ストレス過多といわれる昨今、心療内科の外来で比較的多いのが、この
症状だといわれます。アメリカでは人口の3パーセントにも及ぶ割合で
現在発症しているといわれています。
精神的な病、こころのひずみは、日本ではまだまだ解明、研究不可能
なことが多く、とかく画一的にどんな症状でも薬物療法で処理してしま
おうとするところが多分にみられます。
パニック障害は、最終的には本人の勇気と心の努力が求められてき
ます。 他力本願では絶対になおせません。

なんでもない人でも、心臓がドキドキしたり、息苦しくなったり、胸がいた
くなるときがあります。 極度の恐怖にさらされたとき( お化けやしきや
ジェットコースター、乗っていたエレベーターが突然止まってしまったとき
などを心にえがいてみてください)おこる症状と同じです。
いいことでたとえれば、大好きな人と会えたとき、肌が触れ合ったとき
のドキドキ、胸の高まり、緊張感、、、 こうした症状は本来どんな人間
にも持っているこころの自然な働きなのです。 
パニック障害の人は、ほんの少しこの症状が今、強く全面にでてきて
しまっているだけで、まず自分が大変な病気だと思いこまないことです。
病は気から。 
思いこみが激しくなればなるほど、症状は悪化していきます。  

人ごみにでられなければ今はでなければいい。すこしづつ、体調をみな
がら、明日は出られるように努めればいい。
明日がだめだったら、あさってこころみればいい。 
人間関係がうまくできなければ無理して人の輪にはいる必要性は
まったくない。少しずつ人づきあいができるようになっていければいい。
人は所詮、生まれてきたときもひとり、死ぬときもひとりなのだから。
どんな人でも、ほんとうはみんな孤独を感じているのですから。

薬によって、 一時的に不安がとりのぞかれ、社会復帰できたとしても
それは本来の自分の姿ではありません。  無理してとりつくろえば必ず
そのひずみが現れてきます。封じ込めれば、封じ込めるほど、心の病は
もっともっと心の奥深くに影を潜めていきます。潜在下に潜む深い傷は
ふとした瞬間、ものすごい悪露となりふきだしてきます。
感情や理性でははどめがつかない次元にまで自分がおいやられてしまう
のです。 さいごは心の崩壊、心の死滅です。

今生じているどんな症状も、つらさ、悲しみも、心が完全に死滅してしまわ
ぬように自己防衛してくれているのです。
一方的に排除、封じ込めるのではなく、心が露呈してきたその姿、現実を
すなおに認め受け入れることが何よりも大切なことだと私は思います。
心の病は、抱えている悩みが人それぞれ異なるように、まったく同じ治療法
対話療法、薬物療法ではあってはならないはずです。
その人の心を見ずして、解そうとせずして、
どんな病も癒せるはずがありません。      次のページへつづく