■ 7セグメントLED ダイナミック点灯モジュールの製作 ■


 マイコンの表示器として多用されるLCD(液晶表示)モジュールは、小型で安価な物も多く、配線や表示制御も簡単なのですが、文字の大きさや輝度・表示色によっては、7セグメントLEDが好まれる場合もあります。
 
 しかし、7セグメントLEDは1文字単位の製品が多く、8桁ともなると配線数も多くなり、手配線では大変な作業量になります。
 また、ブレッドボードなどに、手軽に組み立てることも困難です。
 
 そこで、8個のLEDを使用した、ダイナミック点灯用のプリント基板を製作しました。
 基板サイドにピンヘッダーを取り付けて、ブレッドボードにも簡単に刺せるようになっています。
 
 
 さらに、AVRマイコンユニット(LCDtoLEDボード)を抱き合わせることで、LCDモジュールのコマンドを使用した表示が可能になります。
 汎用の、16文字2行キャラクタLCDとピン配置を同じにしてあるので、差し替えも可能です。
 BASCOM等のコンパイラから、LCD表示命令で簡単にLED文字表示ができます。


回路の解説
 
○ 7セグメントLED ダイナミック点灯ボード

 
1.7セグメントLEDの選定
 
 ・LEDは文字サイズや形状によって、ピン配置が異なります。
 ・このボードには、秋月電子で入手可能なPARALIGHT社製の551シリーズが使用できます。
  (ピン配置が同じであれば、他製品も取り付け可能です)
 
 ・アノードコモン、カソードコモン、どちらでも使用できます。
 ・コモンタイプに合わせて、電流ドライバーICと電流制限抵抗を選択して下さい。
 
コモンタイプ LED 電流ドライバーIC 電流制限抵抗 備 考
カソードコモン C-551SRD 等 TD62083AP 100Ω カソードコモンをお勧めします
アノードコモン A-551SRD 等 TD62783AP 68Ω  

2.ドライブ回路
 
 ・表示制御は、マイコンのポートから直接可能です。
  コモン側 → [H] アクティブ
  セグメント側 → カソードコモン:[H] アクティブ ,  アノードコモン:[L] アクティブ
 
 ・回路上の値では、LEDの1セグメントに20mAの電流を流しますので、相応のドライブ能力がある
  マイコンを選定して下さい。
 ・AVRでは、ポートの合計電流容量にも規定がありますから、注意して下さい。
 ・ATmegaシリーズでは、チップ中央の電源端子から分けて、シンク[L]電流合計が100mA、
  ソース[H]電流合計が100〜150mA等の規定がありますので、ポートの配置に注意して下さい。
 ・配置が困難な場合は、電流制限抵抗値を変更して対応して下さい。

3.制御方法
 
 ・点灯サイクルは1KHz(1mS)程度で、1桁あたり125μSの点灯期間です。
 ・点灯期間には、10%程度のブランキング期間を設けて下さい。(隣接桁へのゴースト対策)
 ・点灯期間を5%〜90%に可変すると、輝度を変えることができます。
 ・セグメントデータは、カソードコモンで[H]点灯、アノードコモンの場合はNOT(ビット反転)して
  出力して下さい。

 
○ LCD to LED ボード
 
 ・LCD用の制御信号とコマンドを、AVRマイコン(ATmega88P)で解析し、LEDをダイナミック点灯
  制御します。
  (LCDバスは4bitモード専用で、書き込み制御のみです)
 
 ・制御端子は直接AVRのポートにつながっているので、LCDコマンド以外にもプログラムの変更に
  より、単体で信号のカウントやアナログ電圧値、TWI(I2C)等での表示も可能です。
 
 ・LEDボードには、エクステンション基板で接続します。
  (配線や取付位置を、自由に変更することも可能です)
 
 ※ LCDモジュールによっては、電源とGNDピンが逆の配置の物がありますので、
      このボードを取り付ける前に、十分に確認して下さい。




回 路 図  GIF版 S7LEDmodCir.gif (143KB)  PDF版 S7LEDmodCir.pdf (230KB)

部品配置図  GIF版 S7LEDmodPcb.gif (108KB) 部品表
 
   
注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。

プログラム  テキスト形式 ソースファイル  LCDtoLED101.TXT (19KB)
 BASCOM-AVR用 ソースファイル  LCDtoLED101.bas (19KB)
 インテルHEX形式 オブジェクトファイル  LCDtoLED101.hex (6KB)
 
注意! 著作権は放棄しておりませんので、販売や配布目的での使用は絶対にしないで下さい。
       (記事の無断転載を除き、個人での使用は可能です。 改変、自作品の掲載、リンクもご自由に。)




 
表示テスト

 制御マイコンと接続

 
 エクステンション基板

7セグLED ダイナミック点灯
ボード プリント基板

 
基板 部品面

 
 基板 ハンダ面

LCD to LED ボード
プリント基板

 
基板 部品面

 
基板 ハンダ面


AVRマイコン ATmega88Pの、ヒューズ ビット書き換え
 
・書込器が「AVRISPmkII」の場合。
 プログラム冒頭の「$prog」命令をコメントアウトすると、自動でヒューズが書き込まれます。

・「AVRISPmkII」以外。
 下記ページの書き換え方法 「6.」を、以下の様に変更して、ヒューズ ビットの書き換えを行います。
 
    ヒューズ ビット書き換え
 
 6.[ FusebitC ] の右欄 [ 0:Divide Clock by 8 Enabled ] をクリックすると、右側にプルダウン
   メニューが現れますから、 [ 1:Divide Clock by 8 Disabled ] を選択します。
 
