■ ホール効果センサー A1324LUA-T で磁束密度の測定 ■

 リニア出力のホール効果素子A1324は、センサーに印加した磁場に比例する電圧出力が得られます。
 これにより、磁束密度や変位量、角度位置、電流測定などに応用できます。
 コイルと違い小さなセンサーなので、装置の小型化にも期待できます。
 測定値は直線的なアナログ電圧値で得られるので、マイコンのA/Dコンバータで簡単に読み取ることができます。

A1324LUA-Tの日本語マニュアルが見つからないので、私的に翻訳してあります。
A1324 日本語マニュアル 原本 A1324_Datasheet
 
個人で使用するために翻訳した物を掲載しておりますので、翻訳間違いや誤字による、
いかなる損害にも責任を負いません。


電圧出力のテスト動画

・センサーからの出力電圧を、テスターで測定しています。
 
・磁束密度が0のときは、約2.5Vです。
・磁石の磁束密度に対して、直線的に電圧が変わります。
・S極に対しては電圧が上昇し、N極に対しては電圧が
 下降します。


A1324 磁束密度計 (ガウスメータ)
 
回 路
 
 ・当ページに掲載のAVR & BASCOM-AVR トレーニング・ボードを使用して、磁束密度計
  (ガウスメータ)を作りました。
 ・もちろん、各種のAVRやポートを選択することもできます。
 ・「直流磁界」専用です。
 
 ・センサーの出力を、トレーニング・ボードの測定入力[1] (アナログ入力)に接続します。
 ・センサー用の電源も、トレーニング・ボードの[拡張端子2]から供給します。

回 路 図  PDF版 AtbA1324Cir.pdf
 
   注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。

 
プログラム
 
 ・磁束密度が0のときセンサー出力は2.5Vを示しますが、オフセットの誤差が多少あるため、
  測定を開始する前にA/D変換を行い、その値を磁束密度が0の2.5Vと計算するように
  誤差修正します。
 
 ・センサー出力をA/D変換して、2.5Vを基準にS/Nの極性を調べます。
 ・磁束密度を計算して、LCDに「ガウス」と「テスラ」の単位で数値表示します。
 ・A1324の分解能は5mV/Gで出力の飽和電圧が0.3V〜4.7Vなので、測定範囲は0G〜420G
  (0.0mT〜42.0mT)としました。
 ・LCDの下段には、S極とN極を左右に分けてバーグラフを表示します。
 ・100mS間隔で測定を繰り返します。

プログラム  テキスト形式 ソースファイル  AtbA1324Gmeter.TXT (13KB)
 BASCOM-AVR用 ソースファイル  AtbA1324Gmeter.bas (13KB)
  
注意! 著作権は放棄しておりませんので、販売や配布目的での使用は絶対にしないで下さい。
       (記事の無断転載を除き、個人での使用は可能です。 改変、自作品の掲載、リンクもご自由に。)

A1324 磁束密度計 (ガウスメータ)の動画







■ A1324LUA-T 磁束密度計(ガウスメータ)の製作 ■

 上記ではホール効果素子A1324の動作を検証しましたので、実用的な装置として磁束密度計(ガウスメータ/テスラメーター)を製作します。
 A1324LUA-Tは、出力が5mV/Gのアナログ電圧のため、AVRマイコンのA/Dコンバータでは分解能が1G(ガウス)程度になります。
 アンプで増幅すれば感度を上げる事もできますが、この製作では8ピンAVRマイコンだけの簡易な装置としてコンパクトに設計しました。
 地磁気のような小さな磁束は計れませんが、磁石の強さやピンセットなどの工具が磁化しているかを見ることが出来ます。
 100Hzくらいまでの交流磁束もピーク値で計れるようにしてありますので、商用電力程度のコイル磁束も測定できると思います。


