シリアル通信で制御可能なMP3プレーヤー


 市販のMP3プレーヤーは小型で安価な商品も多く出ており、自作する魅力もあまり感じられなくなりました。
 このMP3モジュールは、シリアル通信の簡単なコマンドにより、再生などの操作が行えるため、単体のMP3プレーヤー以外に、別な作品やおもちゃなどへの組み込み用途が楽しめそうです。

 まずは、パソコンからコマンドを送信して、モジュールのテストを行います。


 
KT403Aの日本語マニュアル(データシート)が見つからないので、私的に翻訳してあります。

 KT403A 日本語マニュアル 
 
 ・個人で使用するために翻訳した物を掲載しておりますので、翻訳間違いや誤字による、
  いかなる損害にも責任を負いません。

 ・原本の記載に誤りが多く、記述や解釈に違いがあります。
 ・チップのオーダー用件によりプログラムが変更されているため、搭載されるモジュールにより、
  接続ピンや動作などの仕様に違いがあります。


 
動作上の注意点 (見つかっている不具合について)
 
 ・MP3ファイルに対してはイコライザーがかかりますが、WAVファイルに対してはイコライザーの
  設定を変えても音質の変化はしない仕様のようです。
 ・WAVファイルはファイルの読み出しまたは出力処理が重くなるのか、まれに音飛びのような
  症状が出ます。 (WAVファイルは、あまり使い物にならないかもしれません)




Grove MP3モジュール v2.0
Grove MP3モジュール v2.0 (現在はv3.0)

パソコンと接続するテスト回路。

USBメモリーも接続しています。
(USBメモリーはオプションです)

回 路 図  PDF版 MP3_KT403A_Cir.pdf
 
   注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。

● テスト方法。


 パソコン側は、汎用のシリアル・ターミナル・ソフトでも動作しますが、下記の[SSCOM3.2]と言う
 ターミナル・ソフトがこのモジュールに最適です。

 ・[ Sscom32E.zip ]を任意のフォルダーにダウン
  ロードして、zipファイルを展開します。
 ・USBシリアル変換モジュール(AE-FT234X)
  などをパソコンとUSBケーブルで接続します。
 ・[ sscom32E.exe ]を起動します。

  @のCOMポートを選択します。
  Aの[Open Com]をクリックし、通信を接続します。
 Bの[HexData]にチェックを入れます。
 Cの[EXT]をクリックして[Hi de]にします。
 Dの欄に、モジュールに送信するコマンド列を
  16進数で1バイトごとにスペースを空けて記述し、
  左の[HEX]にチェックを入れます。
 E送信するコマンドを選んで、[SEND]をクリック
  すると、コマンド列が送信されます。

 画面の左には、モジュールから送られてきた
 返信等が表示されます。

◎ 動作テストの段階で、マニュアル通りに動作しないコマンドや、一部の未掲載のコマンドに反応がありますので、随時修正していきます。



再生用のディスク(SDカード・USBメモリー)の作製方法
・このモジュールで使用するディスクは、音楽等のファイルの構成に3通りの方法があります。
・市販のMP3プレーヤーのように、アーティスト名やトラック番号では分類できません。
1.ディスクのルート・ディレクトリーに、再生ファイル(.mp3/.wav)を用意する。
 
 ・フォルダーは使用せずに、ディスクのルート・ディレクトリーに再生ファイルを書き込みます。
 ・ファイル名は原曲のままで可能です。 (任意の名前で可能)
 ・ディスクに各ファイルが書き込まれた順に、再生する順番が決まります。
  (ディスクに書き込まれた順に、ファイル0001〜の順番になる)
 ・コマンド[03h]などでファイル番号を指定しますが、ファイル名に記載された番号などには従いません。
 ・したがって、アルバム全曲を一括してコピー→ペーストすると、再生される順番が変わる可能性が
  ありますので、曲順の整列をする場合は、ファイルを1つずつ順番にコピーする必要があります。


2.アルバム毎などでフォルダーに分類する。 (フォルダー内は255トラックまで)
 
