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労働ニュースと解説・コラム

     目次

全労連が職種別賃金/030625
連合に厳しい評価と新賃金、企業別組合脱却など提言/030618
解雇規制へ後世に残る成果 労働界と野党、法曹界で共同/030604
労基法改定の解雇ルールに関する特別声明/030601
連合が解雇促進法修正へ3500人集会/030530
全労連が労働法制反対で4000人集会/030521
「解雇自由の原則」法案反対でJMIUがスト/030521
「立証責任で立法者意思の明確化」とは「参考資料」程度/030520
有事法制で対応に乱れ/030513
春闘未解決組合は6割、二極化する春闘/030508 
坂口厚労相、「労働基本権で連合と政府が話し合う」/030501
労働法制改悪阻止へ連合、全労連が相次ぎ集会/030421  
       世界トップレベルの中小技術 人工衛星から脳外科手術レンズまで/030417
     ジャーナリストへの殺人ブッシュの無法に抗議する/030412
「女性労働白書」02年版/030407
吉永小百合もメッセージ 「NO WAR 0N IRAQ !」/030405
NO WARで建交労がストと自動車横断幕アピール/030330
NO WAR !/030323
問題多い03春闘結果/030313
定昇破壊と賃金制度に思う/030308
元気な全労連系の「金属共同」集会/030305
さまざまな春闘アクション/030303
労働基本権回復ヘ政党集会/030225

世界に逆行の「解雇自由の原則」/030223
埼玉77ケ所で春闘勝利・イラク攻撃反対提灯デモ/030220
ベア断念組合の決起集会に、会場は苦笑とシラケ/0302122
ゼンセン 私鉄がベア要求  当たり前が話題に/030212
ついに組合も「春討」 賃下げミニマムを要求/030203
全日産が労使関係問い要求/030125
賃上げは困難だが闘いで前進の芽も 全労連など/030116
連合会長の自民党大会出席に組織は3分化/030110
日本経団連03春闘対策報告 連合のベア弾力化を評価/021219
  全労連は底上げ1万円を提起し論議/021208
jcは「高コスト改革」へ公益価格問題視/021206
ILOの戦略.日本の国際基準のセンスは通用せず/021126
解雇ル−ルで「金銭解決」問題の是非/021126
解雇ル−ルで労働界の共同へ/021120
・ベア2年連続断念の連合春闘の異例ときしみ/021119
・パ−ト・サポ−ト市民会議が発足・経営者も参加/021030
労働法制改悪反対で連合・全労連が共同/021029
・03国民春闘スタ−ト 全労連など国民春闘共闘発足総会/021018
         ・「組合衰退」「座して死を待つのか」労働運動に危機感/021003
     ・民間最大78万のUIゼンセン結成 産別統合、連合54産別へ/020919
     ・自動車はモンロ−主義春闘/020906           
     ・マイナス人勧との闘い/020906             
     ・JCは03春闘でベア戦線から離脱方向/020906     
     ・「メイク・ワ−ク・ペイ」で生活賃金基礎の再賃へ関心たかまる/020829
     ・賃金決定システム破壊−史上初の−/020809       
     ・最賃改定も毎年から〜/0208092
     ・ウイング広げた全労連/020727               
     ・02版労働経済白書が「リストラ悪影響」指摘/020716  
     ・電機連合の「職種別横断賃金」に注目/020706      
     ・全労連など春闘共闘の02春闘も厳しい結果/020705   
     ・JMIUは産別統一闘争を強化/020704         
     ・中坊公平弁護士が連合評価委員会で会見/020701     
     ・03年、ベア春闘から戦線離脱の連合提案の是非/020702 
     ・奥田・日経連新会長にもの申す/020604         
     ・連合政策中央討論集会でゼンセン高木節/020612     
     ・ 2年ぶりに国会前座り込み 3団体共同/020529      
     ・「解雇ル−ル立法」へ連合、全労連、全労協が/020520  
     ・有事法制成立阻止・消費税減税/020516         
     ・労働三団体ガ「有事法制反対」へ/020427        
     ・連合・全労連・全労協が国会包囲/020412        
     ・歴史的転機の02デフレ春闘・総括視点/020409     
     ・政労使ワ−クシェアリングの課題・時間転換権/020331  
     ・小泉医療改悪へ怒りの国民集会、署名/020214      
     ・牛年の労働運動/020122                
     ・02日経連報告のタカ派路線 定昇凍結/020120     
     ・ワ−クシェアリング/011223              
     ・成果主義の落とし穴/011220              
       

        全労連が職種別賃金                   
                                    
                                    
 全労連は03年6月18日、賃金闘争交流集会を開き、「底上げ」とともに、
初めて「職務・職種・専門性に見合った公正・適切な賃金」を一つの方向として
提唱したのが注目される。                        
                                    
 いま、職種別賃金は雇用構造の変化なかで内部・外部労働市場をリンクさせ、
均等待遇とからめて、ミニマム基準とともに労働関係の各分野から注目されてい
る。                                  
                                    
 ドイツなとでは職種別熟練度別横断賃金であり、日本でもかつて産業横断賃金
として電産型賃金や全国自動車なとで実施ささ、電機も60年代に要求したこと
がある。                                
                                    
 職種別賃金の検討課題では、産別交渉と波及システムや社会的職業資格評価制
度、ライフサイクルに対応する社会的賃金など新たな問題がある。最賃制、職種
別賃金交渉など国際的動向も参考に、賃金ビジヨンの確立へ、運動論と組織論を
あわせた賃金闘争の再構築の議論を注目したい。              
                  目次へ

   連合に厳しい評価と新賃金、企業別組合脱却など提言         
                                    
                                    
 中坊公平弁護士を座長に、イーデス・ハンソン、神野直彦東大教授など7氏で
構成する連合評価委員会は03年6月12日、中間報告をつとめた。      
                                    
 低迷する労働運動への指摘は厳しい。「賃下げ競争、リストラなどに働く者は
怒ろうともしない」「時代の先頭を走っている存在ではなく、時代のしんがりへ
と反転」「企業不祥事に際しても組合は機能不全」「労使協調路線に浸かり緊張
感が足りない」「労働運動は足元から崩壊に直面と、酷評している。     
                                    
 改革のシナリオでは、働く者の利益を代表し、国民と連帯できる組織へ「変身
の必要がある」とし、「組合の原点」を強調した。労使関係で弱い立場の労働者
の連帯を原点に、「職場、地域」を出発点に「企業別組合中心から産別、ナショ
ナルセンター、地域組織の強化」などを提唱した。仕事の価値に基づく「職務・
職種型賃金」や全国一律ミニマム基準の提起も注目される。         
                                    
 「連合がどう対応されるか」と中坊座長。連合幹部は「重い課題だ」「職種別
賃金の提起は評価」と語る。実行が問われている。             
                    目次へ


   解雇規制へ後世に残る成果 労働界と野党、法曹界で共同    
                                  
    均等待遇、労働契約法など付帯決議に注目           
                                  
                                  
 日本の実体法で初めて解雇規制が条文化された。労基法改定で「解雇自由」
の条文が与野党合意で削除され、合理性のない不当な解雇は無効とする新た
な条文が創設された。解雇ルールに関して後世に残る大きな成果である。 
                                  
法案修正の内容は、政府案にあった「使用者は…解雇できる」の原案を削
り、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認め
られない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」というもの
である。最高裁判例として闘いとってきた解雇権濫用法理(実体は解雇には
正当事由が必要)を明記した。                    
 明治時代の工場法では「解雇事項ハ勅令(議会を経ない天皇の命令)デ定
ム」とされていた。施行五六年の現行法も個別的事由では解雇予告など7項
目の制限はあるが、一般的解雇規制はなかった。今回、実体法で解雇規制を
明記したことは、リストラ不当解雇の抑制へ大きな意味をもつ。     
                                  
 もともと「解雇自由・例外規制」の政府案は法曹界から「異常・異質」と
批判されていた。労働者保護の労基法に使用者の権利が保障され、労基法の
変質が懸念された。また、解雇事由の立証責任も労働者が負うとの恐れもあ
り、厚労相さえ条文構造の欠陥を認めざるを得ないほどだった。     
                                  
 連合、全労連、全労協の労働界と労働弁護団、日弁連など法曹界、野党四
党が共同して抜本修正を実現した。法案要綱の「無効解雇の金銭解決」も撤
回させている。一方、有期雇用の延長による「解雇予告付き雇用」や不払い
残業の合法化ともなる裁量労働の要件緩和の問題も残っている。働くルール
確立では欧州は解雇規制法や均等待遇を実現している。日本も今回の解雇規
制の成果を発展させ、働くルール確立へ一層の共同発展が期待される。  
                                  
 舞台裏ではエピソードもあった。日弁連意見書に連合のトップリーダーが
意向を打診していたこと、法案の国会審議は野党にまるなげといわれた連合
も自民党と水面下での接触などである。                
                                  
労働側の委員が「世論の力を実感した」との感想が極めて印象的だった。 
                             目次へ

           労基法改定の解雇ルールに関する特別声明           
                                         
                                                            
 国会で現在、労働基準法の一部改正案が審議されている。法案は解雇ルール、有期雇用契
約、裁量労働制の規制緩和など重要な改定を提起している。このうち解雇ルールの設定は、
労基法の本質に関わるものとして最も重要な論点となっている。            
                                         
 法案は、解雇について「使用者は、法律規定で解雇の権利が制限されている場合を除き、
労働者を解雇することができる。ただし、その解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通
念上相当と認められない場合は、権利の濫用として無効とする」としている。解雇について
現行法では解雇予告や産前産後・業務災害の場合の解雇制限、組合活動を理由とする解雇な
ど一定の制限があり、一般的解雇規制条項はないものの、判例などで解雇についての正当事
由や解雇権の濫用法理、「整理解雇の四要件」などを確立してきた。          
 ところが、今回の法案は、解雇ルールで使用者の解雇権について「原則自由」「例外規制」
の条文構造になっている。この結果、使用者に「解雇は自由」のアナウンス効果を招く弊害
も危惧され、リストラ不当解雇を増大させるおそれも指摘されている。         
 しかも、裁判ではこれまでとは立証責任が逆転し、労働者が使用者の「解雇権濫用」を立
証しないと、敗訴になる法構造となっており、解雇事由の立証責任で厚労省と政府とのくい
違いもみられる。加えて、法案はこれまで判例で確立してきた解雇権濫用法理を法律で否定
するおそれも指摘されている。                           
 こうした基本的な問題は、労働者の経済的、社会的地位の向上をめざすべき労基法が、逆
に使用者の権利を保障し解雇権を強める法への構造変化も危惧される。現行法でも「使用者
は……できる」とする条項はない。法案で「解雇自由」を立法化することは、労働者の雇用
不安と支配従属関係を深刻化させ、使用者にとっても「人間尊重の経営」に背くことにもな
ろう。                                      
                                         
 今回の「解雇自由」の法案に対しては、連合、全労連、全労協などが一致して解雇権濫用
法理の立法化と使用者の立証責任の法文化などを求め、廃案も視野に抜本修正をめざしてい
る。さらに日本労働弁護団が法案反対と抜本修正をアピールしているほか、日本弁護士連合
会は法案の「解雇自由」の条文を削除し、「使用者の解雇権の行使は、客観的に合理的理由
を欠き社会通念上相当と是認できない場合には、権利の濫用として無効とする」との修正案
を発表した。                                   
 世界的にみても使用者の解雇権に対しては、ILO(国際労働機関)やEU(欧州連合)
をはじめ、ドイツ、フランス、イギリスなどは解雇規制法を制定しており、日本の法案が国
際的にも「異常・異質」とされるゆえんである。                   
                                         
 法案では裁量労働制の拡大のほか、有期雇用の延長も提起され、派遣法の規制緩和とあい
まって不安定雇用層が増大し、正規従業員の減少代替に伴う組合の空洞化も懸念されている。
労基法改定は八〇年後半の労働時間の弾力化から始まり、その後、派遣労働の拡大、裁量制
の弾力化などを経て、いま「解雇自由」の立法化へと大きな転機に立っている。     
                                         
 今日、解雇を含め年間百万件の労働相談や個別紛争が増加しているなかで、雇用の安定と
解雇規制、働くルールのグローバルスタンダートの確立は急務である。法案審議では、労働
者保護の最低基準と権利を保障し地位向上をめざすべき労基法の本旨に沿い、判例法理など
を踏まえつつ、基本的な問題点について十分な時間と慎重な審議を行い、戦後の労基法に汚
点を残さない解雇ルールの成分化を強く訴えるものである。              
                                         
                                   以上    
                                         
                              (鹿田勝一私案)   目次へ


    連合が解雇促進法修正へ3500人集会             
                                   
 「解雇促進法案」の修正の動きが与野党間で強まるなかで、連合は03年5
月29日、東京で抜本修正を求める集会を開き、3500人が参加した。笹森
会長が「抜本修正できなければ廃案」と劇をとばし、参加者は久しぶりに国会
デモを行った。                            
                           目次へ


    全労連が労働法制反対で4000人集会             
                                   
       全労協組合も参加し共同拡大               
                                                                      
 全労連は03年5月21日、東京の日比谷野外公会堂で「ストップ!首切り
自由化・使い捨て 労基法・派遣法改悪阻止5・21中央決起集会」を開き、
約4000人が参加した。                       
 ときあたかも、派遣法改悪が衆議院厚生労働委員会で採択され、さらに「解
雇自由」原則の労基法改悪案の趣旨声明がはじまった日である。      
 集会では熊谷議長が解雇自由法案阻止を訴えた。全労協の子島事務局も全労
連との共同を呼びかけ、全労協の組合も旗をなびかせて会場に参加した。政党
では共産党が挨拶し、民主党、社民党、自由党がメッセージを寄せた。   
                                   
 労基法改定問題では、民主党が「解雇自由」原則に反対して、修正案を検討
しているほか、国会が6月18日であり、問題の多い政府案に対する慎重審議
が求められている。                          目次へ



       「解雇自由の原則」法案反対でJMIUがスト       
                                   
        日本の産別で初めて 政治ストの闘い交流に自信     
                                   
                                   
 労働法制改悪反対を掲げて、全労連・JMIUが03年5月21日、産別統
一ストを行った。日本では唯一、初めての労働法制反対の産別統一ストとなる。
ストに入ったのと70支部・分会にのぼり、職場集会と決議採択は110支部
・分会に達し、「政治ストとして参加組合が多く、成功した」と語っている。 
                                   
