■ GPS受信モジュール GT-502MGG-Nのデータを表示する ■


 旧記事で使用した秋月電子の太陽誘電製モジュール[GYSFDMAXB]が販売終了になったので、取り扱いのある[GT-502MGG-N]モジュールのテストを行いました。
 衛星「みちびき」も受信可能で、正確な1PPS(1秒)信号も出力されています。
 (2号機:衛星番号194番、4号機:衛星番号195番)

 初期状態(工場出荷状態)の受信モジュールに3V〜5V電源を加えるだけで、1秒間隔で測位したデータをUART(調歩同期式シリアル通信)で送って来ます。
 基本の設定値でよければ、コマンドを送るような操作は必要ありません。
 衛星を見つけると、専用の1PPS出力から精度がRMSで30nsの正確な1Hz(1秒)信号が出てきます。
 衛星位置計算表をバックアップするためのスーパー・キャパシターを内蔵しているので、ボタン電池等の外部からのバックアップは不要です。
 コールド・スタートで35秒、ウォーム・スタートで30秒、ホット・スタートで1秒で起動します。


GT-502MGG-Nの日本語データ・シートが見つからないので、私的に翻訳してあります。

GT-502MGG_日本語データ・シート 原本 GT-502MGG
 
個人で使用するために翻訳した物を掲載しておりますので、翻訳間違いや誤字による、
いかなる損害にも責任を負いません。


パソコンとの接続テスト
[GT-502MGG-N] モジュールは、ケーブルの末端が先バラになっているタイプなので、ピンヘッダや変換基板を作ってブレッドボードに取り付けます。

下記の回路図のようにピンを配置して、ブレッドボード上で[USB-シリアル変換モジュール]と並べて差し込むだけで設置完了です。

回 路 図 PDF版 GPS_GT-502MGG-N_Test.pdf

LOCOSYS社製 「GNSS Firebird
メニューの [GNSS Receiver] タブから [ComPort Connection] をクリックして、COM番号を選択します。
同じく [ComPort Baudrate] をクリックして、ボーレートを9600にします。

衛星情報や現在位置の地図が表示され、他にも[View]タブから色々な情報が表示できるようです。
LOCOSYS社製 「GPSFox V:0.79b
 
COM番号を選択して、ボーレートを9600にします。
[Connect to GPS]アイコンをクリックすると、受信が始まります。
(ボーレートの右側のアイコン)

処理速度が遅いためなのか、全ての衛星が表示されないようです。
u-blox社製 「u-center

メニューの [Receiver] タブから [Connection] をクリックして、COM番号を選択します。
同じく [Baudrate] をクリックして、ボーレートを9600にします。

多機能ですが、使い方がかなり複雑です。
1PPS (1Hz) 出力

電源を入れてから衛星を測位すると、専用の[1PPS]出力から1Hz(1秒)信号が出てきます。

精度はRMSで30ns。



AVRトレーニング・ボードでスタンドアローン表示
パソコンを使わずに、単独でGPSのデータを表示します。
当ページに掲載のAVR & BASCOM-AVR トレーニング・ボードを使用ます。
もちろん、各種のAVRを選択することもできます。
 
トレーニング・ボードの5V電源と、AVR内蔵のUSARTを使用して通信を行います。
GPSモジュール側は3.3V電源で動作している様なので、トレーニング・ボードからのTXD信号を、疑似オープンドレインで5V→3.3Vの電圧レベル変換を行っています。

