかなかの修行僧である。「蚊帳さえあれば大丈夫さ」と恬淡としたものである。これぞ北欧人。ノルウェーからこの島までは、どんなに頑張っても丸一日の行程になるという。

 彼は高校の先生をやっているらしい。いろいろな科目を教えるらしいが、専門は宗教学で、ノルウェーでは宗教教育は重視されているらしく、あらゆる宗教を一通り習うらしい。「だからノルウェー人は国際的なんだ」と胸を張る。私はハタと膝をはたいて、「そうか、ノルウェーが外交で活躍できる背景にはそれがあったのか!」と納得した。彼は「日本では仏教と道教などの宗教の混交があると聞くが本当か」と細かいことを聞くので、「もっとも一般的なのは神道と仏教の混交だ。ヒンドゥー教と仏教に混交があるように、仏教は多神教で許容力が大きい」と答える。

 また彼は、「これから売れる最大の資源は、うまい水だと思うね」とおもしろいことを言う。近々、ノルウェーは水を売り出すらしい。環境保護が金を生むということか。彼の専門は古代エジプトの宗教ということで、これから飛行機を乗り換えてすぐにロンドンに向かい、ロンドン大学で古代エジプト宗教の特別講義を1週間受けるらしい。大英博物館のミイラはすばらしいと言っていた。その後ノルウェーの南部に1カ月家族と出かけて休暇を楽しむそうだ。いったい何カ月休暇があるんだ?

 飛行機は薄暮のバンコクの上空を飛ぶ。私も彼も、窓の外を見てうんざりした表情を隠せない。混乱の大都市の上を排気ガスが覆っている。チャオプラヤー河が蛇行しているだけではない。町並みは不規則であり、天を摩す高閣が櫛比すると思えば、困窮家庭がそれと踵を接している。垂直方向にも、経済的にも、この街に秩序というものを見い出すのは不可能である。

 ここにはエイジアン・バリューが結晶化している。「私はアジア的価値観は嫌いだ」と言わずにいられなかった。「いい部分もあるじゃないか」と彼は言うがその実、当然ながら西欧的価値の優位を彼も信じて疑わないことがわかる。

 7時着陸。やっとプロペラ機から解放された。私は翌朝、バンコクと同様にアジア的価値観が幅を利かせる日本に向けて帰途に着いた。


(この項終わり)


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