 スト集会が東京の官庁街近くで行われた。生熊委員長が「解雇自由」は労基
法の本質を変質させるたけでなく、失業者増と所得減による景気後退、社会保
険財政の悪化にも影響する。子々孫々までの改悪となり、国民的な闘いで法案
阻止をしょうと呼びかけた。                      
                                   
 スト参加組合は、職場で学習、地域のビラ宣伝と署名活動を広げてストに参
加。連合組合にも署名をよびかけるなどを展開し、自信をみせていた。   
         目次へ


    「立証責任で立法者意思の明確化」とは「参考資料」程度     
                                   
    宮里労働弁護団会長が「解雇自由」法案で反論表明        
                                   
                                   
 日本労働ペンクラブ(新聞の論説・解説委員や学者などで構成)は03年5
月20日、日本労働弁護団の宮里会長から労働法制改定についてヒャリングを
行った。                               
 宮里弁護士は、「解雇自由原則」「例外無効」の解雇ルールを批判しつつ、
立証責任についても見解を表明した。法案要綱で「主張立証で立法者意思の明
確化」に触れて、「立法者意思の明確化は、労基法改定趣旨での国会答弁か法
案の付帯決議などがあるが、それでは裁判の参考資料になるにすぎない」と問
題を指摘。国鉄改革での首相が「一人も路頭に迷わせない」と答弁しても、裁
判を規制していないと述べた。                     
    「立証責任で立法者意思の明確化」とは、法律本則への成分化が求められる。
                目次へ

            有事法制で対応に乱れ             
                                   
                                   
 憲法上から問題のある有事三法案について、連合の対応に昨年とは変化が生
まれた。                               
 昨年、連合は有事法制に反対したが、今回は民社党の修正内容とからみ、国
会審議を慎重に見守るとの態度である。笹森会長は03年5月9日の記者会見
で「監視役をはたしたい」との見解を表明した。             
                                   
 しかし、有事三法案は、憲法九条で定める「国際紛争の解決に武力を行使し
ない」とする内容を踏みにじる立法である。日本国内だけでなく、地球のどこ
からでも自衛隊の「武力行使」ができることになる。まして、放送の規制を明
記し、言論出版の自由を踏みにじっている。働く人が命令を拒否すると解雇も
      できると政府は答弁している。集会、結社、デモの規制にもかかわるものである。
                                                                    
 有事・戦争法案への静観は労働組合の自殺行為になることは、戦前の歴史が
教えている。憲法擁護の観点から、有事法制の問題を指摘し、反対の声をあげ
ることを期待したい。                         
 昨年は、連合、全労連、全労協も一致して反対運動を展開したが、今回は対
応に乱れが生じた。連合参加の組合でも交通・運輸などでは昨年のように連合
に反対の対応を望む声もだされている。                 目次へ



   春闘未解決組合は6割、二極化する春闘              
                                   
                                   
 中小、地域春闘が5月に入っても闘われている。連合では6割が未解決であ
り、全労連では妥結は25%にとどまっている。             
                                   
 今年の春闘の特徴の一つに大手、中小の二極化があげられ、定昇の有無で産
別内の二極化も拡大している。                     
                                   
 連合の中小産別からは「これからが大変」「連合の定昇確保の評価も、定昇
がない組合が9割を占めている組織実態を踏まえたものか」「産別自決と単組
自決になる」との問題も指摘されている。                
                                   
 連合の有力幹部は「来年も今年の方針を踏襲」としているが、はやくも産別
自決で、ベア放棄を表明するとはいかがなものか。            
                                   
 全労連も財界の春闘崩壊攻撃に対して奮闘との評価だけでなく、大企業を中
心に春闘が賃下げシステムに変質していることに対して、どうたたかっていく
のか、また、これからの賃金論と賃金制度をどう展望するのか論議も求められ
ているのではないか。                         目次へ


   坂口厚労相、「労働基本権で連合と政府が話し合う」        
                                                                      
 ILO総会は6月からスイスのジュネーブで開かれるが、坂口厚労相は03
年5月1日、連合の第74回メーデーに政府代表として出席し、公務員の労働
基本権問題で見解を表明した。骨子は次ぎのとおりである。        
                                   
 「公務員の労働基本権については、政府と連合が労働側として話し合い、I
LOに提案・意見をきいて、政府が対応することをILOに伝えた。ILOは
早期に労使が話し合い、国際的視野で対応との見解が表明された」と述べた。
 すでに政府としても福田官房長官が連合との話し合いを表明してた。   
                                   
 厚労相が公の場で労働基本権問題で連合と話し合う内容を前提にILOに対
応するとの述べたのは初めてである。連合の官公労としても政府の見解を確認
する方向である。                           目次へ



        労働法制改悪阻止へ連合、全労連が相次ぎ集会      
                                   
                                   

 「解雇自由」の立法化や有期雇用、裁量労働、派遣労働の規制緩和などを争
点とする労働法制の改悪案が国会で大きな争点となっている。もし労働法制が
改悪されると、どうなるのか。連合、全労連、全労協を問わず組合の枠を超え
て不安の声が強まっている。                      
                                   
 連合は03年4月17日に東京で室内集会を開き、850人が参加した。草野
事務局長は抜本修正へ廃案も辞さないと決意を述べた。          
                                   
参加者は「みんな辞めてもらい、派遣として働くれといわれた」「希望退職で
50人が辞め、次ぎの日から偽装派遣で50人が働きだした」「製造業への派
遣が解禁されると、正職員の解雇と派遣代替が進む」とJAM。      
「有期雇用三年間への延長も対象はパートでなく、正規であり、使用者にと
って安くて使い勝手のよい労働者づくりだ」とUIゼンセン。と問題を指摘。
                                   
 日本労働弁護団会長の宮里弁護士は、使用者の解雇権について「原則自由」
「例外規制」の条文構造に触れて「異様・異常・異質」と指弾した。労働者を
保護すべき労基法が、使用者の解雇自由を認める法へと変質する。裁判でも労
働者が使用者の「解雇権濫用」を立証しないと、敗訴になる危険も大きい。さ
らに「判例による解雇規制の法理を立法で緩和させる、解雇促進とる危険があ
る」と警鐘し、抜本修正を訴えた。                   
                                   
                                   
                                   
 全労連も4月18日、東京で室内集会を開いた。熊谷議長が改悪阻止へ国会
闘争の強化を呼びかけた。                       
                                   
 参加者は「請負と称した製造業への違法派遣が合法化される」(JMIU)
と反対を表明。契約スチュワーデスは「待遇で格差があり、さらに契約更新し
てもらえるか不安」「予告解雇付き雇用」(自治労連)と反対を表明した。裁
量労働の拡大では「成果主義賃金と重なり、サービス残業の合法化」(IBM)
「過労死の認定否定に裁量労働制が使われた」なども報告された。     
                                   
 最後に生熊本部長が解雇自由と不安定雇用の増加は組合の団結権侵害ともな
る。国民的な闘いを強めようと呼びかけた。               
                                   
 「戦後の労基法に汚点を残す悪法は身体をはってでも阻止する」と各野党。
首切り自由と不安定雇用層の増大は「組合の空洞化」ともなる。廃案も視野に
いれ、抜本修正へ、連合、全労連、全労協、学識者、野党が一体となった共同
行動がカギである。                          目次へ


   世界トップレベルの中小技術 人工衛星から脳外科手術レンズまで  
                                                     
 三鷹光器。工場を見て驚いた。東京・三鷹にある国立天文台近くの住宅地に
ある小さな2階建ての建物。これが、ドイツのライカが技術提携で契約し、ア
メリカNASAがスペースシャトルに搭載した望モニターカメラを特別発注し
た会社とは。さらに、脳神経外科手術の顕微鏡から、太陽光線をつかって石炭
液化によるクリーンエネルギーの開発をすすめている。          
                                   
 1964年に工場を創設し、会長、社長も技能者であり、モノづくりを自分で発
明、製品化する。38人で世界トップレベルの商品を開発し、内外から脚光を
あびている。                             
                                   
「最先端技術も熟練技能がなくてはできない」「手作りの昔のレンズの方が良
くみえた。いまのレンズはアバウト。モノづくりは大事だ」        
                                   
「NASAは、日本の00会社はビス、熱に耐えられる鋼材は00会社を使え
と指定。日本の企業製品名をよく調べていたのに驚いた」         
                                   
「従業員は中学卒で根気があって、器用な人間を採用している。NASAのモ
ニターも中卒者が製作し、いま部長」「女性も音大卒で技能者として採用し、
やすりかけから行っている」                      
                                   
「ヨーロッパでアームの技術にかかわり、特許問題が発生したが、会長(小学
卒)が発明し、技術問題も即断できる。欧州の弁護士が『日本のトラブルは日
本本国の判断をあおぐので時間がかかるが、三鷹光器は即断でき、信頼がおけ
る。手を組みたい』といってきている」                 
                                   
「専門技術すぎて市場から受け入れられなかったが、10年後には、あの技術
は三鷹光器で開発と知られ、内外から注目されるようになった。アイディアは
即パテントをとるようにしている。アイディアは試作しなくても作れるという
ことである」                             
                                   
「昨年の売上はこれまでで最高。ことしもいけるだろう」         
               「中小企業でのネット、アッディアも連携したい」            
         「どんなに進歩しょうとも職人は必要」との言葉が印象的だった。           日本労働ペンクラブの工場見学で元気な中小技術をみた。 
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  ジャーナリストへの殺人ブッシュの無法に抗議する         
                                   
                                   
 なんということか。アメリカにとって不利となるメディアと記者に対して、
ブッシュは殺人を行った。記者会見で米軍は「ホテルのロビーから銃撃があっ
たので反撃した」といっているが、米軍の戦車が狙ったのはロビーではない。
                                   
 バグダッドのパレスチナ・ホテル15階のロイター通信の支局と、17階のアル
アラビア支局である。また、カタールのアルジャジーラ・バグダント支局はミ
サイルで襲撃された。3人のジャーナリストの死に心からの哀悼を表したい。
                                   
 言論・出版の自由は民主的権利として国家権力は保障しなければならないに
もかかわらず、ブッシュは言論を狙い撃ちにし、殺人を行った。ブッシュの「
民主化」がいかにまやかしか。国連憲章違反・国際法違反・占領・石油強奪な
ど無法に無法を重ねるブッシュの蛮行を糾弾し、狙い撃ちにした犯人を探しだ
し告訴すべきだろう。                         
 ブッシュは主犯であり、オランダ・ハーグの国際刑事裁判所に戦争犯罪と侵
略の罪、人道に対する罪として告訴すべきだろう。            
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 「女性労働白書」02年版                       
          不安定化・格差拡大・パート基幹労働化     
                                    
                                    
 働く女性の実情をまとめた「02年版女性労働白書」では、女性労働者の増加
と均等待遇が重視されながら、その実態ではリストラ、賃金格差など厳しさがに
じむ。                                 
 女性は男性の雇用者数の減少が大きかったため、雇用者総数に占める女性の割
合は40・5%へと上昇し、女性パワーの増大を示している。        
 一方、女性パートの時給は前年比1円増の891円にとどまり、女性一般労働
者の64・9%にすぎない。格差は前年より1・5%拡大し、4年連続となった
一般労働者の男女賃金格差は66・5%。女性パートは49・6と拡大する。 
                                    
 パート問題では従業員5500人のうちパートが8割と基幹労働者になる流通
業もある。パート法の「均衡配慮に務める」との努力規定や指針改定でなく、実
効力のある均等待遇原則の法制化が望まれる。               
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   吉永小百合もメッセージ 「NO WAR 0N IRAQ !」  



    「信じられません。世界中の人々が反対しているのに劣化ウラン弾まで使っ
て、攻撃を続ける侵略軍。戦争とは人を殺すことです。今、私たちのやるべき
ことは、みんなでもっと大きな声をだして戦争をストップさせることです。
イラクの子供たちを守ることです」(吉永小百合)。            
                                   
 木下順二、中山千夏ら著名人24氏が呼びかけた「NO WAR ON  
 IRAQ 4・2大行動」が東京・明治公園で開かれた。降りしきる春宵の
雨をついて、15000人(主催者発表)が参加した。          
                                   
 労組からは建交労が取り組んでいる300台のコンクリートミキサー車に、
「イラク戦争即時停戦」を掲げた横断幕宣伝が紹介され、会場から拍手がおき
た。熊谷全労連議長はアメリカのイラク侵略戦争反対行動と小泉首相の戦争協
力反対行動を強めようと呼びかけた。                  
 集会では吉永小百合のメッセージも読みあげられた。          
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   NO WAR 建交労がストと自動車横断幕アピール        
                                               030330   
         
                         
全労連・建交労がブッシュのイラク侵略戦争の即時停戦と小泉の無法戦争協
力中止を掲げて03年2月20日、関西生コンの28職場、約500人が午前
8時から10まで2時間の抗議ストを実施した。             
                                   
 日本の労働組合でイラク戦争反対のストは初めてであり、かつてのベトナム
反戦国際ストの日本での先駆的な決起を伺わせる。反戦ストは春闘の最中で労
使交渉のなかで、経営者に平和のためのスト通告をして実施された。    
                                   
 ストとあわせ、コンクリートミキサー車の300台に横断幕をなびかせ、イ
ラク戦争反対・即時停戦と小泉戦争協力中止を訴えている。        
                                   
 建交労の坂田委員長は「日常的な労働運動で生活・権利・政治・平和を結合
させており、ストを呼びかけても当然の国民的な権利の行使として実施されて
いる。さらに、全労連以外の組織へのイラク反戦ストへと拡大」と述べた。 
                                   
 建交労は03春闘で年収の69万円減少などを踏まえ、賃上げ平均4万円以上
一律3万円以上を掲げて、闘いを推進。「トヨタのベア放棄が交渉で経営側か
ら使われている」と述べた。                      
                                   
 組織は小さいが賃金・権利・経営・平和・共同を含めて闘いを展開し、注目
してよい産別である。                         
全労連なとは3・27に緊急集会を港区・芝公園で開き、2300人が参加した。

全労協は3月28日、国会前で座り込み抗議集会を実施した。3・20に次いで
2回目の行動となる。藤崎議長は「国連憲章違反で国際世論を無視した無法戦争の
即時停戦 と小泉戦争協力反対を」と述べた。

連合は3月28日、中小春闘の解決促進と合わせて、クラク戦争反対・即時停戦
の集会を開き、笹森会長が反戦平和を訴えた。
                 目次へ


                NO WAR !                 
                                   
                                   
 東京・新宿で一人の青年が「NO WAR」のシャツを着て、ギターをかな
でていた。「反応は?」と聞くと、「通行人のなかにはフセインが悪いという
人もいて抗議される時もあるが、ガンバレという人の方が多い」という。  
                                   