 ・アルバムやジャンルごとに、複数のフォルダーに分けてトラックをまとめます。
 ・フォルダー名は、[01] , [12]のような2桁の数字を使用します。
 ・各フォルダー内のトラック数は、255トラックまでです。
 ・フォルダー内のファイル名には、ファイル名の前半部分に3桁の数字を追加する必要があります。
  ([愛の歌.mp3] を [002愛の歌.mp3]に変更する)
 ・コマンド[0Fh]で、任意のフォルダーの任意のトラックを指定することができます。
 ・ただし、フォルダー内を順に再生するコマンド[17h],[29h]では、トラック番号を検出しませんので、
  この場合もフォルダーに各ファイルが書き込まれた順に、再生する順番が決まります。


3.アルバム毎などでフォルダーに分類する。(フォルダー内に256トラック以上可)
 
 ・フィルダーに分類する際に、フォルダー内のトラック数を3000曲程度まで増やすことができます。
 ・フォルダー名は、[01] , [12]のような2桁の数字、または[MP3]を使用します。
 ・フォルダー内のファイル名には、ファイル名の前半部分に4桁の数字を追加する必要があります。
  ([愛の歌.mp3] を [0002愛の歌.mp3]に変更する)
 ・コマンド[14h],[12h]などのファイル番号を2バイトで指定するコマンドを使用します。
 ・ただし、フォルダー内を順に再生するコマンド[17h],[29h]では、トラック番号を検出しませんので、
  この場合もフォルダーに各ファイルが書き込まれた順に、再生する順番が決まります。









DFPlayer Mini (MP3-TF-16P)
DFPlayer

英文マニュアル  DFPLayer Mini Datasheet
 DFPlayer Mini SKU:DFR0299 


●このモジュールのコントローラーは、[YX5200-24SS]と言うチップが搭載されていますが、
  上記の[KT403A]の互換品なので、KT403A 日本語マニュアルを参照できます。
  (ただし、プログラムの仕様の違いにより、コマンド28hと29hには反応しませんでした)
 
●モジュール上に、3W(4Ω)のオーディオアンプが搭載されているので、押しボタン・スイッチ(+抵抗器)
  とモノラル・スピーカーを接続して5Vの電源を供給するだけで、モジュール単体でも14トラックの
  再生装置を作ることができます。
  (ボタン操作で、14トラック以上の全てのファイルを再生することも可能)
 
●システムに組み込む場合は、スイッチによるダイレクトな操作と、パソコンやマイコンのシリアル通信に
  よる制御が可能です。
 
●以下のフル・システム回路では、このモジュールの全ての機能をテストできるように設計してあります。
  ・押しボタンスイッチによる操作。
  ・シリアル通信による制御。
  ・オプションのUSBメモリーによる再生。
  ・基板上に小型スピーカーを搭載。 (外部スピーカーに切り替えることも可能)
  ・ステレオのライン出力。 (オーディオ・アンプへ接続)
  ・外部の5V電源、またはUSBバスパワーによる動作。

回 路 図  PDF版 DFPlayer_Mini_Cir.pdf (331KB)

