オリジナル版「デブのひとりごと`98」

出る杭金融マンの勧め

 日経金融新聞から原稿執筆の依頼を受けた。忙しいけどまあ仕方ねえな。会社の宣伝にもなるし。というわけで、「デブのひとりごと」に書いていたものを適当につなげて以下の原稿をまとめました。前半は「日本病」の分析。後半は変化対応型人材の7条件です。後半の方は、普段の私の行動原理を書いているだけです。というわけで、文章の方は適当にまとめましたが、顔写真には気合いを入れました。原稿料はそのままカメラマンの口座に振り込みました。

 掲載日 98年9月20日。



「金融村を外から見て、感じることを書いてほしい」との依頼を受けた。出版界とて再販制に守られた規制産業なので大きな事は決して言えないが、感じるままに書いてみたい。

 既に銀行業は崩壊の一歩手前にある。まず、破綻銀行処理のための法律が成立しても金融を巡る環境変化は押し止められず、各社の経営が改善するわけではないという事実を強く認識する必要があるだろう。自ら変わることのできない金融機関は、競争力を失って消えていく運命にある。死にたくなければ闘うしかないのだ。

 では敵は何か。金融マンは、入社時には同世代の中でも優れた人材だった。俊秀ゆえに変革の青写真も描けるだろう。そうした人的資源と組織内の「知」の持つ潜在力の発揮を妨げているものこそが、金融業の真の敵ではないか。私はこれに「日本組織病」という名称を奉呈したい。

 日本組織病に罹患した組織は、その組織目的を組織の存続に限定する。この組織は超然的に存立し、社会的責任などは顧慮しない。「競争」という概念も持たない。株主はこの組織の埒外に置かれる。

 また責任回避のための芸術的なテクニックが存在する。会社内では、集団無責任体制で仲良く退職金をいただく仕組みになっている。年功序列以外の人事体系は考えられない。垂直的責任回避手段として大蔵省という絶対存在を戴き、水平的責任転嫁手段として業界団体の決定に従う体裁を取る。天下りなど、責任回避システムにかけるコストに対してはかなり寛容だ。

 日本組織病は強力な伝染力で全金融マンを集団催眠にかけている。組織に順応するには、外部との接触を断ち、発言の機会を減らし、思考を停止しなければならない。目新しいことを主張するのは愚だ。日本組織病との付き合いが長い組織の上位者の主な仕事は、部下から上がってくる尖った提案や情報を丸めて人畜無害にする、つまり「出る杭を打つ」ことだ。部下の方もそうした仕組みの理解が進めば、まともな情報を上司に上げなくなる。こうして組織内の情報の流れは遮断され、根本的に解決すべき問題は棚上げされたまま、長幼の序を乱さず、ばかげた仕事をなんとなく意味ありげに見せる技術を持つ人のみ出世街道に残ることとなる。

 まず日本組織病を治療しないと、どんな優れた戦略も、革新的であればあるほど採用されまい。目的も戦略もなく意思決定システムも不全な組織は、やがて緩やかな死を迎えるのみである。

 次に変化対応型の人材に必須と思われる条件を列挙してみよう。

他者と違うことを恐れてはならない 利益を生み出すものは、自分が作り出したオリジナルの価値である。それを実現するためには、「幾千人といえど我往かん」の気概が必要。

発言することを恐れてはならない 情報を集め、分析し、考えなければ発言はできない。逆に「物言えば唇寒し」で口をつぐめば、ますますバカに近づくだけ。常に考え続ける姿勢が大切だ。

外部と継続的に接触し、情報をとり続けるべし 勉強は生涯続く。

価値を判断せよ 溢れる情報の中から価値あるものを選び出すには訓練が必要。微妙な差異の中に利益機会がある。自分の価値観を磨き上げる努力が必要だ。部下の提案が自分の評価能力を超えているなら、判断を留保し他人の判断を仰ぐべき。また多くの企業では、現在解決すべきとされている問題の設定自体が正しいのか、評価し直す必要があるのではないか。価値観がなければ、根本問題に直面する勇気は持てないはずだ。

想像力を持つべし どんな小さなひらめきでも、それを想像力でぐっと拡大し、努力と忍耐で一大事業にしてしまうのがベンチャー企業である。想像力がなければ、儲けを産み出す仕組みは考えつかない。

自己責任意識を持て 組織目的に貢献した度合いで報酬が決まるのは当然のこと。会社は互助会ではない。

バカをトップに戴くな 無能なトップでは、組織の方向修正が利かないどころか、大きな危機には対処できない。「上司は選べない」のも事実だが、一緒に沈没するくらいなら下克上したほうがずいぶんましだ。革命を起してでもすみやかに組織を変革しなければ潰れてしまう瀬戸際に多くの日本の金融機関は立たされている。革命とは究極の社会参加であるが、すべての金融マンはタコツボから這い出して、サラリーマン生命を賭して自社の風土を変革すべきところまで追いつめられていると考えるべきではあるまいか。


 (この項終わり)

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