 若い女性たち数人が新宿で「WORLD PEACE NOW 3.21」
のビラまき。「港区の芝公園では狭いのでは?」と聞いた。「広い会場が取れ
なかったが、是非、参加を」とビラをもらう。              
 なんと、5万人が参加して銀座デモ。日本札にブッシュの顔のプラカード。
属国日本を悲しむ。                          
                                   
 ついに国連憲章と国際法に違反して、ブッシュがイラク侵略戦争を始めた。
国連は国際紛争の平和解決を原則に、例外として攻撃された時の自衛権の行使
か、国連安保理の決議による武力行使を認めている。まして他国の主権侵害と
なる政権転覆は明白な憲章違反。国連安保理で仏独ロ中など各国の武力行使反
対・査察継続・平和解決の国際世論に負け、無法者となった。       
                                   
 ブッシュの狙いは、大量破壊兵器の廃棄を口実に、イラクのフセイン政権転
覆・占領と石油利権の強奪、中東での親米勢力の拡大である。しかし、国際法
違反の無法者が大量破壊ハイテク兵器を使って、イラクの民主化を口にするこ
とこそ大矛盾である。アナン国連事務局総長もブッシュの戦争は「正当性に疑
問」と指弾している。                         
                                   
 情けないのは小泉首相。平和憲法に背き、ブッシュ戦争に盲従する。NO 
WAO!は世界の声。国連は即時停戦へ動くべし。罪なき民衆を犠牲にする無
法者は、いますぐ立ち去るべきである。                 
                                   
 労働界では、連合が国連の決議のない武力行使と日本政府の対応に反対して
決起集会を開き、全労連、全労協も交運関係20労組と反対集会を開催。市民
団体の反戦平和集会では5万人がデモを行った。国際自由労連も「軍事行動反
対」で各国の組織に行動を呼びかけている。               
 労働組合はもっとアクションを。労働組合は最大で6000人集会、市民団
体が5万人参加とは。組織労働者のパワーが問われている。        
                                   
 メディアでは、NHKがアメリカと日本政府の報道中心であり、真実を追求
するジャーナリズムとして問題である。                 
 アメリカのCNNはバクダッドの現地記者レポートや各国の反戦運動の報道
とインタビューなどもあり、アラブ諸国の動きを含めて参考になる。ABCで
も各国の反戦運動を紹介しているが、NHKでは殆ど放映しない。      
 まして、NHKの米従軍記者が「われわれが兵を進めている」との報道があっ
たが、ジャーナリズムをなんと心得るのか。公共放送とはほど遠く、アメリカ
の大本営発表に堕落しているではないか。                目次へ


      ベアゼロ・定昇圧縮・賃金切り下げシステム元年へ      
                                   
             問題多い03春闘結果   
         
                                   
 自動車、電機など金属労協(JC)と私鉄、電力、NTT、JRなど連合主
要産別の集中回答が3月12〜14日に出されたが、日産のベア1000円やUIゼン
センの一部ベア組合を除き、軒並みベアゼロ・定昇維持の低水準となった。春
闘48年でもこれほどベアゼロが続出するのは異常である。しかも、春闘後に定
昇圧縮・廃止を含む賃金制度の見直し交渉が目白押しであり、実質賃下げに絡
む大きな問題を残す春闘結果となった。                 
                                   
 03春闘では、雇用優先から連合、JCとも初めからベア要求を断念したとは
いえ、各産別ともベアゼロ・定昇維持を「積極的に評価」(鈴木JC議長)、
「要求からみれは満額回答」(笹森連合会長)と、問題もなく高く評価してよ
いのかどうか。                            
 日本経団連の奥田会長も、集中回答について「ほとんどが定昇中心、ベアな
しで予想どおり。要求段階から労使とも意見が一致していた。定昇だけでよく
、これからの日本のあるべき姿」と大きく評価している。労使とも「ベアなし
・定昇のみ」を評価しあう春闘は、労使けじめのつけにくい関係を示すものと
もいえる。                              
                                   
春闘では昨年、定昇の一時凍結など一時的賃下げが提起されたが、03春闘では
定昇圧縮・廃止など恒常的な賃金水準の引き下げが逆提案され、春闘機能の変
化も指摘されている。さらに、要求、妥結、闘いかたの変化なと約13の問題
も残した。                              
                                   
 来春闘では、鉄鋼、造船などで結成する基幹労連や自動車などもベアを要求
する方向である。今後、連合としてのベア放棄の是非や産別・単組自決方式を
含めて、春闘の立て直しは急務である。              目次へ






           定昇破壊と賃金制度に思う            
                                                                      
 春闘で定昇切り下げが焦点になっている。しかし、定昇は組合が求め
たものではなく、定昇の切り下げや廃止は、経営側の背信とぺてん行為にほか
ならない。                              
      経営側が勝手に導入した定昇制度は、「生活給・ベアにもとづく熾烈な賃金
闘争の対策」として、「ベア否定の役割をもって登場した」とされている。
定昇原資はエスカレーターの比ゆのように「労働者の新陳代謝が一定であれば、
人件費総額は内転して一定であり、増大も減少もしない」と解説している。 
                                   
 深刻な問題は、ベアも否定され、定昇も破壊されると、今後の賃金制度はど
うなるのかということである。将来の賃金予測は不安定となる。また成果主義
賃金はモラル低下など問題が多い。今後の方向として、定昇制度のない欧州の
ように職種別熟練度別横断賃金と社会保障を組み合わせた賃金制度と賃上げ交
渉システムを展望してはどうか。                    
                                   
 定昇を見直したホンダのように、賃金カーブが上昇しているケースもあり、
労働界には「定昇廃止は賃下げではない」との味方もある。        
 しかし、賃金制度改定後の調整給などの推移をみると、総額人件費の抑制と
なる。絶対評価でなく、相対評価となれば、人件費コストの抑制は自明の理で
ある。警戒して対応する必要がある。                  
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         元気な全労連系の「金属共同」集会          
                 
                  
                                   
 全労連のJMIUと連合系、中立系の組合が03年3月2日、東京の日比谷
野外音楽堂で開き、約3000人が参加した。「財界の春闘抑え込みをはねの
け、春闘を元気よく」「リストラ許さず雇用とくらしを守ろう」の一致点で結
集した産別の枠を超えた集会である。                  
                                   
 金属共同集会は5年目。屋外集会は3年目だが、元気である。全国を3ブロ
ックに分け、京都の西日本集会、名古屋の中部集会を開催した。      
                                   
 参加組織はダイハツディーゼル、荏原製作などでつくる「まじめ懇」や電機
懇、造船連絡会、JAM加盟労組など、産別の枠を超えて結集している。  
                                   
 集会ではIBMの会社分割との闘い、リストラで組合を結成した支部など元
気な闘いを交流した。                         
                                   
 西日本の組織勢力は約3000だが、ほぼ全員参加に近いかたちで3000人が参加
した。最近はナショナルセンターの足腰も弱くなり、日比谷野外音楽堂を埋め
るのも大変だが、小さくても闘う産別が会場を埋めたことを評価したい。  
                                   
 生熊委員長は「共同の力。そんなにいわないでくれ」と謙遜していたが、闘
いをアピールするチャンスである。要求は一律3万円プラス格差是正。要求を
だすのも闘いのなかで、多くの支部、分会が3万円前後の要求を提出している
という。                               目次へ


           さまざまな春闘アクション            
                                   
                                   
 さまざまな春闘アクションが展開されている。             
「JC集会」 03年2月28日には、JCが闘争推進集会を開き、日本経団
連に公開質問状を提出した。欧米と比べて日本の賃金水準、労働分配率は高く
ない事をデーターで質問したものである。ベアを断念して、何をいまさらの感も
ある。「ベアを要求するのか」の質問には、鈴木議長は「アジア問題がある」
と言をにごした。趣旨をいかして、04年にはベアを要求してもらいたい。 
                                   
「パート銀座デモ」 同じ日、パートの集会が日比谷公会堂で開かれ、約1000
人が会場をうめた。時給10円引き上げ、均等待遇法をもとめたものであり、
銀座をデモ行進。熱気があり、消沈するベア断念与とは異なり、対照的な集会
となった。                              
                                   
「連合2万人集会」 春闘とイラク爆撃反対を掲げた連合の春闘が東京の明治
公園で開かれ、2万1000人が参加した。日産の組合員はベア1000円の満額獲得
を喜びつつ、トヨタもベア要求してほしいと語った。         目次へ           



           労働基本権回復へ政党集会            
                                   
                 
                  
 「日本政府は公務員の労働労働基本権回復へ法改正を」とするILO勧告を
踏まえ、民主、社民、自由の三党は03・2・25、東京で「民主的で透明な
公務員制度を求める三野党決起集会」を開いた。             
                                   
 民主党の管直人代表は「ILO勧告を踏みにじる公務員制度の改革は許さな
い」とあいさつした。                         
 自由党の藤井幹事長は「時代逆行の改革案に反対。WTOを守っている政府
が、ILOは違うというのは許せない」と表明した。           
 社民党の土井たか子党首は「法案に反対。野党が対案を提出し、プロジェク
トも」と述べた。                           
                                   
 来賓の笹森連合会長は「OECD・TUACでも『公務員の労働基本権がな
いのは発展途上国よりひどい』といわれた。連合の本部長として、官民あげた
取り組みをする」と決意を語った。                   
                                   
 なお、政府は02・2・24、連合との会見で官房長官は「誠実に対応」ふ
とのみ回答。石原大臣は「次ぎのステップ」と引き延ばしを表明した。   
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          世界に逆行の「解雇自由の原則」          
                                   
                                   
 労基法の改定法案要綱に、使用者の「自由な解雇権限」を与える条文案が示
された。現行法で規制されている解雇予告期間や組合活動を理由とする解雇な
ど八項目を除けば、解雇は自由にできることになる。           
                                   
 法案の問題は、使用者の解雇権について「原則自由」「例外規制」の条文構
造になっていることである。この結果、裁判では、これまでとは立証責任が逆
転し、労働者が使用者の「解雇権濫用」を立証しないと、敗訴になる危険が大
きくなっている。                           
                                   
 海外の解雇ルールをみると、ドイツでは解雇制限法で「正当な要件をみたす
ことが必要」と規定されている。フランスの解雇規制も「現実かつ重大な理由
の法的要件を満たすこと」を要件としている。イギリスでも雇用権法などで解
雇が規制されている。                         
                                   
 「解雇自由の原則」などの法制化は、労働者を保護すべき労基法が、逆に使
用者の支配を強める法へと大きく変質する。労基法の変質阻止へ、労働界の広
範な共同闘争が望まれる。                       
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    埼玉77か所で春闘勝利・イラク攻撃反対・提灯デモ     

                                 
 全労連など春闘共闘は「2・20国民総行動」を全国で展開し、約1900
個所、40万人が参加した。                     
                                 
 埼玉では、77カ所で集会、デモが行われた。さいたま市の常磐公園では
自治体、さいたま土建の組合員など約100人が参加。03春闘勝利やイ
ラク攻撃反対などを掲げて、浦和駅まで提灯デモをおこなった。    
                                 
 日本でのイラク攻撃反対運動でやっと草の根の闘いが始まったどいう感
じてある。                            
                           目次へ


  ベア断念組合の決起集会に、会場は苦笑とシラケ          
                                  
春闘を長く取材してきたが、決起集会で苦笑がおきたシーンを初めてみた。
                                  
連合の闘争開始宣言中央集会が03年2月7日に東京でひらかれた。    
「ベア断念している組合ばかり」との司会の声に参加者も壇上も苦笑。  
日産のベア1000円要求に「いいずらいでしょが」とは?ああ。        
                                 目次へ


        ゼンセン・私鉄がベア要求 当たり前が話題に!      
                                                                                                            
民間最大産別のUIゼンセンは03年2月4日、埼玉で中央委員会を開き、
ベアを含む要求を決めた。                         
 あいさつした高木会長は「産業・企業の動向も勘案しながら、一方で組合員の
生活もいたんでいることも留意し、賃金カーブ維持プラス『なにか』を要求する
ことを提起する」と訴えた。「プラス『なにか』」とは、単組によって、ヌベア
ネ手当・昇給制度の見直しによる昇給ノ労働協約改定による権利の向上などであ
る。産別統一要求は定昇を1・8%として、ベアでは500円を設定している。
                                    
 私鉄総連も2月5日の中央委員会で定昇相当分2・2%(6200円)プラス
・ベア1300円を決めた。あいさつした山野委員長は「各産別でベア取り下げ
など個別事情を優先する傾向があるが、苦しい時こそナショナルセンターは総か
がりで闘い、産別統一闘争に結集して閉塞感の打破を」と呼びかけた。    
 ベアを要求する産別は、産別統一闘争を重視しつつ、連合には「ナショナルセ
ンターの社会的使命としてベア要求を設定し、春闘の旗振りを」などを求めてい
るのが特徴である。                           目次へ


     ついに組合も「春討」・賃下げミニマムを要求。      
                                 
                                 
 日本サービス・流通連合は03・1・28、春闘方針を決める中央委員
会を開いた。あいさつした南雲会長は、「春の交渉を、企業の存亡をかけ
た企業経営全般にわたる討議とする『春討』の場に」との見解を示した。
                                 
 日本経団連も「春闘は終焉し、春討へ」と提起している。      
                                 
 03春闘では、ベア要求を見送った。               
 注目されるのは、ミニマムで賃下げを要求すること。        
 パートなどに適用される企業内最賃の参考数値として賃下げを掲げた。 
 賃金上昇率まマイナス1・4 %、物価がマイナス1・2%としている。 
  水準は134700円が、131200円に水準低下を要求する方向である。  
            目次へ


   全日産が労使関係問いベア1000円要求(定昇込み7000円)    
                                                                      
 全日産が定昇6000円プラフベア1000円の7000円の要求を確認した。
トヨタがベア放棄したなかで、自動車総連の大手では初めてのベア要求と
なる。                                
                                   
 日産労連の西原会長は03年1月22日、リバイバルプランの1年前倒し達成と
生産性と成果配分の格差、トヨリとの格差などを指摘した。
労使関係との関係を問うと、「昨年のベア1000円獲得以上に人を大切にする
経営の明確なメッセージとして、より重みをもつ」と、人への投資を述べた。
「日本株式会社との問題より、いち企業の成果配分問題としてすすめたい」と語った。   
                                   
 全日産の高倉委員長も「昨年のベア1000円獲得は職場によい感じで受け
止められている。厳しさを感つつも、今回もさらに人への投資をうったえてい
きたい」と述べた。                          
                                   
 自動車総連の加藤会長も1月の京都中央委員会でトヨタのベア断念を残念と
し、日産のベア1000円に続く単組に期待を表明していた。       
                            目次へ