回路の解説
 
1.電源回路

 
 ・A1324LUA-Tの電源電圧が5Vなので回路も5V動作とし、携帯用に乾電池を使用します。
 ・昇圧型DC-DCコンバータを使用すれば乾電池を少なくできますが、磁束の測定であることと、
  アナログ電圧を使用するために、ノイズを考慮して降圧レギュレーター回路にしました。
 ・1.5V乾電池4本の6V、または、006P 9V電池から、低損失の3端子レギュレータで5Vを得ています。
 
 ・消費電流は、動作時で最大15mA、自動電源OFFの節電時で約10μAです。
 ・自動電源OFF機能を無効にする用途もあるので、メインスイッチとしてスライドスイッチ等を
  取り付けて下さい。

2.AVRとクロック
 
 ・AVRマイコンは、8ピンのAVR「ATtiny85-20PU」を使用します。 
 ・A/D変換の速度を上げるために、動作クロックを内臓RC発振器8MHzに変更します。

3.磁気センサー
 
 ・上記のテストで使用した、リニア出力のホール効果素子「A1324LUA-T」です。
 ・センサーの出力がアナログ電圧なので、AVRマイコン内蔵のA/D変換器で測定します。

4.液晶表示器
 
 ・秋月電子の、「I2C接続 小型LCDモジュール 8x2行」 [AQM0802A-RN-GBW]です。
 ・AVRマイコンとの通信は、I2Cインターフェースです。
 ・同店の「LCDモジュールピッチ変換キット AE-AQM0802」に搭載して、回路の簡略化と
  組み立ての簡素化を図りました。
 
 ・BASCOM-AVRで制御する際には、専用のライブラリを組み込む必要があります。
 ・専用ライブラリ「Lcd_AQM0802A.lib」を、
  C:\Program Files\MCS Electronics\BASCOM-AVR\LIB\ に保存してからコンパイルして
  下さい。
 
 ※専用ライブラリを使用して各自でプログラムを作るときは、下記を記載して下さい。
  (プログラムの一例です。このページの製作(装置)には関係がありません。)
 
Config Scl = Portb.1
Config Sda = Portb.0
I2cinit
Const Aqm0802a_vdd = 5
$lib "Lcd_AQM0802A.lib"
Initlcd
'I2CバスのSCLラインを接続するポートピンを設定する。(任意)
'I2CバスのSDAラインを接続するポートピンを設定する。(任意)
'I2Cバスを初期化する。
'[AQM0802A]の電源電圧。(3.5V以下 = 3 , 3.5V以上 = 5)
'LCD [AQM0802A]用のライブラリを組み込む。
'LCDを初期化する。
 
  これ以降は、通常のLCD命令が使用できるようになります。

5.操作スイッチ
 
 ・汎用のタクトスイッチを1個使用します。(スイッチのタイプは、任意で選択して下さい)
 ・LCDとの高さ調整のため、ICソケットで桁上げしています。
 ・製作に使用したケースでは、ノブの高さが7mmのスイッチを選択しました。

6.ISP端子

 
 ・AVRにプログラムを書き込むためのISP端子は、完成後に使用することはありませんが、
  基板上で書き込みができるように用意してあります。
 ・書き込み済みAVRの場合は、取り付けも不要です。
 
 ・AVRにプログラムを書き込む際には、必ずLCD基板を外して下さい。



回 路 図  PDF版 A1324GmeterCir.pdf (160KB)
部品配置図  GIF版 A1324GmeterPcb.gif (130KB)
 
   注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。

プログラム  テキスト形式 ソースファイル  A1324Gmeter101.TXT (29KB)
 BASCOM-AVR用 ソースファイル
 (BASCOM-AVR(製品版)が必要です)
 A1324Gmeter101.bas (29KB)
 
 ・LCD「AQM0802A」用ライブラリ [ Lcd_AQM0802A.lib ] をダウンロードして、
  C:\Program Files\MCS Electronics\BASCOM-AVR\LIB\ に保存してからコンパイルして下さい。
 