   [ FusebitKLA987 ] の右欄 [ 100010: --- [CKSEL=0010 SUT=10];default value ] を
   クリックすると、右側にプルダウンメニューが現れますから、
   [ 000010:Int. RC Osc. 8 MHz [CKSEL=0010 SUT=00] ] を選択します。
 
   [ Fusebit DEF ] の右欄 [ 111:Brown Out Disabled ] をクリックすると、右側にプルダウン
   メニューが現れますから、 [ 100:Brown Out 4.3V ] を選択します。

・「AVRWRT」 ライターの場合は、AWRTf_FrqC.gif



製作について
 
部品表は、部品の背が低い順に記載してありますので、この順番に取り付けて行きます。
 
・ジャンパー線は、すずメッキ線や、被覆電線を使用して下さい。
 (LED下のジャンパーも、忘れないで下さい)
 (カソードコモン用とアノードコモン用は、取付位置が異なります)
・1/6W抵抗器は、3目 (2.54X3 = 7.62mm) ピッチで両端を折り曲げて取り付けます。
 (カソードコモン用とアノードコモン用は、抵抗値が異なります)
・セラミックコンデンサと積層セラミックコンデンサは、2.54mmピッチの物が取り付け可能です。
・電解コンデンサは、背が高いため、横に寝かせて取り付けます。 (極性に注意して下さい)
・IC、LED、ピンヘッダ類は、配置図の通りに取り付けます。
 
・「7セグメントLED ダイナミック点灯ボード」と「LCD to LED ボード」の接続は、エクステンション
 基板が便利です。(線材での配線も可能です)
・ハンダ面を向かい合わせにして、10mmのスペーサーとビスで固定できます。
・ブレッドボードと共用する場合は、エクステンション基板に18ピンのピンソケット2個を取り付けます。



操作方法 (LCD to LED ボード)
 
1.電源投入
 
 ・電源が投入されると、LEDは全て消灯されて、LCDコマンドを待ちます。
 
 ・コマンドの最初は、必ず制御バスのビット幅指定を行って下さい。
  (コンパイラ等では、LCDの初期化命令で自動的に設定されます)

 
2.表示のON/OFF
 
 ・初期状態で、表示はONになっています。
 ・表示OFFコマンドを受け付けると、LEDを消灯しATmega88Pがスリープモードに入りますので、
  消費電力を大幅に削減できます。
  (想定値で約0.2μA バックアップ動作可能)
 ・バックアップ電圧に合わせて、BOD(低電圧検出)レベルのヒューズ設定を変更して下さい。
 
 ・表示OFFの状態からは、必ず表示ONコマンドを送って下さい。
  (他のコマンドでも、スリープモードが解除されてしまうため)

 
3.カーソル表示とスクロール動作
 
 ・カーソル表示は、ブリンク(点滅)カーソルのみ有効です。
  (アンダーバーカーソルは、表示できないため)
 
 ・内部の表示用メモリーは、16文字2行LCDと同じ容量を確保してありますので、カーソル位置
  指定命令の互換性はありますが、表示されるのは1行目の8文字だけです。
 ・また、ウインドウシフト表示やスクロール動作は、全て無視されます。

 
4.表示命令
 
 ・LCD表示コマンドで、数値ならびに簡易英文字が表示できます。
  (記号、カナ文字は表示できません)
 ・[.]ピリオドは、一文字前の桁に合成して表示します。 (LCDよりも1文字多く表示できます)
 ・[,]カンマは、小数点のみが表示されます。 (LCDと同じ表示方法)
 
  ASCIIコード → セグメントデータ変換表  Seg7LEDmodcvt.pdf
 
 ・ユーザーCG(キャラクタージェネレータ)も使用できます。
 ・LCDとの違いは、8バイトで1文字ではなく、1バイトで1文字の状態で書き込んで下さい。
 ・LCDでは、ユーザーCGが8個までですが、32文字まで使用できます。

 
5.輝度制御
 
 ・ASCIIコードの80〜FFを使用して、輝度を128段階に変えることができます。
  (80:暗い 〜 FF:明るい)
 ・初期状態では、128段階中の110に設定されています。
 ・文字の表示命令で、80〜FFのコードを送って下さい。

 
6.制御信号のタイミング
 
 ・販売されているLCDにより、若干のタイミング規格に相違があるので、全てのLCDに対する
  規格を満足している状態ではないかもしれません。
 ・BASCOM-AVRでは、必要以上の余裕を持ってコマンドが送られているので、問題は無いよう
  ですが、不具合が生じましたらご一報下さい。


 
◎ このプリント基板と、書き込み済みAVRを、実費頒布しております。
 
  基板・部品の頒布室



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