AKIFUMI SHIBA  芝 章文


四神 龍虎図 玄武鳳凰図

四神とは中国神話に登場する、世界の四方向を守る聖獣のことです。東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武といい、それぞれ川、海、道、山などに対応します。

四神・龍虎図 1400×2800mm 和紙に顔料、膠、アクリル、墨、黒箔、金箔 2010年

四神・玄武鳳凰図 1400×2800mm 和紙に顔料、膠、アクリル、墨、銅箔、金箔 2010年

鳳凰図


鳳凰図 2200×2200mm  和紙に顔料、膠、アクリル、墨、黒箔、金箔、プラチナ箔 2013年

《鳳凰図について》

鳳凰は中国神話の伝説の鳥、鳳皇とも呼ばれ、古代を象徴する四神の瑞獣、朱雀と同一視されてきました。「鳳」は雄鳥を、「凰」は雌鳥を表し、古くは
「朋」と呼ばれたと云われています。360種の羽を持つ動物の長であり、聖天子の治める平和な世にのみ姿を現すとされ、その容姿は前部が麟、後部が鹿
、頸は蛇、背は亀、頷は燕、嘴は鶏、尾は魚であるとされています。また五色絢爛な色彩で、羽には孔雀に似て五色の紋があり、声は五音を発するとされ
ています。
鳳凰図の背景には高松塚古墳やキトラ古墳の天井に描かれていた「二十八宿」の星座が配され、中央には北極星を含む北極五星と四輔四星が描き込まれて
います。
同時に星座と対応する、北辰を表す北極星を神格化した「妙見菩薩」や北斗七星を表す「一字金輪仏頂」をはじめ、様々な仏尊を表す「種字」も描き込ま
れています。
若くして世を去った「有間皇子」の無念の思いを癒すとともに、この地「岩内1号墳」を訪れた多くの人々の祈りや願いを天上に託し、人々の汚れた想念
を浄化する役割を担った神獣「鳳凰」の飛翔する姿を有間皇子に準え描きました。

《鳳凰図》2200×2200mm 和紙に顔料、膠、アクリル絵具、墨、黒箔、金箔、錫箔、プラチナ箔 2012年   収蔵 東山の森Ark   芝 章文


黄龍図

黄龍図 1200×1500mm 和紙に顔料、膠、アクリル、墨、黒箔、金箔 2011年

龍虎図

虎図 700×900mm  和紙に顔料、膠、アクリル、墨 2008年 龍図 700×900mm 和紙に顔料、膠、アクリル、墨 2008年

白澤図

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白澤図 1303×1620mm  和紙に顔料、膠、アクリル、墨、黒箔、金箔、水銀箔、プラチナ箔 2014年

《白澤図制作のはなし》

白澤は中国の想像上の聖獣で、一般に人面を持った牛、或いは人面を持った獅子の姿をしていると謂われます。6本の角と9つの眼を持
ち、 人語を理解し、万物に通暁しており、古今の魑魅魍魎の知識に詳しく、麒麟や鳳凰と同様、徳のある治政者の時代に出現したと伝え
られています。
病魔を防ぐ力があるということから、白澤の絵を持っていれば道中の災難や病気をまぬがれると、江戸時代の旅には欠かせない “お守
り”になっていました。
このたび日高高校創立100周年記念同窓会館建設に際し、今日まで日高高校を巣立っていった多くの先輩、後輩、関係者の方々に、災い
を退け、福禄を齎す、辟邪に役立つ白澤の法力を以って、日高高校が更に飛躍、発展されていくことを願い、日高川に降り立った聖獣、
白澤を描きました。
霞たなびく日高川から鳶山を臨み、川縁の干潟には御坊市の花木、ハマボウの花が咲き誇る自然豊かな故郷を表現しています。背景には
時間や月日の経過を表す黄道12星が配され、星座に対応する大日如来や阿弥陀如来など様々な仏尊を象徴する「種字」が描き込まれてい
ます。

2011年3月「東日本大震災」に見舞われたこの年、ここ和歌山・日高川においても台風河川被災に晒されました。これら2つの禍事はこ
の年、激甚災害に指定され、今もなお、まだその後遺症に多くの方々が苛まれています。このような取り返しのつかない郷土の痛みに、
真正面から立ち向かい、乗り越えて行けるような、豊かな未来を紡ぎだせる逞しい人材を、数多く輩出して頂きたいと願い、人生の道中
を同行する白澤の絵を描きました。

2014年10月和歌山県立日高高校創立100周年記念に寄せて  寄贈 東山の森Ark   芝 章文

(※)辟邪絵:中国などで古来より信仰された、疫鬼を懲らしめ退散させる善神を描いた絵。