■ プリント基板によるデジタル時計の製作 ■


● AVRマイコン ATmega88 + 蛍光表示管 LD8035E デジタル時計 ●

 今作も、製作時にまだ新品で入手可能な、NECの蛍光表示管LD8035Eを、AVR ATmega88で制御して、デジタル時計を製作しました。
 
 表示管が小型なため、ケースや基板もコンパクトに仕上がるように、使用する部品を極力少なくなるように設計しました。


回路の概要
 
1.マイコン部

 
 ・AVRマイコンは、ATmega88-20を使用し、動作クロックは、8MHzの内蔵RC発振器を使用して
  います。
 ・時計用の原振となる水晶は、32.768KHz Xtalを、AVRのTIMER2用発振器として、
  TOSC1とTOSC2端子(XTAL1,XTAL2ピンと兼用)に接続してあります。

2.表示管ドライブ回路
 
 ・TD62783APは、8回路 非反転型トランジスタアレイで、入力のHレベル(5V)電圧に対して、
  出力は最大50Vまでの電圧を制御できるソース・ドライバーです。
     TD62783AP データシート
 
 ・蛍光表示管にカットオフ電圧をかけるため、TD62783APの出力に、抵抗モジュールが接続
  されています。
    カットオフ電圧の詳細は、ATmega88+蛍光表示管(VFD) デジタル時計を参照して下さい。

3.電源回路
 
 ・電源は、DC12VのACアダプターのみで動作します。
 
 ・AVR ATmega88用には、5Vの3端子レギュレータを使用しています。
 
 ・蛍光表示管をダイナミック点灯する場合には、グリッドとプレートに20〜30Vの電圧が必要に
  なるので、DC-DCコンバータIC、NJM2360A(MC34063A)により電圧を得ています。
 ・この回路には、CDSにより周囲の明るさに合わせて表示管電圧が変化する、ディマー回路も
  組み込んであります。
 
 ・フィラメント用電源には、前作で良好な結果の出た、TO-220型スイッチング・レギュレータ
   「LM2575T-ADJ」を使用しました。
 ・表示管LD8035Eのフィラメント電圧が約0.8Vなので、2本ずつを直列に接続し、1.6Vの電圧を
  かけています。
 
 ・カットオフ電圧を得るバイアス回路には、3.3Vのツェナダイオードを使用しています。
 ・今回は、フィラメント用電源にスイッチングタイプを使用したため、ツェナダイオードに流れる
  電流は、かなり少なくなりましたが、念のため1Wタイプを使用してあります。



回 路 図  GIF版 Am88LDCir.gif (226KB)  PDF版 Am88LDCir.pdf (395KB)

部品配置図  GIF版 Am88LDPcb.gif (222KB)
アートワーク  GIF版 Am88LDAW.gif  (257KB)
   注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。 

プログラム  テキスト形式 ソースファイル  Am88LD101.TXT (30KB)
 BASCOM-AVR用 ソースファイル  Am88LD101.bas (30KB)
 インテルHEX形式 オブジェクトファイル  Am88LD101.HEX (9KB)
 
注意! 著作権は放棄しておりませんので、販売や配布目的での使用は絶対にしないで下さい。




 
ケース側面

 
ケース後面

 
プリント基板

 
基板 部品面

 
基板 ハンダ面

 
基板 正面

 
基板 右側面

 
基板 後面

 
基板 左側面
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AVRマイコン ATmega88の、ヒューズ ビット書き換え
 
AVR ATmega88のシステム クロックは、工場出荷時に1/8前置分周器が有効に設定されているので、これを無効にするため、AVRのヒューズ ビットを書き換える必要があります。

下記ページの書き換え方法 「6.」を、以下の様に変更して、ヒューズ ビットの書き換えを行います。

    ヒューズ ビット書き換え

 6.[ FusebitC ] の右欄 [ 0:Divide Clock by 8 Enabled ] をクリックすると、右側にプルダウン
   メニューが現れますから、 [ 1:Divide Clock by 8 Disabled ] を選択します。



操作方法
 
1.電源投入
 
  ・電源が入ると、現在のプログラムバージョンが、0.2秒周期で点滅表示されます。
  ・いずれかのボタンを押すと、「2008年1月1日 0:00:00」からカウントが始まります。
  ・表示桁数は「6桁表示」、表示モードは「通常」、時間表示は「24時間制」 になります。

 
2.表示切換
 
  ・「Time Set A」と「Time Set B」ボタンを押すことにより、下記の様に表示が切り替わります。
6桁モード時
通   常 時.分.秒 表示
Time Set A ボタン 月 日   表示
Time Set B ボタン 年    表示
4桁モード時
通   常 時.分 表示
Time Set A ボタン 月 日 表示
Time Set B ボタン 分.秒 表示

  ・「Time Set C」ボタンは、ボタンを押すごとに、時間表示を12時間制と24時間制に切り換える
   ことが出来ます。

  ・「Time Set A」ボタンを押しながら、「Time Set C」ボタンを押すと、表示モードが「通常表示」と
   「秒の下1桁が0〜7の8秒間は時間、8〜9の2秒間は月日を表示」で、交互に切り替わります。

 
3.時刻設定
 
  ・「Time Set A」と「Time Set B」ボタンを同時に1秒以上押すと、時刻設定モードに入ります。
    (年は、西暦2000年から2099年までの範囲で対応しています)
 
  ・設定モードに入ると、下記の順に設定できる項目が点滅表示されます。
     ( 6桁/4桁選択 → 年 → 月 → 日 → 時 → 分 → 終了 )
 
  ・「Time Set B」ボタンで、設定値が増加し、1秒以上押し続けると早送りになります。
  ・「Time Set C」ボタンで、設定値が減少し、1秒以上押し続けると早送りになります。
  ・設定値の上限下限はチェックしておりますが、大小の月による日付の確認は省いております
   ので、注意して下さい、(例 4月31日など)
 
  ・「Time Set A」ボタンを押すと、次の項目に移ります。

  ・「6桁/4桁選択」時は、左側に「64」が表示され、「Time Set B , C」ボタンにより、[0] = 4桁表示、
   [1] = 6桁表示を表しています。
 
   ・「6桁/4桁選択」、「表示モード」、「時間表示の12/24時間制」の設定値は、AVR内部の
   EEPROMに記憶されますので、電源を落としても前回の設定値で動作します。

  ・分の設定が終わると、秒を00にして通常の時刻表示に戻りますので、秒の単位まで合わせる
   場合には、00秒になったと同時に「Time Set A」ボタンを押します。

 
4.日差の微調整
 

  ・水晶発振子(Xtal)に隣接する、トリマー・コンデンサにより、1日の誤差を見ながら、
   左右どちらかに少しずつ回転させて、日差を修正します。



○パーツの参考資料
 ・プリント基板  「サンハヤト」 感光基板 41K ガラスコンポジット 片面 1.0tx100x100mm
 ・ACアダプター  「秋月電子通商」 超小型スイッチングACアダプタ 12V 1A
 ・ケース  「ダイソー」 コレクション ケース A062  W93xD93xH87mm


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