  賃上げ容易でないが、闘いで前進の芽も・全労連など春闘共闘     
                                   
                                   
 全労連など春闘共闘は03年1月15日、第2回幹事会総会を開き、誰でも
1万円以上・平均要求は産別自決、パート時給50円アップ、全国一律最賃月
額15万円などを決めた。                       
                                   
 討論では、リストラと闘いながら組織を増やしているJMIUの報告が光っ
た。組合員の生活実態から一律3万円プラス格差是正を要求。経営者は「世間
では大手組合がベアを要求せず、賃下げといわれているとき、この要求はどこ
からでてくるのか、会社のことを考えているのか」との言い方が昨年より
強まっているという。
組合はこれに対して、「では、会社は働いている人のことをどう考え、
会社の現状と将来をどうみており、組合の要求に応えられない原因
をどう考えるのか」と質問。提言型の組合や労使関係、組織強化拡大と外にで
る組合運動をしながら、元気に闘い、会社に質問の回答を求めていくなかで、
前進した回答状況がつくられてきているという。             
                                   
 また、連合の有力組合が地方労連の春闘共闘総会に来賓として参加し、とも
に闘かおうとエールを交換。ある地方労連も「だれでも1万円以上の賃上げを
掲げて、連合との懇談を広げたい」など、地方からのベア春闘共闘の兆しも報
       告された。                                                     厳しいゆえに、枠う超えた春闘結束の兆しを注目したい。  目次へ       

連合会長の自民党大会出席に組織は3分化             
                 2003・1・10

                  
 連合会長の笹森氏が03年1月16日の自民党大会に初めて来賓として、
出席することに対して、連合内は3つに分かれている。           
                                   
 笹森会長は「雇用をまもるためは何でもする、どこへでも行き、だれとでも
はなす」と、雇用政策実現で自民党大会に出席を表明した。        
                                   
 賛成意見は、連合は政党との関係は政策であり、自民党大会にも出席して
いいと言うもである。                          
                                   
 反対意見は、民主党の選挙に不利になる、パーティなどはいいが、大会
機関会議であり、連合の出席は問題、労働法制改悪の政府・自民党の大会出席
は反対などである。組織議員を抱える金属大手などが反対している。   
                                   
 その他、どちらでもよいとする組合などである。            
                                   
 ナショナルセンターの会長が自民党大会に出席するのは、戦後労働運動でも
はじめてである。民主党との関係みなおしを含めて、連合の政治方針の今後の
検討が注目される。                          目次へ



     日本経団連03春闘対策報告 連合のベア弾力化を評価     
                                   
 日経連と経団連が統合して初めてとなる経営側の03春闘対策指針となる「経
営労働政策委員会報告」(経労委報告)が02年12月17日に発表された。 
 日経連の労問研報告以来29冊目だが、今回ほど、労働側をなめきり、経営
側の言いたい放題の春闘抑制内容は初めてである。            
                                   
 特に、連合が「雇用維持のため、労働条件弾力化」について政労使合意した
ことを3度も引用し、「連合の姿勢を評価する」と、2年連続でベアを断念し
た連合の姿勢を評価しているのが注目される。              
                                   
 経労委報告は、昨年同様に「ベアは論外」「定昇の凍結・見直し」に加えて、
今回、初めて、「賃下げ企業も多数生じよう」と、賃下げを活字で明記した。
 また、春闘についても、ヌ賃上げ要求で、ネ実力行使を背景に、ノ社会的横
断化をめざして、ハ闘う、という「春闘」は終焉したと断定し、毎年の「春討」
の推奨を掲げている。                         
                                   
 03春闘では、連合のベア断念をうけ、要求組合は私鉄総連、UIゼンセン 
全国一般、自動車総連の単組などに止まる。日経連が「春闘」終焉を言う前に、
実態はベアゼロ・定昇春闘であり、瓦解の危機に直面している。      
                                   
 経労委報告が、デフレ下の高いコスト是正へ、賃下げを提起しているのに、
「経済現状の認識は連合と基本的に同じスタンス」とする連合の見解はいかが
なものか。デフレ・消費不況の打開へ、賃金も雇用も福祉もまもることで、対
立軸を鮮明にすべきではないのか。                   
                                   
 それにしても、昨年以上に経常利益をあげながら、「べアは論外」「ベアの
時代ではない」という、奥田トヨタ会長・日本経団連のタカ派ぶりには驚くば
かりだ。「生産性向上」と「労使協力の一層の促進」が泣こうというものであ
る。                                     目次へ         


                                   
              全労連は底上げ1万円以上を提案して議論              
                                   
 「誰でも1万円以上、平均要求は産別、パート時給50円以上引き上げ」を賃
上げ要求案とする全労連の03春闘方針案が02年12月5〜6日、熱海で開
かれた春闘討論集会で提起された。昨年と比べ底上げで5000円低く、パー
トで50円低い水準である。                      
 その他、労働法制改悪反対、雇用創出、社会保障改悪・増税反対、公務員制
度、平和などを設定。ヤマ場は3月12日とし、13日にスト選定なと第3波の
全国統一行動を設定している。                     
 あいさつで熊谷議長は「怒りが目にみえるように、反転攻勢の闘いを各地か
らおこし、国民総決起の春闘を展開しよう」と訴えた。方針提案で坂内事務局
長ば「連合がベア要求を設定しないなかで、全労連がどんな要求をかかげ、ど
んな闘いを展開するが社会的に注目される。国民的で社会的にたたかう春闘を
」とよびかけた。                           
 討論では、底上げ水準について「1万円では共感をよぶものとはならない」
「賃下げストッフと低下分のとりもどしと生活向上へ大幅賃上げを」「中小経
営者との懇談でも組合が大幅に賃上げをしてもらいたいとの期待もよせられて
いる」とする意見と、「賃金引き下げを許さない闘いを」「最賃の闘い重視を
」などの意見がだされた。                       目次へ
                                   
                                   
                 JCは「高コスト構造の改革」へ公益問題視                                                  
                                   
 ベア要求の断念を決めたJCは02年12月3日、評議員会を開き、あいさ
つした鈴木議長が「高コスト構造の改革」をよびかけた。骨子は「構造改革は
生産性の低い産業の資本・ヒトを、生産性の高い分野ぢシフトすることを目的
にている。金属労使は高コスト構造の改革にむけて何をなすべきか論じてきた
が、生産性が低い産業が規制や保護政策で価格天下をくりかりしてきた産業の
改革の痛みはより多く受けることになるだろう」と言うもである。     
 自らのベアを断念しておいて、暗にエネルギー、交通などの公益産業の価格
を問題視するものであり、「それぞれ当該産別組織から異論がだされるのは承
知のうえ」と述べている。当該産別は鈴木議長に応えて,異論をだしてはどう
か。                                 目次へ


  ILOの戦略、日本の労働基準の非国際センスは容認せず       
                                   
     「公務員のスト権付与へ日本政府は法改正を」とするILO勧告が出された
連合、全労連が提訴し、国際自由労連、世界労連など国際六組織も共同提訴
していたもので、労働側の主張がほぼ認められた。            
                                   
 画期的な勧告であり、公務員のスト権を奪った日本の現行法令が、日本が批
准しているILO八七号条約(団結権)、九八号条約(団体交渉権)に違反し
ており、結社の自由原則に合致させる方向で法改正を勧告した。また、スト権
剥奪を合憲とする最高裁判決に対しても問題ありとの見解を示した。    
                                   
 さらに、今後の焦点となる公務員制度改革にも言及し、「日本政府は労働基
本権の制約を維持すると公表した考えの再考を」と勧告した。さらに、「すべ
ての関係者の有意義な協議」を求め、来年中に国会提出が予定されている「法
律案の写しの提供」も要請。日本政府の動向をチェックする方針である。  
                                   
 歴史的な勧告の背景について、「グローバル化の国際労働基準として、日本
のみが国内事情を理由に公務員のスト権を否認することは許されない。ILO
基準を一律適用する強い姿勢」と指摘。さらに、日本の法改正をテコに中国、
韓国などアジアへの労働基本権波及の戦略もあるという。         
 ILOは六五年のドライヤー勧告以降、幾度も日本政府に「公務員のスト権
付与」を求めているが、今回はより包括的な勧告となった。憲法二八条で公務
員にも保障されている労働基本権が、戦後占領時代の政令で奪われて五十四年
。ILO勧告に強制力はないが、グローバルスタンダートとして公務員のスト
権回復を政府に迫りたい。同時に国内の運動をどう高めるべきか。官公労は連
合、全労連で路線対立をしているが、悲願の労働基本権復活で一致できなくて
なくて、なにかグローバル化の公務労働運動かといいたい。世界、アジアに視
点を置き、さらにマイナス人勧の構造打開を考えるべきだろう   
                            目次へ



      解雇ルールで「金銭解決」問題の是非            
                                   
 全労連は02・11・21日、労働法制中央連絡会の総会を東京の日本教育
会館で開いた。特徴は「反動あれば動あり」。解雇ルール、派遣、裁量労働、
有期契約などの全面的な改悪にたいして、中央だけでなく、地方連絡会の再開
し、全国津々浦々からの反撃をきめたことである。           
                                   
 講演は西谷大阪市大教授が行ったが、注目されたのは解雇のルールにかかわ
る「解雇の金銭解決」についての内容である。西谷氏は、解雇争議の解決の実
態に一部適合していると肯定しつつも、疑問を提起した。         
 ポイントは、解雇された後、裁判闘争などで解雇無効判決・現職復帰・金銭
解決決着はあるが、解雇前にカネで自由に解雇(無効の是非は法定闘争となる
が)できるとする法理論は、労働者の不安感を高め、使用者への従属性を強め
ると指摘したことである。                       
                                   
 結論として、西谷氏は、問題となる金銭解決は労働側として棚上げして、解
雇ルールで「正当事由」をいれる意味は大きいと提起した。「整理解雇4要件
とヨーロッパ、韓国のような「正当事由」のみで、個別解雇、集団解雇とくべ
ふつした「正当理由」の応用問題をなげかけたも一学者の提起として検討にあ
たいする法理論である。                        
                                   
 ドイツも解雇の金銭解決はあるが、解雇については職場の労使協議制、組合
と会社の交渉、個別損紛争処理機関、裁判闘争など各レベルチェックがある。
金銭解決で形だけドイツ型というのは、紛争処理までドイツがたにするのかと
問うべきだろう。                           目次へ


           解雇ルールで労働界の共同へ           
                                   
                                   
 解雇ルールの法制化や有期雇用、派遣労働の規制緩和を争点とする労働法制
の見直し問題で、02年11月に労働界の連携や市民との共同など新たな変化
が生まれている。                           
 解雇ルールの法制化では、厚労省の労働政策審議会で「正当な理由なく行っ
た解雇は権利の濫用として無効」を労基法に入れる原案が示された。また、無
効な解雇の救済手段として「金銭解決」も可能とする内容も示されている。 
 
現行法でも解雇については制限条項が8項目ある。主な項目はヌ解雇予告期
間と予告手当ネ労働組合活動を理由とする解雇ノ国籍・信条などを理由とする
解雇ハ業務上の負傷・疾病休業関係ヒ産前産後休暇関係フ労働協約、就業規則
違反の解雇ヘ法違反を監督機関に申告したことを理由とする解雇ホ権利濫(らん)
用の解雇 などである。                      
 
問題は、現行の解雇制限は解雇手続か個別的事由であり、基本法理として欧
州のような解雇規制条項がないことだ。今回、解雇に「正当理由」を求めたこ
とは、一歩前進といえる。問題は正当性の内容であり、判例による権利の濫用
禁止や「整理解雇四要件」(解雇回避努力など)を立法化すべきだろう。また
、金銭解決は「カネで解雇は自由」との危険性もある。          
 労働界では連合、全労連、全労協が労働法制改悪阻止と解雇ルールに「整理
解雇四要件」の立法化を求めることでエールを交換し、日本労働弁護団とも連
携。さらに連合は広範な学識者、経営者ら110人で「パート・サポート市民
会議」を発足させた。欧州なみの働くルールの確立へ、広範な労働界と市民と
の共同行動が望まれる。                 目次へ      


    ベア2年連続断念の連合春闘の異例ときしみ
           

                                                             
 連合の03春闘の基本方針が03年11月19日の中央委員会で固まった。
方針の特徴は、デフレ下で雇用を最優先に、「賃金カーブ維持」(定昇相当分
・ベアゼロ)をミニマムとして、連合は統一要求基準を見送り、ベアは産別自決
としているのことである。                      
 連合の春闘方針をめぐっては、私鉄総連や自治労、全国一般、地方連合が連
合の中央委員会や春闘中央討論集会などで統一ベア要求の設定を求めた。

  連合が二年連続してベア要求を見送ることは、春闘48年史でも異例であり、ナシ
ョナルセンターを軸に展開してきた日本独特の春闘方式は大きな転機を迎えた
ベア組合を孤立させず、産別統一闘争と共闘の強め、闘いを全体で支援する体
制が重要となっている。                        

 連合の春闘方針は、年齢ポイントで最低と目標水準で参考値などを提示。例
えば、35歳の最低24万5000円以上、到達目標30万5000円以上などを掲げ
ている。水準は今春より4000〜5000円も低い水準である。また、賃金カーブ維
持分の算定が困難な組合に対しては、平均昇給額として5700を示した。その他
、春闘課題では、不払い残業撲滅にむけた労働時間管理の協定化やワークシェ
アリングの社会合意も重視し、パート労働者の時給も10円以上の引き上げを掲
げている。一方、連合ミニマム賃金基準は先送りされた。         

 ベア要求を二年連続で断念するという連合の春闘方針に対して、討論集会な
とではJC系は無言、ベア要求する産別が「ナショナルセンターの社会的使命
として要求基準の目標と闘いの道筋を」と私鉄総連などが要請し、きしみをみ
せた。日本の春闘は、欧米の産別労使交渉とは異なり、企業別組合の弱点克服
へ産別闘争を軸に、ナショナルセンターが全国闘争を指導・調整する独特の闘
い方である。デフレ打開と内需拡大へ春闘を擁護と連合への求心力を高め、労
働運動強化のために、春闘で要求産別共闘の幅広い戦線構築が課題となって
いる。                                目次へ 



            パート・サポート市民会議 旗あげ          
                 
                              
       
