オブッチーが自民党の首班になってしまいましたが、これはまさに自民党が、ごく一般的な「日本病」にかかっている証左にほかなりません。たいがいの日本の組織はこの病気にかかっており、進行するとパフォーマンスが落ちて没落していきます。
友人がプロデューサーをやっている番組を見ていると、自民の若手代議士が21人出てきて、寝言妄言吐いていました。その中で、テリー伊藤が「あまりにも自民党内の小渕評と、世間の支持との間に乖離がありすぎる。よくのんきにこんな所へ出て来れたものだ」と言ったのに対して、小渕派以外の代議士もみんな猛然と反発し、「いや、われわれは小渕氏を評価している。だいたい選ばれたばかりで、やらせてみないとわからないじゃないか」と言っていました。
これなどはまったく典型的な症例です。組織内の「気風」に洗脳されてしまって、自分たちの行動に疑問を感じない集団催眠状態にはいっているわけです。誰かが起こしてやらないと、自民丸があさっての方向に走っていることに全員が気がつかない、気づいた人がいても方向転換する権限を持つ人がその情報を判断する能力を持たないので、結局一緒に沈没してしまうというのが目に見えています。
大蔵省も長銀も、自らの存続を常に脅かす結果を招くような競争のない組織は、ほとんどこの「日本病」に冒されています。
「やらせてみないとわからない」とは笑わせる。みんなしてアホをかつぐことがわかっているのにアホをアホと言わないのはこっけいだというのは、子供でも知ってることだ。「裸の王様」という寓話を読めっちゅーの。
中世のある枢機卿は、杖をつかないと歩けないようなボケ爺を演じていたのですが、ローマ法王に選出されたとたんに杖を放り出してシャキッと立って歩きだし、法王庁に巣くっていたダニどもを追い出して法王庁改革に成功したという話があります。互選ですから、ダニが「こいつならたいしたことはできまい。自分の利権も安泰だ」と思った奴を法王に選ぶのですが、選ばれた法王がダニを駆除しちゃうというのはかっこいい。オブッチーにそれができますかね。そういう人材でないのは明らかでしょう。
ぼくは、自民党には危機に対処するためには自らを大きく変える底力があると今日まで信じてきたのですが、どうやら私の眼鏡違い。買いかぶりだったようです。自民党も、日本の他の既存組織と同様に没落するしかなく、再生は不可能でしょう。
(写真は明治6年イギリスで灯台監視船として建造された帆船、明治丸。「海の記念日」は明治天皇が東北巡幸の帰途、青森から乗船して横浜へ到着した日を記念したもの。なんかこじつけっぽい)