部品配置図  GIF版 DFPlayer_Mini_Pcb.gif (188KB) 部品表
 
   
注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。



後面

112-TSケースの場合
フタを開いた状態で基板後部のコネクターと干渉するため、フタを開いた所で取り外せるように蝶版を加工してあります。

左側面

 
プリント基板

 基板 部品面

ケース加工

DFPlayerの動作映像
 
 1. SDカードに数字の音声ファイルを書き込んで、スイッチの
  動作テストを行います。
  「あみたろの声素材工房」の声素材を使わせて頂きました。
 
 2. USBメモリーに鉄道関連の効果音を収録して、
  鉄道模型用のサウンド・ユニットに仕上げてみました。


製作について
 
部品表は、部品の背が低い順に記載してありますので、この順番に取り付けて行きます。
 
・ジャンパー線は、すずメッキ線や、被覆電線を使用して下さい。
・1W抵抗器は、5目 (2.54X5 = 12.7mm) ピッチで両端を折り曲げて取り付けます。
・1/6W抵抗器は、3目 (2.54X3 = 7.62mm) ピッチで両端を折り曲げて取り付けます。
・ショットキー・バリア・ダイオードは、3目 (2.54X3 = 7.62mm) ピッチで両端を折り曲げて取り付けます。
・積層セラミックコンデンサは、5.08mmピッチの物が取り付け可能です。
・電解コンデンサは、極性に注意して下さい。 (リードの長い方が+、ケースの印線が−)
・LED(発光ダイオード)は、取り付ける向きが決まっています。足の長い方が[A]です。
・タクトスイッチは、押しボタン式の汎用タクトスイッチを基板上に取り付けできます。
 (SKHHPNA010の場合は、アースピンを切り取って下さい)
・超小型スライドスイッチは、取付方向に指定はありません。
・φ3.5 ミニジャックとUSBコネクターは、配置図通りに取り付けます。
・USBシリアル変換モジュールAE-FT234Xは、ピンヘッダが基板の片面にしかないため固定が
 不安定になりますから、モジュールの裏面に板ゴムなどを貼り付けて固定することをお勧めします。
・DFPlayerモジュールは、四角いランドが1番ピンです。
 SDカードのスロットが、基板外側に向く方向で取り付けます。
・DCジャックは、配置図通りに取り付けます。
・小型スピーカーは極性がありますので、部品の+と−を配置図と合わせて下さい。
・ターミナル・ブロックMPT 0.5/2-2.54 / 1725656を使用する場合は、固定用のボス2つを切り取って
 下さい。

・基板を組み込むケースは、任意で選択して下さい。


● 操作方法

1.電源
 ・5VのACアダプターやUSB電源(5V)から電源を供給します。 (3.2V〜5Vで動作)
  (1).[5V]のACアダプター。 (2.1mm標準DCジャック、センター[+]プラス)
  (2).USBシリアル変換モジュールからのUSB電源。 (5V)
  (3).乾電池(1.5V×3本の4.5V)。 DCジャック、またはUSBマイクロBコネクターから供給。
  (4).二次電池(1.2V×3本の3.6V)。 DCジャック、またはUSBマイクロBコネクターから供給。
  (5).USB接続タイプのモバイルバッテリー。 (5V)
 
 ・消費電流は、待機時 :16mA、スリープ時:13mA、再生時 :Max500mAです。
 ・USBメモリーは、電源電圧が5V以下の場合に動作しない可能性があります。
  (使用するUSBメモリーの仕様を確認して下さい)

2.ボタン操作
 ・[1]〜[14]のボタンは、ディスクのルートディレクトリーにある音声ファイル(mp3)をダイレクトに再生します。
 ・ディスクにファイルを書き込んだ順番で、[1]〜[14]に割り当てられます。
 ・[次のトラック]を押し続けると、音量が上がります。
 ・[前のトラック]を押し続けると、音量が下がります。
 ・[1]〜[14]のボタンを長押しすると、確答する曲が繰り返し再生されます。
 ・[再生モード切り替え]は、繰り返し再生中に再度[1]〜[14]のボタンを受け付けるかどうかを選択します。
 ・[デバイスの切り替え]は、[USBメモリー] → [SDカード] → [スリープ] の順で切り替えが進みます。

3.オーディオ出力
 ・スライドスイッチにより、基板上のスピーカーと外部のスピーカーを切り替えることができます。
  (4Ω 3W ・ 8Ω 2W)
 ・φ3.5 ミニジャックは、ラインレベルのステレオ出力が出ますので、外部のオーディオアンプに
  接続して下さい。
 ・[BUSY]出力は、再生動作中に[L]レベルになりますから、オーディオ・アンプのミュート端子へ接続
  すると、不要なノイズによるスピーカ出力をカットすることができます。

4.再生用ディスク
 ・再生用のディスク(SDカード・USBメモリー)の作製方法は、上記のGrove MP3モジュールと同じです。

5.シリアル通信制御
 ・パソコン等の汎用のシリアル・ターミナル・ソフト、または、マイコンのシリアル通信で制御します。
 ・ターミナル・ソフトは、上記の[SSCOM3.2]が最適です。
 ・マイコンのシリアルポートと直結する場合は、AE-FT234Xを取り外して[TxD]と[RxD]と[GND」を
  それぞれマイコンと接続して下さい。
 ・マイコン側のポート電圧は、3.3Vでも5Vでも直結で動作可能です。
 ・マイコンでのシリアル通信の詳細は、KT403A 日本語マニュアルを参照して下さい。


 
◎ このプリント基板を、実費頒布しております。
 
  基板・部品の頒布室



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