大学は、10年20年かけて変わっていく
運営者 企業では、変革のマネジメントという分野は、ひと通り流行が終わった感じがするんですけどね。
鈴木 これから大学は、10年20年かけて変わっていくと思いますよ。外部資源も取り入れていかないと、生き残ることはできません。中にある資源には限界がありますから。
運営者 そこは大学みんなで談合して、突出した改革をしないようにすれば変わらずにすむのでは。
鈴木 いや、これだけ数がありますからね、どこか抜け駆けする大学が必ず出てきますよ。それに、日本の大学だけが談合しても、海外との比較で日本が沈んでしまえば、元も子もありません。その意味では、日本の大学もグローバルに勝ち抜いていく必要があります。つまり、もちろん相互の協力は必要ですが、閉じられた談合では結局ダメでしょう。
運営者 変革する人材が出てきて、彼が描いた構図に基づいて変わる大学が出てくると。
鈴木 そういう意味では、これから大学経営は面白いと思いますよ。
運営者 その時中心に考えてほしいなと思うのは、大学というのは知をつくり広げる機関であるということです。アカデミズムというのは、社会的に要請されているものであって、生き残るために大衆に迎合する必要はないと考えてほしいんです。
鈴木 そういう社会的要請があるわけですから、そこに税金が支出されてもよいと僕は思うんですよ。100%、大学だけで短期的にバランスシートが回るとは思えないわけですから。それでも、長期的には回るんですよ、大学が生み出した人材が世の中で価値をつくっていくわけですから。
運営者 それは、大学は社会的な機能を担っているということだと思うんです。だから所得再配分の対象にしても構わないということです。
鈴木 そうです。
運営者 たとえばですね、各大学がそれでも「開かれた大学にならなきゃいけない」と思って、社会人向けの公開講座なんかやってたりするじゃないですか。地下鉄に広告を出して(笑)。
鈴木 縄文時代のなんとかとか(笑)。
運営者 そういうのって、やってて意味があるのかなと思うんです。僕は少なくとも縄文時代の話は聞きに行きたくないと思うんです。「どうやら何かやらないといけないな」というので、「先生、何かしゃべってもらえませんかねえ」「そうですか、ハハハ」という感じでやっているように思えてならないんですけど。
それじゃあ、まるで[編集]になってないんですよ。網羅性もないし、他とのつながりも不明確だし、非効率だと思うんです。
鈴木 宣伝にはなってるんですけどね。目的意識が明確ではなくて、ただ何かをやらなければならないということがありますからね。それをやってどうするかとか、どうなるかといったつながりがないですから。