大学は「知」を生み出す役割を負っている
鈴木 でもね、ある人が言っていたんだけど、「国立大学の独法化というのは、変わることが重要なのではなくて、変えることができるようになるということが大切なんだ」と。まったくそうだと思うんですよ。だから、あとは各大学がどのように対応するかをまじめに考えるかどうかの問題でしょう。
運営者 東大の大学院理学系研究科・ビッグバン宇宙国際研究センター長の佐藤勝彦さんがまったく同じようななことを言ってますよ。「変えられる可能性があるんだから、それなら前向きに考えてみよう」と。
今までは、象牙の塔にこもって済んでいたものを、これからは社会の中に開かれた大学、社会の中に位置づけられた大学として、その機能をいかに果たしていくかというようにオープン志向に変えるられるかどうかということだと思うんです。意識を180度変えるということです。
鈴木 それは正に「新日本人革命」ですね(笑)。
きっといくつかの大学が、いい先生の引き抜きをやると思うんです。東大から研究室ごと先生を引き抜いたりしていますよね。そういうことが起こり始めると、いい研究者は取られちゃうますからね。そうすると変わらざるを得なくなってきますよね。
プロ野球の選手なんかと一緒です。阪神にいようが、巨人にいようが関係がない。自分の能力が生かせて、いいオファーがあるところに行けばいいようになるんでしょう。
運営者 大学の傘の下を離れて、個人として生きるということです。人間は本来、そのような生き方をするべきだと思うんですけどね。
鈴木 全員が全員そうなったら、それはそれで大変ですね(笑)。だけど、1割2割の人がそうなったら、日本は変わるでしょうね。
運営者 だから大学は、自らの組織の生き残りのためという圧力によって、そのような動きを・・・。
鈴木 やらざるを得ないと思いますね。そういう意味では、遅かれ早かれそういう方向に持っていくように努力しなければならないんじゃないですかね。
運営者 これだけコスト構造が高くなった日本が、世界の中で生き残っていくための「知」を生み出す役割を大学は負っているわけですから。
鈴木 だから、社会科学系の分野でも、政策的なことについての関心が高くなってくると思うんですけどね。
運営者 そういえば、大学は中立で自由な立場なわけですから、政策を研究するにはいいところのはずなんですけれどね、本来であれば(笑)。