■ 鉄道模型用 踏切音発生器の製作 ■


 息子から、TCS自動踏切セット(TOMIX 5555)の修理を頼まれ、遮断機のメカ部分は修理できた物の、踏切音が方形波出力をトランジスタとCR(抵抗・コンデンサ)で減衰させているだけなので、「ピーン・ピーン・ピーン」と言う、純正品の模型とは思えない音を発していました。
 そこで、もっと本物に近い音が出せないかと、AVRマイコンによるPWMサイン波で、踏切音を再現してみました。


回路の概要
 
1.AVRとクロック
 
 ・AVRマイコンは、8ピンの安価なAVR「ATtiny13A」を使用。 
 ・動作クロックは、内臓発振器9.6MHzで動作しています。

2.オーディオアンプ
 
 ・8ピンの「Holtek HT82V739」(5V電源・出力1.2W)を使用しています。
  (このアンプはBTL接続なので、部品点数が少なくて良いです)
 ・基板上の半固定抵抗器(10KΩ)で、音量が調整できます。

3.踏切ランプ
 
 ・踏切音だけではもったいないので、警報機のランプ用に、2つのLEDが交互に点灯する出力を
  設けてあります。
 ・LEDの電流制限抵抗(680Ω)は、使用するLEDによって選択して下さい。

4.センサー入力
 
 ・踏切センサー「TCSワンタッチ装着センサー TOMIX 5558」用に、「TCSセンサーコード
  TOMIX 5811」1本を半分で切断し、回路にハンダ付けします。

5.電源回路
 
 ・TCSパワーユニットのTCS用12V電源を使用するため、 「TCS電源延長コード TOMIX 5810」を
  オス側を長く、メス側を短く2つに切断し、回路にハンダ付けします。
  (コードは(−)側に白線があります)
 ・この12V電源を3端子レギュレータで5Vに変換し、AVRマイコンとアンプを作動させます。

6.プログラム
 
 ・AVRマイコンのTimerで、PWMサイン波を作ります。
  (詳細は、ハードウェアTimerのPWMモードで、Sin波形を発生ページを参照して下さい)
 ・実際の踏切で録音した音源をFFTで解析し、この踏切では688Hzと735Hzにピークのある
  2つのサイン波形を合成しています。
 ・サイン波形は、AVRのEEPROMにSinデータを格納するのですが、ATtiny13Aはメモリー容量が
  少ないため、サイン波形の前半1/4だけをEEPROMに書き込み、4象限分をプログラムで
  出しています。
 ・この波形データに、アタック(立ちあがり)とレリーズ(余韻)を付けて、鐘をたたいたような音を
  再現しています。
  (この値を変えると、各種癖のある踏切音に変わります)

7.センサーの検出
 
 ・センサーからは、踏切前のON信号と、踏切通過後のOFF信号が出力されます。
 ・「TCSワンタッチ装着センサー TOMIX 5558」では、車両の通過時に車輪がレールと接点を導通
  させて、それがレール電源と共に内蔵されているフォトカプラを駆動し、出力のトランジスタが
  オープンコレクタでON([L]レベル)になります。
 ・フォトカプラは、(+)と(−)方向に2つ内蔵されており、運転方向によりON/OFFも逆転する
  ようになっています。
 ・マイコンでは、単純にON信号で踏切が鳴り出し、OFF信号で停止するようにプログラムしています。
 ・脱線等のトラブルにより、踏切が鳴り続ける事がないように、50回で自動停止します。



AVRマイコン ATtiny13Aの、ヒューズ ビット書き換え
 
下記ページの書き換え方法 「6.」を、以下の様に変更して、ヒューズ ビットの書き換えを行います。

    ヒューズ ビット書き換え

 6.[ Fusebit E ] の右欄 [ 0=Divide clock by 8, ON ] をクリックすると、右側にプルダウン
   メニューが現れますから、 [ 1=Divide clock by 8, OFF ] を選択します。

「AVRWRT」 ライターの場合は、AWRTf_Fumikiri.gif
 
他のプログラマーでは、CKDIV8 = [1] にして下さい。



回 路 図  GIF版 FumikiriCir.gif (68KB)  PDF版 FumikiriCir.pdf (119KB)

部品配置図  GIF版 FumikiriPcb.gif (108KB)
   注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。 

プログラム  テキスト形式 ソースファイル  Fumikiri202.TXT (12KB)
 BASCOM-AVR用 ソースファイル  Fumikiri202.bas (12KB)
 
注意! 著作権は放棄しておりませんので、販売や配布目的での使用は絶対にしないで下さい。

       (記事の無断転載を除き、個人での使用、改変、自作の掲載、リンクの制限はありません)



 
 ケース 上面

 
 ケース 内部
 
 ケース 右側面

 
プリント基板

 
基板 部品面

 
基板 ハンダ面

 樺テ川洋行
踏切り LA-8

 
LED 1608R(1.6mm赤)

 
1mm穴をあけて実装

 
基板とコネクター配線
 動 画  


○パーツの参考資料
 ・プリント基板  「サンハヤト」 感光基板 43K ガラスコンポジット 片面 1.0tx100x150mm
 ・ケース  「TAKACHI」 SW-55S W40xD55xH20mm


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