 「パート労働者に公正な処遇を!」市民会議の発足総会が02年10月30日、
東京で開かれた。                         
 呼びかけ人は、連合の笹森清会長、山本博・日本労働弁護団会長、大沢真理
・東大教授、鴨 桃代・コミュニティ・ユニオンネットワーク共同代表ら10氏。
注目されるのは、経営側から、篠木利史子・東京ケータリング(株)会長、
大谷由里子・吉本興行(株)文化教育事業部チーフプロディユーサーが、パート
公正処遇市民会議の呼びかけ人に名を連ねたことである。        
 連合が組織の枠を越えて、市民連携に踏みだすのは98年の労基法闘争以来
の2回目。賛同者には、花見忠、樋口恵子、熊沢誠、孫田良平、坂本福子氏な
ど各界から108人。                         
 オランダ取材では「私もパートです」という管理職もいた。正規職員をベースを、
違いは労働時間だけ。均等待遇も解雇規制を含め26項目が同一処遇で
ある。日本も頑張れ。取材後、呼びかけ人の笹森連合会長と立ち話し。日本的
労使関係の「三種の神器」の動揺や仕事と家庭の両立支援を含めて、パート問
題は、日本労働運動の一つの戦略課題とはなしあう。勿論、正規従業員の労働
運動の課題との連動の上である。                    
                      目次へ


      労働法制改悪反対で連合・全労連が共同エール
           
                                   
                                                         
 争点の「解雇ルール」「裁量労働の拡大」「有期雇用・派遣労働者の規制緩
和」をめぐる労働法制の改悪反対を掲げて全労連は02年10月29日、厚労
省前で宣伝行動を行った。                       
 注目されたのは、厚労省の審議会・労働条件分科会の労働側員の一人である
連合全国一般の田島恵一書記長が、連合承認のもとに出席したことである。

田島委員は「政府の審議会労働側委員は連合の代表だけでなく、すべての労働者
にかかわるものであり、連合としても要請があれば参加することになっている」
と述べ、労働法制改定の骨子と問題点を指摘。「労働側の委員7人全員で問
題点の是正と解雇ルールの法制化に『整理解雇の四用件』を入れるように頑張
る」と決意を表明した。                        
 解雇ルールでは、「合理的理由がなければ無効」を立法化させる方向であり、
「金銭解決」の方向もだしている。                  
 全労連は熊谷議長が「失業者をださせないこと、失業保障、新規雇用」を訴
え、労働法制改悪反対を表明。「国際到達基準を踏まえた内容へ」と訴えた。
  労働弁護団も労働法制の改悪反対を呼びかけ、「労働側は一致して解雇制
限法を求めている」と述べた。                     
 全労連と連合はこの7年で36回の共同行動を展開しており、労働法制改悪
反対へむけて共同の積み重ねが注目される。        目次へ
               

 


 03国民春闘スタート 全労連など国民春闘共闘発足総会       
                                   
       「雇用・くらし・いのち・平和」の四位一体        
                                                   
                                                     
 全労連と中立産別でつくる03国民春闘共闘の発足総会が02年10月18日、
東京で開かれた。                         
 方針はデフレ打開へ「雇用・くらし・いのち・平和」の四位一体闘争を
描いていることである。
連合がベア要求を放棄する中で、全労連などは「賃金破壊」
の項目を建ている。全国一律最賃制をやや本格的にかかげているのが注目さ
れる。不況の時の賃金闘争では、後世に残る賃金システムの確立として、連合
や連合産別を含むおおがかりな中期的闘争を期待したい。         
                                   
 同時に、底上げ要求と平均賃金との関わりは検討課題にしているが、「各単
産・地方自決」はどうなのか。官民よってたかって闘う統一基準を突っ込んで
検討する時期だろう。                         
 産別自決では、トヨタがベア500 円、造船がベア500 円を「産別自決」とし
ても、獲得できない産別自決の弱体の実情があり、日本全体の春闘システムと
労使関係からみて「産別自決」と日経連の96年から進めている「自社型賃金決
定」との関係を総括しておく必要もあろう。日本の産別はきれいごとではすまない。                                                                   
 同時に、ライセンス労働者の産別が連合より多い全労連では、産業・業種環
境は厳しくても、全国最賃を含めて横断的な賃金水準闘争を描く労使戦略が
あってもいいのでないかと思う。                     
                                   
 討論では、JMIUがIBMなどで会社分割法との闘いなとで組織を格段さ
せ、電機連合、JAMなどからも、JMIUの組合結成がみられることを報告した。

賃金闘争でも「単年度の論議とあわせて、賃金論の討議も」も提起された。
かつての旧総評のように賃金専門委員会を設置して労働市場、グローバル化
なとをふまえた賃金論が確立が闘うナショナルセンターに問われているのでは
ないか。電算型賃金や全自型賃金などを確立した賃金闘争もある。ドイツなど賃
金決定システムををユメといいつつ、ついに春闘も2年に一回になりつつ
ある、春闘47年を総括する必要があるのではないか。           
 
連合は賃金闘争を産別自決として、ナショナルセンターとしての春闘(日本
独特の方式)のオルガナイザーの役割を放棄しつつあり、求心力が問われている。
全労連には「03春闘はナショナルセンターと産別、地方の旗振りが求め
られる」(JMIU)と要望されている。トヨタが要求放棄のなかで、03春闘
の壊滅は目に見えている。連合、全労連、全労協などを含めて、ナショナルセ
ンタ−、労働団体が、目にみえ、音が聞かれる全国津々浦々の闘いをアビールす
るときだろう。
働く人の賃金は昨年七万円もマイナスとなり、加えて来春から社会保険が年間六万円も
負担増となる。個人消費拡大へ、雇用とあわせて賃金の改善が求められている。
                                          (目次へ)                        

    「組合衰退」「座して死を待つのか」労働運動に危機感
     
        

連合は一〇月三日、東京で中央委員会を開き、今後の重点課題としてヌ失業
改善の雇用・経済対策ネ賃金不払い残業撲滅とワークシェアリングの追求ノ均
等待遇を実現する「パート・有期契約労働法」の制定を確認。「連合21世紀社会保障
ビジョン」も提起された。                    
 笹森会長はあいさつで「雇用不安の解消へ、失業者救済、失業抑制、雇用創
出をめざす」と述べ、「今後一年、雇用に特化した運動を展開する」と訴えた。
 
討議では、「労働組合は衰退・崩壊の危機に直面している。連合は政策制度
闘争の強化を」と電機連合などが発言。連合宮崎は「組織人員は一二年間で一
万人減少し衰退に歯止めがかからない。ローカルセンターは形は大きくなって
も専従者は旧ローカルセンターの五分の1となり、連合運動を地方でやるにし
ても弱体化している。座して死ぬのか。連行運動を再生へ、産別と地方の連携
強化を」「運動を『雇用に特化』するにしても、人員整理で職場の反撃もなく、
音も、悲鳴も聞かれずにやられている。職場の闘い強化を」と提起した。03
春闘の要求設定についても「連合はベア要求基準の設定を」とする私鉄総連、
宮崎などと、「ベアは産別自決・連合はミニマム要求」とする自動車、電機な
とJC系との軋みをみせた。                      
 
連合は臨時国会に向け、失業改善など政策制度要求の実現へ全国統一行動を
展開。「山場で国会対策や院外でき活動に積極的に取り組む」方針である。連
合の求心力が問われ、労働運動の「衰退」打開へ、労働界のタイアップを
とわれている。                              
                                   
 それにしても、春闘方針を担当者に提案させ、厳しい質問の回答も担当者に
任せる連合はどうなっているのか。結成13年。こんなことは異常である。春
闘を部局任せにせず、がっちりと答えるべきであると思う。故人・山田精吾が
泣いている。                           目次へ  


 民間最大78万のUIゼンセン結成 産別統合、連合54産別へ   
                                   


産別統合の動きが連合の構成組織で広がりをみせている。02年9月19日に
は、日本で民間最大産別となるUIゼンセン同盟が78万3000人の規模で結成さ
れた。さらに化学、食品、交運から来年の鉄鋼、造船など統合し、連合の構成
組織数は大幅に集約されことにもなる。その背景には、統合による組織人員の
増大やスケールメリットの発揮をはじめ、産業再編に対応した動きもみられる
。半面、組合員の減少に伴う人員・財政減のカバーという組織防衛的な側面も
否なめない。                            
           日本最大の民間産別「UIゼンセン」               

日本で最大の民間産別が9月19日に誕生した。ゼンセン同盟(61万3275人)
とCSG(16万9189人)と繊維生活労連(1420人)の3産別が組織統合し、新
たに「全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟」(総称・UIゼンセ
ン同盟)を結成した。生活関連産業を中心とした複合大産別で、新組織人員は
78万3876人となり、連合で電機を抜き、民間組織でトップとなる。ゼンセンと
CSGとも旧同盟の加盟組織であり、運動理念が共通し、組織的にも化学、サ
ービス産業、流通などを抱えた組織で、中小が多いなどの共通性をもっていた。
新名称の「UI」にはユニオン・イニシアティブの頭文字や「友愛」など四つ
の意味がこめられている。                       
 統合大会であいさつした高木剛新会長は「UIゼンセン同盟の運動を一日も
早く軌道に乗せ、統合メリットのある産別運動を構築していこう」と強調。組
織拡大をはじめ、雇用安定、連合の求心力強化、政治活動の強化などを訴えた。
運動では、産別統一闘争を重視し、スト指令権、妥結権を産別本部が掌握す
るゼンセン型を原則に、運営で工夫する方針である。部会は繊維、化学、流通
、生活・総合産業など6部門で運営し、47都道府県に専従を配置。組織拡大も
重視し、オブ加盟JA連合の正式加盟やサービス流通連合との統合協議も再開
して100万組織をめざしている。「安易な運動への収斂でなく、ハードルの
高い方向への統合」と高木会長は記者会見で語った。
                                 
産別統合 連合は54組織へ
                    
 産別統合は、現在、第三期を迎えている。第一期の91〜92年は食品連合、ゴ
ム連合などが結成された。第二期の99年はJAM、航空連合などが新たに産別
統合した。現在の第三期では、すでに「サービス・流通連合」、「サービス連
合」、「国公連合」、「自治労全競労評議会」が新たに結成され、UIゼンセ
ン同盟、JEC、フード 交運、鉄鋼・造船などへ連動している。     
 連合結成13年目でこれまで、37産別が統合して新たに17産別を結成した。さ
らに今回18産別で新たに4産別が結成され、連合の66組織は54組織に統合され
る。統合では労働運動の強化の半面、連合総研の調査は、人員減少や合理化対
策指針、産別統一闘争で低位平準化を指摘。「組織統合により、力を充実する
という積極的な方針による統合とはやや異なっている」と警鐘を鳴らしている。
国際的にも産別統合は進み、ドイツでは公務公共・運輸など5産別が統合し
て294万人の世界最大産別「統一サービース労組」を結成し、IGメタルも
統合効果を発揮している。日本も企業別組合の枠を越え、大産別の労使関係構
築へ、新たな組織・運動の変化の時代を迎えている。           
                       目次へ
   
          自動車はモンロー主義春闘                
                                                                  
 自動車総連は02年9月3日から東京で大会を開き、03春闘に取り組む
方向を確認した。                         
 あいさつした加藤会長は「自動車総連は今後も賃金闘争を軸に春闘には
毎年取り組む」との方向を示した。要求方式については「平均賃金方式で
なく、労働の質に関する個別賃金の絶対額要求に転換し、労使交渉のテー
ブルにのせるべき新たな銘柄の検討を急ぐ」との見解を示した。    
 
  他方、連合には「『賃金闘争で統一基準は示さず、ミニマムに専念する』
との方向を指示する」と賛同し、連合がベア戦線から離脱することに賛
意を表明した。JCに対しても「賃上げで産別の意見が大きく違うが今は
過渡期であり、賃金闘争は産別自決」との立場を述べた。       
 
 自動車総連は02春闘でも産別自決のもとにベア闘争を展開したが、史上
最高益のトヨタでさえベアゼロで収拾し、産別自決の限界を露呈した。社
会的にもベアゼロの風潮をつくり、生産性向上運動の破綻や労使関係にも
影を落としている。来春闘も連合、JCとは別途に自動車の産別春闘で
財界のカベが突破できるのかどうかは疑問だろう。           
 
個別賃金にしても現在大手九組合に回答が出されているが、格差は大き
い。大手のトヨタの個別賃金方式が、どこまで企業横断性がたもてるのか
。賃金制度の未整備組合も多く、対応できる経営側がどの程度いるのか−
など検討課題は多い。                       

 02春闘の苦い経験からは、産別モンロー主義でなく、JC、連合
に要求をもとめ、総ががり体制の検討をいうべきだと思うのだが。自動車
の産別力の実力を見据えるべきではないか。要求戦線の拡大が求められる。             
                        目次へ

              マイナス人勧との闘い                    
                                 
 自治労は8月23日から山口県で大会を開き、史上初のマイナス人勧との
       闘いや公務員制度改革、一連の不祥事からの自治労再生問題などを論議した。
                               
 公務員賃金のマイナス勧告には五つの問題が指摘されている。骨子は
−民間のベアゼロ、賃金カットは賃金表では切下げなしだが、公務員は賃金
表で賃下げ書換えとされるネ連合民間の平均賃上げは一・七二%増だが、
公務員賃金はマイナス二・〇三%とされ、民賃準拠の不透明さノスト権剥
奪の代償措置とされる人勧で、賃金表切下げなどを組合との交渉合意もな
く行うことは、民間では考えられないことであり、人勧制度の空洞化ハ賃
下げ措置で「不利益不遡及の原則」に違反ヒ地場賃金の格差を理由に、公
務員給与体系の破壊を明記したこと−などである。          
人勧制度は、一九四八年の公務員スト権剥奪と人事院設置から、五〇年代
のベース勧告見送り、八二年の行革・人勧凍結、昨年の史上最低勧告を経
て、遂に、棒給表改定見送りのベアゼロ勧告へと変質している。    
 本年の勧告では、 史上初の「賃下げ勧告」は人勧制度の本質と矛盾を
改めて露呈し、公務労働者の賃金決定システムの不十分さがこの国全体の
賃金抑圧の仕組みであることを再認識させた。労働基本権剥奪の「代償措
置」としての人事院が賃下げを勧告したことは、公務員の利益擁護機関の
役割放棄だ。                           
 全労連の国公労連は労働基本権の回復へ組織の枠をこえた共同を提唱し
ているのが注目される。                      
                            目次へ

 