回 路 図 PDF版 ATB_GPS_GT-502MGG-N.pdf

 
プログラム
 
・GPSモジュールに5V電源が入ると、衛星の測位が開始されます。
・GPSモジュールの初期値(工場出荷状態)では、1秒間隔で測位したデータがASCII文字列でシリアル送信されてきますので、単純に受信を繰り返します。
・通信の設定は、9,600ボー、パリティー無し、データ・ビット 8、ストップビット 1。
・シリアルデータをAVR内蔵のUSARTの割り込みで受信します。
・行の末尾にはチェックサムが添えられているので、受信内容を計算してエラーのチェックを行います。
・センテンスという行単位で、時刻、位置、高度、対地移動方向、対地移動速度、衛星の測位状態などの情報が得られます。
・受信データ例。
$GNGGA,032933.000,35xx.xxxx,N,136xx.xxxx,E,1,22,0.55,16.6,M,36.4,M,,*42
$GNGLL,35xx.xxxx,N,136xx.xxxx,E,032933.000,A,A*47
$GPGSA,A,3,13,22,195,18,24,30,15,23,20,,,,0.90,0.55,0.71*39
$GLGSA,A,3,70,86,69,73,71,85,87,79,80,,,,0.90,0.55,0.71*11
$GAGSA,A,3,24,15,13,05,,,,,,,,,0.90,0.55,0.71*19
$GPGSV,4,1,15,15,64,320,41,05,56,103,,13,53,035,43,24,46,202,29*74
$GPGSV,4,2,15,18,41,299,31,195,36,192,29,20,26,124,21,23,19,311,29*4D
$GPGSV,4,3,15,194,14,165,,22,13,084,36,14,12,067,,30,08,041,35*45
$GPGSV,4,4,15,29,04,235,,11,02,160,,49,,,*7E
$GLGSV,3,1,09,70,51,018,27,80,43,089,35,86,37,293,34,85,34,230,32*66
$GLGSV,3,2,09,71,33,307,36,73,25,155,25,79,17,034,44,69,10,076,38*64
$GLGSV,3,3,09,87,06,339,12*5F
$GAGSV,2,1,08,03,67,326,,15,56,266,29,05,38,053,38,08,28,268,*65
$GAGSV,2,2,08,13,20,319,25,25,19,123,,24,17,069,36,02,02,167,*69
$GNRMC,032933.000,A,35xx.xxxx,N,136xx.xxxx,E,0.01,174.21,011023,,,A*71
$GNVTG,174.21,T,,M,0.01,N,0.03,K,A*20
 
・センテンス文字列の内容に付いては、「NMEA 0183プロトコル仕様書」や「NMEA-0183」でネット検索すると、詳しい解説のページを見つける事ができます。
・受信したセンテンス行ごとにデータを解析してLCDに表示します。
・トレーニング・ボードのスイッチにより、表示項目が変更できます。(下記の操作方法を参照)
・時刻表示については、GPSが正確な時刻を受信してもシリアル送信に時間がかかるため、LCDに秒が表示されるときには数百msの遅れが生じます。
 
プログラム  テキスト形式 ソースファイル  ATB_GT-502MGG-N_002.TXT
 BASCOM用 ソースファイル
 (BASCOM-AVR(製品版)が必要です)
 ATB_GT-502MGG-N_002.bas
 インテルHEX形式 ファイル  ATB_GT-502MGG-N_002.HEX
 
注意! 著作権は放棄しておりませんので、販売や配布目的での使用は絶対にしないで下さい。
       (記事の無断転載を除き、個人での使用は可能です。 改変、自作品の掲載、展示、リンクもご自由に。)

 
操作方法
 
・[SW4]を押したまま電源を入れる、または[リセット]ボタンを押すと、GPSモジュールを初期値(工場出荷状態)に戻します。
[SW1]と[SW2]はTXDとRXDにつながっていますから、押さないで下さい。



 GPSの測位情報
 [*]: 定期間隔(初期値は1秒)のデータを受信完了時に
    マークを表示します。
 上段の2文字目は、測位している衛星の数。
 下段の1,2文字目は、2D:2次元モード , 3D:3次元モード。
              [--]の場合は、未測位状態。
 下段の3文字目は、測位の品質、[-]:未測位。
             [S]:単独測位 - 誤差10m程度。
             [D]:DGPS - 誤差2m程度。

[SW3]を押すと、表示モードが変わります。
 時刻表示。 JST (日本標準時)
  上段: 年/月/日 , 曜日。
  下段: 時:分:秒。
 位置表示。
  上段: 緯度。
  下段: 経度。
 方向・速度・高度 表示。
  上段: 真北に対する進行方向 / 高度。
  下段: 対地速度。

[SW4]を押すと、表示項目が変わります。
 時刻表示 24時間制 表示
 時刻表示 12時間制 表示

 位置表示。
  上段: 緯度。 [度°分’] 表示
  下段: 経度。 [度°分’] 表示
 位置表示。
  上段: 緯度。 [度°分’ 秒”] 表示
  下段: 経度。 [度°分’ 秒”] 表示
 位置表示。
  上段: 緯度。 [度°(10進)] 表示
  下段: 経度。 [度°(10進)] 表示

 方向(真北が0°で時計回りの角度)・速度 表示。
  上段: 真北に対する進行方向。
  下段: 対地速度 (km/h)。
 方向(真北が0°で時計回りの角度)・速度 表示。
  上段: 真北に対する進行方向。
  下段: 対地速度 (ノット)。
 高度・速度 表示。
  上段: 海抜高度。
  下段: 速度 (km/h)。







GPS AE-GYSFDMAXB , GT-502MGG-N 使用
   高精度1Hz出力 & 周波数カウンターの製作

この製作では、GPSから送られてくる位置などの各種情報をLCDに表示する機能に加えて、同じくGPSモジュールから出力される正確な1Hz(1秒)信号を用いた周波数カウンターを搭載します。




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