     JCは03春闘でベア戦線から離脱方向          
                                 
金属労協(JC)は02年9月2日、東京で定期大会を開き、新運動方
針として、春闘での「大括りの種別賃金」の追求を決定した。     
 あいさつした鈴木議長は、03春闘構想に触れて、失業増、マイナス成長、
物価動向など金属産業全体の動向をトータルにみると「JC共闘として
統一的ベア要求の根拠を見いだしえない」との見解を示した。その上で検
討課題として、金属産業の低い賃金水準の是正や中小の格差是正、大括り
の職種別賃金の確立などをあげた。                 
 JCは03春闘で、鉄鋼がベアを要求しないほか、造船も「毎年、ベア要
求の見直し」を提起。電機もベアに慎重であり、春闘のベア戦線からの離
脱を強めている。
                         
                         目次へ

 

 

 「メイク・ワーク・ペイ」生活賃金基礎の最賃に関心高まる      
                                   

 全国一般の大会が02年8月27日まで鳥取県米子市で開かれた。大会では
03春闘について、連合に対し「要求基準を放棄することなく、標準労働者の
要求水準を示し、そこへの到達に向けた要求基準を提示し、総ががりの闘争体
制を」との見解を示した。私鉄総連につぎ、ナショナルセンターセンタ−に要
求基準の設定をもとめたことになる。                  
 最低規制とミニマムについては、「地域最賃では目安が示されず、17県で1
円引き上げられたに過ぎない。いまこそ生活賃金を基礎とした全国最賃の確立
が求められている時はない」としている。                
                                   
 ミニマムと最賃のついては、JAMも法定最賃の重視し、「現行の地域最賃
方式は限界であり、抜本的な最賃のあり方で検討を」との構想を語っている。 
                                   
 また、「日本的仕事別賃金」を新提唱している自動車総連の加藤会長も「今
後は最低賃金を重視したい」との構想を示唆している。          
                                   
 生活保護基準以下で、平均賃金の36%程度と国際水準に背いた最賃の水準と
決定システムの改革へ、「メイク・ワーク・ペイ」(働いて得た賃金で生活が
できる)の視点で賃金水準に連動する全国最賃を検討する好機とすべきだろう。
新執行部には浦委員長、田島書記長が選出された。田島氏は、委員長から
再び書記長となり、全国一般の組織拡大、中小労働運動の強化を
めざすことになる。                             
                                   目次へ

 

 賃金決定システム破壊−史上初のマイナス人勧、最賃目安凍結    
                                   

 史上初めて公務員賃金表の切下げ書換えと最賃の目安不提示という異例な事
態となり、戦後の賃金決定システムの破壊が進んでいる。総じて〇二春闘瓦解
の結果であり、民間大手、中小、地域、官公労、未組織労働者の賃金破壊と
なっている。                              
 人事院が02年8月8日に勧告した内容は、公務員の給与を月額平均2・03%
(7770円)引き下げることなどを骨子にしている。1948年の人勧制度がはじま
って以来の異常事態である。                      
 
問題は3つある。
第1は、今年の民間春闘が厳しかったとはいえ、ベアゼロ回答や定昇を一時
凍結した企業でも、賃金表の切下げは行っていないこである。
ベアゼロのトヨタしかり、電機の企業しかりである。賃金カットは給料表を書
き換えなくて、一時的な削減となる。ところが今回、公務員には一時的でなく、
月齢賃金から将来にわてる年金まで生涯賃金の切下げとなる2%、777〇円
という大幅な賃金表の切下げをおこなっのは、史上初めてであり、賃金弾圧とも
いえる悪事である。人勧の波及は760万人といわれ、さらに年金生活者にも連
 動する。国民生活を悪化させる悪事となる。                
 
第2は、人勧は1948年のスト権剥奪の代償措置として制度化されたが、それ
は即1964春闘ストの太田・池田会談による「民間準拠方式」ではない。民間春
闘が総崩れなら、人勧制度も総崩れとなると、人勧制度は不要である。公務員
労働者の生活の維持向上のための権利である労働三権を奪っておいて、なんの
ための人勧か。人勧制度の自殺行為だろう。               
 
第3は、公務員にとって、賃金表を切り下げられる時、交渉もなくて一方的
にカットされることは、民間の組合では考えられないことであり、世界でも異
質である。                              
 自治労の君島書記長は記者会見で「史上初めて賃金表が切り下げられたこと
の深刻さを連合内でも広く知ってもらいたい」と語った。         
 自治労連の三宅書記長も記者会見で「公務員の賃金表の切下げは、年金切下
げにも連動する。国民生活の悪化との関係も訴え、今後、広く行動を展開したい」
と語っている。                          
                                   
 それにしても連合がベアを放棄し、産別自決としたことの結果の深刻さを思
わずにはおれない。日本の産別自決とは、史上最高益のトヨタのベアゼロ、人
勧マイナス、最賃据え置き、国民生活の悪化となる。ナショナルセンターが賃
金決定に関与する役割は大きく、その社会的使命が問われている。     
                                   
 マスコミのいいかげんな論調にもものをいたい。02年8・9日付け朝日、
日経の社説は政府筋のレクチャーのままではないかと疑いたい。賃金表の切下
げを組合の交渉もなくて、不公正な調査だけでできる国が世界のどこにあるの
か。団結権擁護の意味をもっともっと憲法から学び、国際労働基準を政府に質
してから書くべきではないか。                     
                                          目次へ                                   
                                   
                                   
       最賃改定も毎年から隔年方式と経営側           
                                   

 最賃の目安も78年の制度開始以来はじめて、見送られた。問題は今後の地
域最賃の改定もあるが、今後の最賃のあり方である。生活保護より低い最賃水
準や平均賃金の36%の引くさの是正(連合記は50%)も重要である。同時に、
経営側からは春闘の隔年方式に従い最賃も毎年目安の見直しも浮上している。
春闘の見直しとあわせて、賃金決定システムの労使攻防の時代となっている。 
               
                 目次へ

  
      全労連大会傍聴記−−ウイング広げた全労連           
                                  

 全労連大会が02年7月24〜26日まで東京で開かれた。2年ぶり21世紀
で最初の大会である。特徴は4つ。第1は全労連が内外労働運動と国民運動
でウンイングを広げたこと、第2は日本のナショナルセンター史で二番目と
なる組織拡大カンパ方針を決めたこと。第3は向こう2年間の具体的な目標
課題を鮮明にさせ、運動の結果と評価がはっきりでるような方針にしたこと。
第4は単産、地方の代議員74人の発言を聞くと、厳しさと闘いつつ、負けて
はいないことである。そのキーワーどは政治闘争と経済闘争の結合であり、
国民総決起型の戦線構築である。                   
 
新方針も内外労働運動の前進へ、大胆な共同戦線の構想を打ち出した。内
外労働戦線の共同では、連合に「最大(注・唯一ではない)のナショナルセ
ンタとして国民の利益擁護、悪政の転換などの役割発揮を期待する」と明記
した。国際組織でも「世界労連」だけでなく、「国際自由労連」との交流も
提起。これまでの共同の実績を踏まえつつ、センター選択13年前の論争にけ
りをつけ、内外情勢の変化に対応した共同行動に一歩踏みだした。さらに地
域経済や福祉医療などでこれまでの領域を超え、保守層を含む連携にものり
だした。グローバル化のもとで全面的な暮らし、平和、福祉破壊破壊に対す
る国民的共同戦線の追求でもある。                  

 大会討論では、働く人の状態悪化のすさまじいさのなかでの闘いが報告さ
れた。「賃金不払いの会社へ支払いを求めに行ったら住所侵入罪で警察に電
話された」「育休取得後の出勤1日目に解雇」など無法状態である。負けて
はいない闘いでは、JC系大企業の賃金カットやリストラに対してJMIU
の組合を結成して反撃。神奈川は全国一律最賃制制定や公契約条例制定で自
治体決議を促進。賃金闘争と春闘構築でも深い論議が要望さた。さらに医療
改悪阻止、有事法制反対では中央レベルだけでなく、新潟、大阪などで連合
系を含めた共同の盛り上がりを示した。                

 エポックとなる組織拡大基金は旧総評の55年に次ぎ、ナショナルセンター
としては二度目の実施となる。当時、「労働戦線に空白をつくらない」との
戦略で「10円カンパ」が取り組まれ、全国オルグ制度を採用。未組織の組織
化、地域共闘、産別統一闘争、政治闘争、国民諸階層との共闘を前進させた。
いま組織率が20・7%と低下するなかで、労働市場の規制力強化は全労連の強
化だけでなく、働く者全体の課題であり、反転攻勢の一歩として今後の具体
化が注目される。                          
 
新体制には五代目議長として熊谷金道新議長が就任し、坂内事務局長との
コンビとなる。熊谷氏は全労連初代事務局長の96年に初めて中労委労働者代
表問題で連合との公式懇談に先鞭をつけ、その後、小林議長・坂内事務局長
らがパイプを太くし、すでに37回の実績を重ねている。大会には全労連結成
13年で初めて社民党の土井党首からメッセージが寄せられ、全労協、全建総
連も連帯メッセージ。労働問題を「社会的、国政上の問題に押し上げたい。
そのためにも組織拡大と魅力ある労働運動を」と抱負を語る新議長。「ウイ
ングを外に広げた」(熊谷新議長)方針のもとで、反転攻勢への今後の運動
展開が注目される。                         
                                  目次へ

                                                
        02版労働経済白書が「リストラ悪影響」指摘     
                                  
                                  
 02年版の「労働経済白書」がリストラの悪影響に警鐘を鳴らした。これま
でになく失業問題の社会的影響にメスをいれているのが特徴である。   
 悪化する失業問題の要因として、白書は産業「空洞化」をあげた。製造業の
海外生産比率は1990年度の6・4 %から、01年度には14・3%に上昇し、輸入浸
透度の上昇とともに、「国内就業者数にマイナス」と指摘した。また、解雇
などリストラの増大も失業増の要因にあげている。雇用問題では、正規雇用
から、賃金調整のしやすいパートへのシフト化が進んでいると指摘している。 
 白書は人員削減と失業増加のマイナス効果をあげている。具体的には、ヌ
従業員の士気低下ネ労働時間の増加ノ優秀な人材の流出ハ技能の損失ヒ消費
水準の低下フ税収、社会保険収入の低下などである。         
 白書は、失業問題解決の政策を明示していない。ただし、今後の雇用創出
として、オランダ、ドイツ、フランスなどのワークシェアリングにスポット
を当てた。転籍では同じ職業間移動が多く、職種別横断賃率の必要性も暗示
した。雇用危機打開へ解雇ルールの立法化も重要課題だろう。      
 最近の労働経済情勢をみると、失業率は5・0 %で過去最悪を記録し、実質
賃金も0・4 %減と物価下落以上に賃金がダウン。消費支出も実質0・8 %減で
四年連続減少と、労働側の後退が目立つ。運動のたて直しは急務である。 
                            目次へ


         電機連合の「職種別横断賃金」に注目        
                                  
                                  
 電機連合が02年7月3〜5日まで、室蘭で大会を開き、賃金システムの
改革として「職種別横断賃金」の確立へのスタートをきった。すでに、機械
加工、SEなど11職種をモデルにトライアル賃金調査も開始し、生計費調査
でも35歳で標準生計費44万5000、最低生計費28万4000円などの調査結果を明
らかにしている。                          
 電機は1969年にも経営側の職務給に対して、労働組合として産業横断的職
種別賃金を提起し、組合自らが現場調査に入って、基幹職種22職種の格付け
運用基準と職種評価グループ、賃率を設定した経験をもっている。    
                                  
 かつて賃金体系については、連合総研が92年に「過少賃上げの長期化とパ
ワー不足の賃金闘争」の改革として、「完全仕事給中心の熟練度別賃金」を
提起したことがある。また、98年には連合が「第二次賃金政策」(素案)を
まとめ、「仕事に対応した賃金」などを提起したが、ビジョンにとどまっていた
                                                          
今回は、仕事機軸賃金について02年3月に、社会経済生産性本部がSE
職6職種で職種別賃金調査を実施し、全国労組生産性会議も「ミニマム基準
や底上げとあわせ、仕事基準の横断的評価基準や賃率形成」を今年1月に提
起している。日経連(現・日本経団連)も新たに「職務多立型賃金体系」を
提起した。電機など労働側が職種別賃金の調査をはじめたことは、今後の賃
金システム確立の土台づくりとして注目されている。          
                                  
 その背景には、国際競争強化とコスト低下をめざす経営側からの「ベース
ダウン」攻撃やこれまでの定昇・物価・成長率、生産性向上に基づく要求根
拠の動揺がある。加えて、賃金・雇用など労働条件の大きな変化では、終身
雇用・年功賃金の見直や分社化など産業・労働市場の構造変化に対応した内
部・外部労働市場をリンクする横断的な人事・賃金制度が重要となっている。
 さらに、パートなど雇用の多様化と均等待遇やワークシェアリングに対応
する賃金論も求められている。                    
                                  
 春闘の賃金論と要求方式の歴史をみても、これまで労働側は理論生計費方
式やマーケット・バスケット方式(全物量方式)、一律プラス・アルフア方
式、最低要求方式、平均要求方式、個別賃金方式、純ベア方式などを実践し
てきた。                              
 しかし、春闘47年間では当初の第一期20年(55〜74年)は「春闘高揚期」
ちあたるが、春闘変化の転機となった75年以降の第二期28年は「過少ベアの
長期化」(連合総研)で苦闘している。そして、第三期となる21世紀の春闘
では、構造変化に対応する賃金論と交渉方式が問われている       
                                  
 欧米をみると、ドイツのIGメタルでは職種別熟練度別に賃金グループを
9〜10に分け、自動車では例示65の作業例と賃率が形成されている。また、
賃金水準の問題にしても、人件費比較では日本を100に、ドイツ119、
アメリカ116と高く、購買力賃金もドイツ173、アメリカ143と日本
は低い。日本も国際的な働くルール確立の一環として、賃金水準と賃金決定
システム、労使関係を含めた改革が求められている時代となっている。  
                                  
 今後、仕事別賃金の追求では、交渉システムとしても単組レベルだけでな
く、産業横断的な熟練評価と賃率の産別労使協約や格差是正、ミニマム規制
などナショナルレベルの政労使協議も必要となろう。          
                                  
 さらに今後の春闘構想では、賃金ビジョンの確立とあわせ、ライフステー
ジ別の生計費にかかわる住宅、教育費などの「社会福祉」や「雇用システム
」「労働時間」などを結合させた取り組みも戦略課題となる。中期的戦略の
もとに労働側からの賃金ビジョンの確立と新たな交渉システムをめざした運
動論と組織論を連動させる春闘ビジョンの確立を望みたい。       
電機連合の委員長は鈴木委員長から、松下出身の古賀委員長にバトンタッ
チされたが、職種別賃金への挑戦が注目される。
                               目次へ

           全労連など春闘共闘の02春闘も厳しい結果             
                                   
             −共同と国民総ぐるみ強化へ−         
                                   
                                   
 全労連など春闘共闘は7月2日、東京で02春闘の中間総括を行う第3回総会
を開いた。最大の特徴は、賃金闘争では春闘戦線全体のマイナス効果を反映し
てこれまでの最低を記録しならながらも、医療・有事法制などくらしと雇用・
平和の国民的課題では、連合、全労協などとの連鎖行動や4・12国民統一ストな
ど結成以来最大規模の総行動を展開し、前進の方向を示したことである。  
 連合産別のようにベア見送り組合はないものの、要求、回答とも産別よって
バラツキ、出版回答などの一万円台から、中小の2000円台(定昇制度の有無の
関係もある)とばらついている。構成約4100単組・支部のうち、回答組合は約
2300組合であり、ベアゼロ、定昇カットもみられる。ナショナルセンター連合
の初めてベア断念と産別自決方式にしたほか、過去最高益のトヨタのベアゼロ
や定昇凍結・カットなど春闘全体の影響を受けているほか、中小、地域の経営
危機も反映したものとなっている。スト組合も4・12を含めて28%(民間
のみでは約半数と推定)にとどまり、要求アンケートの減少産別もみられ、
      集計途中だが、パート賃上げ、企業内最賃の締結も昨年より下回っている。
      春闘13年目だが、他団体と同様に右肩下がりの妥結傾向がつづいており、
全労連春闘の強化とともに、財界、政府が本格的に「賃下げ」攻撃をつよめて
きたことに対して、労働界全体の反撃体勢も課題となっている。同時に、連合
が来春闘もベア断念・産別自決を検討しているかほか、鉄鋼、造船の隔年春闘
やNTTなと公益のベア断念など、日本の大手産別が毎年の春闘からの戦線離
脱をはじめたことにたいする影響や対応など、03春闘方針だけでなく、中期的
視点からの春闘・労働運動についての深い論議も必要となっている。 
                                   目次へ
                                   
          JMIUは産別統一闘争を強化           
                                   
 産別では、JMIUが7月21日からの定期大会方針で春闘総括に触れている。
特徴は、中小企業とものづくり基盤をまもる「二方面のたたかい」など従来の
路線とあわせ、企業別組合だけの闘いでは事態は打開できないとのもとに、産
別統一闘争の強化をうちだし、「産別団交」「統一ストライキ」を軸とする闘
いを提起し、組織拡大も重視していることである。            
 産別統一闘争の問題では、他組織の自動車、造船、私鉄、ゼンセン、全国一
般、サービス・流通連合などで単組の要求断念、春闘不参加の増加、
要求も定昇のみ、ベアのみなどに分散し、産別統一闘争の空洞化に危機感
が表明されている。将来の日本経済と産業のあり方や賃金を含む労働条件
の設定、労使交渉ルールなど、市場万能主義を規制する横断的な労使関係
づくりへ、産別統一闘争は新たな次元の闘いが問われているといえる。
                              目次へ
                                                                                                                                                                   
        中坊公平弁護士が連合評価委員会で会見         
                                   
                                   
 中坊公平弁護士は02年7月1日、第2回「連合評価委員会」の会合後、記
者会見を行い、連合運動を評価する対象として『連合21世紀ビジョン』を挙げ、
提起していることは間違いではないが、もっと根本問題にしぼり、「光源は発
するものにしたい」との抱負を語った。                 
 連合の21世紀ビジョンは、グローバル化の市場経済や環境、少子高齢化社会
労働市場など、経済社会の構造変化を踏まえつつ、企業別組合の限界性を指摘。
今後の労働運動の戦略として、全雇用労働者の社会的代表性と労働を中心とし
た福祉社会を展望した労作である。                   
 いまや「ビジョン」の評価より、アクションプログラムが問われているが、
労働組合運動に直接的な関わりのない中坊評価委員など学識者7人が「光源を
発するラディカル(根源的)な提言」ができるかどうか、注目したい。   
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 03年、ベア春闘から戦線離脱の連合提案の是非       
                                  
                                  
 連合は6月26、27日の2日間、沖縄で02春闘総括と今後の春闘見直し
を論議する中央委員会を開いたが、要求問題をめぐって、大手と中小、地域
で賛否両論がだされた。                       
 連合の提案は、連合は賃金カーブ維持(ベアゼロ)のみで、ベア要求は産
別自決とする内容である。ベア要求断念の理由としては、連合は業績格差や
春闘回答の波及パターンの限界、上げ幅から賃金の水準重視、一時金配分、
雇用重視などをあげている。                     
 しかし、中央委員会では、電機、自動車が産別自決の方針を評価したが、
全国一般な宮城、北海道など地方連合は「ナショナルセンターの社会的な役
割として統一ベア要求の設定」を求めた。かねてから、JC系は産別自決で
あり隔年春闘も展開・拡大させている。一方、定昇のない私鉄や中小はベア
要求の設定を求めている。                      
 連合のベア断念・産別自決方式は実は、02春闘で実証ずみであり、経営側
は「ベアは論外、賃下げも」を基調に、「連合もベア見送り」と宣伝。史上
最高益のトヨタのベアゼロや造船がベアゼロに泣いた。しかも産別自決は「
ベアゼロ自決」のオンパレードとなり、産別統一闘争も空洞化した。さらに
官公労や中小は賃下攻撃にさらされ、春闘の「賃上げ」機能は「賃下げ」機
能に変質し、労働側は総崩れとなっている。              
 日本の春闘は、欧米の産別交渉とは異なり、産業格差なとを踏まえつつも、
企業別組合の弱点克服として産別統一闘争とナショナルセンターの要求設定
を軸とする独特の賃金闘争である。連合のベアゼロ提起が、連合の組織・財
政減に伴う機能分担とからめたものであれば筋違いであり、区別が必要だろ
う。さらに成果還元のありかたや内需拡大、格差是正、ミニマム内容(連合
は地域最賃、企業内最賃、年齢別最低保障など6種類のミニマムを設定)、
購買力賃金の比較、海外収益、内部留保なども究明すべきだろう。    
春闘47年でナショナルセンターが賃上げ要求を放棄するのは、82年の全民
労協結成時以来の異常事態である。連合は「労働条件は産別責任・連合の調整」「
政策は連合の責任、産別の参加」のもとに、これまで、95年にもベア設定を
しないで、産別自決方針メモもだされたが、中小と5300万人労働者の社
会的分配システムとしてベアをかかげ続けてきた。             
 いま、財界と政府の結束した賃下げ攻撃に対し、労働界全体で大手と中小
、官民総がかりの春闘再生こそ問われている。             
 今後の賃金システムでは、日本経団連も職務群別の多立型賃金システムを
提起している。労働側も産業構造の変化や内部、外部労働市場の変化をリン
クさせ、中期的視点でヨーロッパ型の職種別労働市場の拡大と横断賃率への交渉シ
ステム、住宅、教育費など社会保障と連動させた21世紀型の賃金ビジョンの
確立を求めたい。                          
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         奥田・日本経団連新会長にもの申す。         
                                   
                                   
 日経連と経団連が02年5月28日に統合して日本経済団体連合会が設立され、
初代会長に奥田碩氏が就任した。最後の日経連会長あいさつと、日本経団連の
初代会長就任あいさつを読んで、「なんだ?」と思った。日経連が執念を燃や
した春闘の「し」の文字もなければ、労使関係の「ろ」の字もないことだ。 
                                   
 春闘47年、日経連報告28年。今年の春闘は「賃上げ」機能が「賃下げ」機能
に変質した歴史的な転機となった。その背景には、史上最高益をあげながら、
奥田氏(トヨタ会長)の「一喝」でベアゼロとなったトヨタ回答があり、生産
性を向上してもベアなしの流れをつくった。               
 労働界1100万、100 産別、労働3組織が1社の回答に振り回されるのはだら
しない。それを承知の上だが、あえて奥田氏に言いたいのは、「まだそんなこ
と(ベア)を考えているのか」という意味について、社会的影響力の大きい企
業の責任として、さらに自動車500 万台の内部市場の展望を含めて、今後の春
闘と労使関係について、一言あってしかるべきではないか。生産向上運動を進
めて、配分は肘鉄でいいのかどうか。                  
                                   
 さらに今後の賃金、雇用システムについても、成果主義の強化へ「一律型賃
金から職務多立型賃金」「春闘でベースダウンも」「定昇は定期昇降給に」「
円滑な労働移動」を新提起されている。「人間の顔をした市場経済」との整合
性はどをなのか。                           
 日本経団連は「経済問題と労働問題は一体」のもとに、総会では「経済、産
業、社会労働分野の政策提言と実行力を高める」「政治関係の強化」などを決
議した。産業空洞化や中小企業の苦境、失業増、賃金低下、内需不足、社会保
障問題などは、経済と労働問題の一体化であり、総合的な解決が問われている。
    にもかかわらず、なぜ労使関係の「ろ」の言葉がないのか。ヨーロッパでは
ソーシャル・パートナーのもとに、財界が労使関係に触れるのはコモンセンス
である。日本の労働界は触れるにあたいしないとでも思っておられるのか。  
                                   
 新財界団体は7万社、約2000万人の規模となり、経団連時代の四倍増。
組織労働者1100万人をはるかに上回る。                 
 「企業統治は資本市場だけでなく、労働市場からも支持されること」と、説
かれる奥田新会長のお手並みをまず、拝見したい。            
 環境、ワークシェアリングでは評価したいが、一体、今後の日本の働く人の
あり方をどうしょうとするのか。黙殺するのではなく、労使パートナーの当事
者として新会長のメッセージを早く聞きたいものである。         
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     連合政策中央討論集会で政策委員長・ゼンセン高木節      
                                   
                                   
 連合の政策、制度中央討論集会が02年6月11〜12日、熱海で開かれた
。連合として初めて消費税率の2%への一時的引き下げや医療改悪法案の「廃
案」をうちだした。また、解雇規制の労働契約法制、パート・有期雇用労働法
をとをかかげているのも特徴である。                  
                                   
 あいさつでは笹森会長が「現役の雇用・失業不安と、老後不安の解消の取り
組みを全雇用労働者に発信する」と、連合730万人だけでなく、5400万
労働者への闘いを呼びかけた。有事法制の成立阻止にどあわせ、医療改悪阻止
を」と改めてよびかけてのが注目される。                
                                   
 初めて政策委員長に就任したゼンセン同盟の高木剛会長は「民間組合、企業
別組合の空洞化の進行、労働組合の力量低下、働くのルールの揺らぎ」などに
危機感を表明。「立派な政策をつくり、正当性があっても、実現しなければ絵
に描いた餅。どう実現するかの議論を」と、闘いにパッパをかけた。これまで
の歴代政策委員長とは一味違う高木節で政策闘争の強化を訴えた。     
                                  目次へ 
                                   
                                   
                                   
   2年ぶりに国会前座り込み3団体共同               
                                                                                                         
 連合は有事法制反対と医療改悪阻止を掲げて02年の5月29日、国会前で約
1000人が座り込みを行った。昨年10月の連合大会で笹森会長、草野事務
局長の新体制になってから3回目の座り込み国会行動である。この日は連合の
ほか、全労連が500人、全労協100人も同時に国会前で座り込み行動を行
ったほか、中立の全建総連や航空労組連絡会も参加して「同時同発的行動」と
なった。各団体からのエール交換はないものの、2000年3月の年金闘争で
労働三組織が国会前で同時座り込み行動を展開して以降、2年2カ月ぶりの共
同的行動となっている。                        
 地方でも大阪の私鉄、全港湾、医労連など14労組をはじめ、新潟、石川、
岩手、愛知、兵庫、福岡などで連合、全労連、全労協の枠を越えた共同が拡大
し、反戦平和の取り組みとして注目されている。             
                     目次へ
              「解雇ルール立法」へ連合、全労連、全労協が同席シンポ     
                                   
 「連合・全労連・全労協は共通要求の解雇ルール立法へ全労働者の代表とし
て3団体で実現運動を」と、日本労働弁護団がシンポの最後で呼びかけると、
会場の参加者から、一斉に拍手が湧きあがった。5月20日、日本労働弁護団
が主催した「解雇ルールの立法化を!」のシンポジウムのシーンである。  
 シンポでは、同弁護団が「解雇等労働契約終了に関する立法提言」を発表し
た。注目されたのは、嫌がらせや希望退職の名のもとに行われる退職強要など
を「みなし解雇」として、法的規制の対象に入れたことである。      
 労働団体は、連合が龍井総合労働局長、全労連が熊谷副議長、全労協が藤崎
議長。「整理解雇の4要件」の法制化で一致した。            
 解雇規制の立法化で3団体のトップが同席したのは初めて。来年2月の政府
の解雇法制提出に向けた先制シンポであり、今後、3団体の同時・同発的行動
の展開を期待したい。                         
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 異なる意見があっても「まとめる」 有事法制成立阻止・消費税減税   

                                   
 有事法制の今国会成立反対と消費税減税案を5月16日の連合中央執行委員
会が確認した。ともに賛否両論があったが、方針を確認したのが注目される。 
 ともすると、連合は政治課題など異なる意見があった場合は無理をしてまと
めない方向をとってきたが、今回は議論してまとめる方向へ一歩ふみだした。
 消費税減税案は、5%を2年間2%に引き下げ、その後、1年ごとに1%ず
つもどして、3年かけて5%にする案である。デフレ不況打開への内需振興策
として、注目される。                         
                                   目次へ
                                   
                   
                                
        労働三団体が「有事法制反対」へ         
                                
 「有事法制の今国会成立には断固反対」と笹森連合会長が4月27日の
連合メーデー中央大会で表明した。これに呼応して、壇上の土井社民党
党首が拍手を送り、10万人(主催者発表)参加した広い代々木公園にマ
イクをとおして拍手が流れた。                         
 連合が有事法制の成立反対を表明したのは初めて。笹森会長は「有事
とはなにか。また国民の権利制限に強い懸念が寄せられ、『なぜ、いま
この時期に』との疑念がある。今国会でむりやり成立させることには断
固反対」と訴えた。小泉内閣1年についても「政策転換を求め、国民の
声をきかないなら政権交代も」と呼びかけた。               
 全労連も5月1日、東京・亀戸中央公園で開かれた中央メーデー(主
催者発表・参加約八万人)で、小林議長が「有事法制、医療改悪に反対」
を訴え、小泉退陣宣言を発した。                       
 全労協も五月一日、二万人が参加して、日比谷メーデーを開催。「違
憲の有事法制、医療改悪反対」を訴えた。                 
 労働三組織とも医療改悪、有事法制阻止で一致。国会闘争へ向け、共
同の闘いが焦点である。                           
                           目次へ 
    
 
                                
   連合・全労連・全労協が国会包囲  
          
                                   
 雇用、暮らし、医療改悪反対、平和など政策転換を掲げて、連合、全労連、
全労協が4月10?12日にかけて、同時リレー国民総行動を展開した。連
合、全労連とも結成13年目で過去最大の国会行動となった。      
                                  
 連合のゼネラルアクション(国民総行動)は全国から参加した1万350
0人が集会とデモを展開した。国会前では歩道と車道を三重につなれた「広
場」で、5800人が座り込みとデモを合わせた前代未聞の大集会で騒然と
なった。警察も近年にない集会、デモと驚いていた。          
 笹森連合新会長は、小泉構造改革の政策転換をすべての労働者と国民に呼
びかけた。NPOなど市民組織も参加したほか、医療改悪反対署名も755
万名で連合結成以来最大規模となった。草野新事務局長も大きな盛り上がり
に手応えを語っている。                       
                                  
 全労連も結成13年目で最大規模の「統一スト・国民総行動」を4月12
日に展開した。14単産のストを含め、春闘共闘24産別、47都道府県で
合計83万5000人が参加。医療、業者、農民など10団体と共同して集
会、デモ、国会前座り込みなど多彩な行動を展開した。小林全労連議長と坂
内事務局長は小泉政権打倒を訴え、連合、全労協との連携も呼びかけた。  
                                  
 ○…全労協も4月12日、国会前座り込み集会を行い、12組織100人
が参加した。藤崎議長が有事法制反対、解雇制限法制定へ共闘を訴えた。 
                                  
 ○…各団体とも今回の最大規模となった同時・リレー総行動について「よ
かった」と評価している。春闘ベアは壊滅状態だが、国会で争点の医療・有
事立法は、命と平和の危機。労働界の共同強化が問われている。     
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歴史的転機の02デフレ春闘・総括視点              
                                
  デフレ不況と深刻な失業増のもとで闘われた02春闘は、過去最高の利
益をあげたトヨタのベアゼロ回答や収益増加の造船でもベアゼロ回答な
ど、金属、公益を問わずベアゼロ(定昇別)の総崩れ春闘となった。多
くの組合でベア断念、定昇抑制、賃下げ、リストラ攻撃などに寸断され
、“なんでもあり”のワースト記録となっている。しかも電機各社は春
闘妥結直後に定昇凍結などを提起し、春闘47年の交渉ルール破棄ともい
える「春闘の否定」の姿勢を強めてきた。             
 「雇用春闘」についても企業側はリストラを推進。日本初の政労使ワ
ークシェアリングでも新制度として「短時間正社員」が合意されたが、
正社員の時短移行、パートの均等待遇、政府支援なども不透明であり、
課題は山積している。                      
 これまで春闘47年の大きな転機は、狂乱インフレ下の74春闘に政財官
・労(鉄鋼、造船)の「賃金自粛・管理春闘」で前年の賃上げ32・9%を
一挙に13・1%に切下げ、右下がり春闘への転機となった。デフレ下の02
春闘は総じてベアゼロとなり、大手・中小を問わず経営側が本格的に総
額人件費抑制と賃下げ攻撃をしかけてきた歴史的な春闘となっている。
                                
 春闘ヤマ場の回答を受け、笹森連合会長は、ナショナルセンターとし
て20年ぶりの異例のベア見送りに対して、「反省」と述べ、「何らかの
社会的指標は必要」との見解を示している。 史上最高益でも賃上げを
否定し、来年もベア否定を宣言した経営側のタカ派路線に対して、組合
としても労使関係のかけ、総がかりの春闘戦線再構築が大きな課題とな
っている。                           
                                
 総括が難しい春闘とれれているが、第2の転機の春闘の総括ポイント
は以下の項目となろう。                     
 @春闘47年で妥結水準はワースト記録を更新 A日経連が本格的な「
賃下げ」攻撃B異例の連合統一要求断念と「反省」C春闘戦線の分裂、
JC共闘も二極分化しベア組合の孤立無縁の闘いD産別自決の限界と回
答不満の闘い方E春闘総括の歪みと産別利害対立もF産別統一闘争の危
機Gベアゼロから定昇見直し攻撃H中小春闘の大苦戦I全労連などは産
別統一スト春闘J規範的効果の薄い雇用安定協定K政労使のワークシェア
リングでも課題Lパート春闘も苦闘M春闘ベアと労使関係の変化N世界と
      対比、デフレ打開の闘いと春闘再生へ労働界の共同を。              
          
                               02・4・09                             目次へ
                                
                     
                                  
  政労使ワークシェアリングの課題・時間転換権           
                                  
  日本で初めて政労使によるワークシェアリングが3月29日に合意された。
「緊急対応型」は一つの選択肢に設定。主軸の「多様就業型」では「短時間
正社員」が新たな制度となる。ただし、パートとの均等待遇、正社員の時短
、政府の支援策など課題は多い。オランダでは法律で賃金、解雇規制など16
項目を保障している。                        
 労働時間の転換権も今後、課題となろう。 オランダでは産別労使協約が
先行し、2000年にフルタイムからパートへ、逆にパートかちフルタイムへの
時間転換権が保障された。条件は労働者が4カ月まえに申し出れば、経営側
は原則としてその権利行使を認めなけれはならない。 財界は「コストだか
になる。労働側に有利」と反発したが、産別協約の適用さない20%の労働者
のために、法律として制定した。産別力の弱い日本では政府の財政支援と均
等待遇法、時間転換権保障法の確立が求められる。           
                                  
                                 02・3・31                           目次へ


 
  小泉医療改悪へ怒りの国民集会、署名半年で1300万人                            
 
 「小泉医療改悪反対国民集会」が、さいたまのスーパーーアリナーで15,000人が
参加して開かれた。
サラリーマンの3割負担で年4万円の負担増。ベアゼロや500円ベアどころではなく、
財布と家計と景気をひやすこと必死である。
集会では、不況下でのリストラでの診療抑制など、医者と患者と勤労者の不安の声がだされた。
ひさしぶりの怒りの集会となった。
連合も1000万署名、医者たち、半年で1300万署名をあつめている。
改悪阻止可能との決意が表明された。
                              2002・2・14                        目次へ
  
 午年の労働運動
               
 ○…午年の新年が開けた。干支の世相や労働運動をみると、午年には一つの傾
向が伺える。経済は厳しく、戦争の匂いもするが、労働運動は後世に引きつがれ
る起点の闘いも多い。                          
 ○…経済では、世界恐慌が一九三〇年の午年に日本へも波及し「昭和恐慌」に
陥った。世に「ルンペン」の言葉もはやった。曲折、七八年には「円高不況」と
なり、ガルブレイスが『不確実性の時代』を執筆。九〇年からは「ボーダレス」
の国際社会に突入した。                         
 ○…きな臭い年でもある。一八九四年の「日清戦争」から、一九一八年の「シ
ベリア出兵」を経て、太平洋戦争では四二年の「ミッドウエー海戦」から転進潰
走。戦後、五四年には自衛隊が創設され、七八年の「有事法制研究」、九〇年の
「PKO」(国連平和維持活動)で自衛隊が初の海外派兵。米追随の日本の首相
が「ブッシュホン」とやゆされた。                    
 ○…闘いでは、はやくも「賃下げ反対」闘争が一八七〇年の午年、長崎の高島
炭鉱で展開された。「煙突男」が登場し、賃下げ・解雇反対闘争を呼びかけたの
は一九三〇年の富士紡川崎争議。春闘のスタートとなった「五単産共闘」は五四
年の午年、九〇年の午年から「連合」「全労連」春闘が始まった。      
 ○…国民生活と人権・平和闘争では、一九五四年に「近江絹糸人権スト」が勝
利した。生活闘争では「米騒動」が一九〇六年に発生し、女一揆を広めた。六六
年二月には初の「物価メーデー」を開催。反戦平和では、戦時下四二年の日立亀
戸などで「厭戦サボタージュ」が広がった。五四年には「第五福竜丸」が被爆し
、反核運動へ拡大。世界に先駆けた「ベトナム反戦10・21スト」は六六年から続
く。                                  
 ○…午年の〇二年。象意は「火の陽気盛大、情熱と行動力」。デフレ不況の暗
い谷間から、ペガサスの飛翔を期し、反転攻勢の年にしたいものである。(鹿)
                             2002・1・22                            目次へ
 
02日経連報告のタカ派路線 定昇凍結は歴史的な背信
 
                      
 ○…今年の日経連報告は、タカ派路線となった。奥田会長は昨年までは、「人
間の顔をした市場経済」といっていたが、今春闘では「これまでにない思い切っ
た施策」と言うように、ベア見送りだけでなく、定昇見直しまで踏み込むのは初
めてだ。「企業生き延び策」へ総額人件費抑制路線が貫徹した報告となった。 
 タカ派の最大の特徴は「定昇凍結・見直し」である。しかし、日経連の定昇見
直しは、身勝手である。かつて日経連は、労働界の反対を押し切って定昇制度を
導入した。言い分は「デフレで企業収益が低下し、労務費を増大せしめるベース
アップはできない」「定昇はベースアップ否定の役割をもつ」「ベースアップは
労働側の主張が強く盛られるが、定昇は査定替えであり経営権の枠内」と強行し
た。「労務費増大」とならない定昇見直しは、経営側のまる儲けとなる。働く者
の愚ろうであり、争議権で対抗すべきだろう。               
 春闘四十七年。労問研報告二十八年。当初三二%の賃上げを一挙に一三%へ切
り下げた後、右下がりの春闘に押さえ込み、今年の労問研報告には「自社型賃金
決定」など春闘変質の言葉もない。働く者に痛みを押しつけ、デフレ悪循環の労
問研報告打破へ、労働界の壮大な共同を望みたい。
                             2002・1・20
                           目次へ 
      
ワークシェアリング
                          
 ○…失業率が五・四%と史上最悪に陥るなかで、日本でも雇用創出へ向け、ワ
 −クシェアリング(仕事の分かち合い)が注目され始めた。とりわけ雇用創出と
景気回復、賃上げ、財政再建を果たした「オランダ・モデル」に暑い視線が注が
れている。                               
 ○…「オランダ・モデル」のエキスは次の通りだ。?労働側は賃金自粛?経営
側は時短五%で週三十八時間制へ移行、パート増・均等待遇協定?政府は減税に
よる可処分所得向上と年金給付水準の引き下げ、法律で均等待遇保障─などであ
る。
 ○…政労使による賃金、時短、雇用、減税などを組み合わせた政策で、オ
ランダはマイナスから四%の成長率を達成し、失業率も一二%から三%台へ激減
。賃上げも四%台に回復し、財政も健全化した。“オランダの奇跡”といわれる
理由である。                              
 ○…時短の結果、オランダではパートが増加し、働く人の三八%を占める。し
かし、パートも正規労働者であり、均等待遇も賃金、休暇、失業手当、解雇規制
、社会保障など十六項目が法律で保障されている。労働者はフルタイムからパー
トへ、逆にパートからフルタイムへの転換も可能である。          
 ○…ヨーロッパでは、フランスもワークシェアリングとして、賃下げなしに週
三十五時間制を実施し、一年で二十八万七千人の雇用創出効果を発揮した。政府
は社会保障費の事業主負担分を軽減する措置をとっている。ドイツの「雇用のた
めの同盟」も労使の賃金、雇用と関連させつつ、政府は減税措置をとり、雇用創
出効果は二年間で百万人にのぼっている。                 
  ○…日本でも、政労使で「日本的ワークシェアリング」の検討が始まった。労
働側の「賃金自粛」(ウエッジシェアリング)も目立つが、経営には時短、政府
には減税・均等待遇保障法を求める三位一体の雇用創出闘争がカギとなっている。
                           2001.12.23
                           目次へ 
      
 
                     
 
国会で大きな問題となっているテロ新法に対して、連合の笹森事務局長は9月27日、連合内で今後、合意形成をはかることを前提しつつ、国連中心主義からみても、冷静さを欠いた傾向がみられると慎重な姿勢をみせた。
 また、全労連などは9月28日、東京でテロ糾弾、報復戦争反対の緊急抗議集会を開き、4000人が参加した。
自衛隊の海外派兵について、国連無視の一方、国連にかかわるPKOを活用するという身勝手な論理で集団自衛権に踏み込んでいる。憲法の範囲を超えた自衛隊の海外派兵であり、今後、組合をふくめた国民の護憲の闘いが問われる歴史的な事態となっている。
                                          2001・9・29                                 目次へ
               
 成果主義の落とし穴                            
                                      
 ○…富士通の成果主義賃金は予想以上に深刻な矛盾をかかえていた。「社員のやる
気を引き出し、競争力を強化する人事制度」としてスタートしたが、わずか二年半で
見直しに迫られた。                             
 ○…「評価のあり方で社員の士気低下」「失敗を恐れて高い目標を設定せず、ヒッ
ト商品が生まれない」「ベテランは若い人に技術を伝えず、チームワークもなくなっ
た」などの問題があらわになった。富士通のエンジニアは「半年毎の成果評価では、
研究、開発は困難」と述べ、得意先が他社製品に変える動きも出はじめたと、深刻さ
を語った。                                 
 ○…会社は、新成果主義人事への見直しを進めている。「チャレンジングな高い目
標設定」やプロセス評価を含めた「コンピテンシー」(高業績者の行動特性分析)な
どを導入。しかし、職場からは「高い成果に加え、日常的な勤務態度まで管理しよう
とする意図も見え、これまでよりきつい成果主義人事になっている」と、不安の声も
聞かれる。                                 
 ○…成果主義賃金が導入された銀行では、マーケット別に顧客を差別化し、それに
対応して労働も等級付けと差別化するシステムが進行。「成果を奪い合い、ミスは押
しつける傾向が強まっている」といわれる。中小製造業からは「成果主義はノウハウ
が秘密にされ、町工場に蓄積されない」との警鐘も鳴らされている。       
 ○…東北大学の野村正實教授は、成果主義の落とし穴として、「日本の人事制度の
基盤であった長期雇用と会社忠誠心が揺らぎつつあり、時には期待する効果よりも逆
に社員を萎縮させ、不安に陥れる可能性もある」と警告している。        
 ○…戦後五十年。企業の賃金政策は「年功賃金から職務給」「職能給」「職能資格
制度」「成果主義」へ試行錯誤している。しかし、「人件費抑制のための成果主義の
見直しは矛盾の解決にならない」との職場の言葉が印象的だった。

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