注意! 著作権は放棄しておりませんので、販売や配布目的での使用は絶対にしないで下さい。

       (記事の無断転載を除き、個人での使用は可能です。 改変、自作品の掲載、リンクもご自由に。)


AVRマイコン ATtiny85-20PUの、ヒューズ ビット書き換え
 
◎BASCOM-AVRでコンパイルして、「AVRISPmkII」の書き込みウィンドウを使用する場合は、
  ヒューズ ビットが自動で変更されますから、以下の操作は不要です。


HEXファイルを使用する場合は、下記ページの書き換え方法 「6.」を、以下の様に変更して、ヒューズ ビットの書き換えを行って下さい。
    ヒューズ ビット書き換え
 
 6.[ Fusebit H ] の右欄 [ 0:Divide clock by 8, ON ] をクリックすると、右側にプルダウン
   メニューが現れますから、 [ 1:Divide clock by 8, OFF ] を選択します。
 7.右側の [ Write FS ] ボタンをクリックすると書き換えが完了します。

「AVRWRT」 ライターの場合は、 AWRTf_A1324Gmeter.gif




左側面

右側面

上面

プリント基板

LCDピッチ変換基板
ジャンパー(PU)の接続

基板 部品面

基板 ハンダ面



操 作 方 法
 
1.電源投入
 
 ・電源を入れると、センサーのオフセット誤差を検出するために現状の磁束密度を計測し、
  それを0Gの状態として記憶します。
 ・よって、電源を入れる際には、センサー周辺に磁気がない状態にして下さい。
 ・続いて磁束密度の測定を開始し、計測値が表示されます。
 
 ・初期状態では、スイッチの操作をせずに、磁束の変化が20G以内の状態が続くと、約1分後に
  自動で電源がOFFになります。
 ・電源スイッチを入れ直すかSW1ボタンを押すと、オフセット誤差の検出を行う初期状態から
  動作を再開します。

 
2.計測の動作
 
 ・磁束密度の測定は約300μS間隔で行われ、ノイズの影響を軽減するために8回の移動平均を
  行います。
 ・移動平均の結果を100mS間隔で区切り、その間の最大値をバーグラフへ表示します。
 ・磁束の極性により、LCDの左上に[N]と[S]が表示されます。
 ・数値表示は、測定値が20Gを超えていると100mS間隔の高速で表示し、20G以内の場合は
  500mS(初期値)間隔の視認速度に変わります。
 
 ・交流磁束の場合は、サンプリング間隔の都合から約100Hzまでの測定が可能です。
 ・極性が変化する交流を認識した場合は、LCDの左上に[A]が表示されます。
 ・測定値は単純に100mS間隔のピーク値なので、磁束の波形によって計算で実行値を求めて
  下さい。
 

 
3.表示の切り換え
 
 ・スイッチ(SW1)を押すと、LCD2行目の表示が「バーグラフ」と「ピーク値」表示で切り替わります。
 ・ピーク値は一度「バーグラフ」表示に戻す事で、0値にリセットされます。 
 
 
 ・スイッチを1秒以上押し続ける(長押しする)と、磁束密度の単位をG(ガウス)とmT(ミリテスラ)に
  変更する事ができます。
 ・この設定は内蔵EEPROMに記憶されますので、電源を切った後も残されています。

 
4.機能設定モード
 

 ・スイッチ(SW1)を押しながら電源を入れると、機能設定モードに入ります。
 ・LCDの1行目にプログラム・バージョンが表示され、下記の3項目が設定できます。
 ・スイッチ(SW1)を押し続けていると3秒間隔で表示が切り替わりますから、希望の設定項目が
  表示されるまでスイッチ(SW1)を保持して下さい。
 

 ・希望の設定項目が表示されたら、スイッチ(SW1)を離して下さい。
 ・項目により下記の表示に切り替わり、再度スイッチ(SW1)を押す事により設定値を変更できます。
 
LCDのコントラスト調整 1〜20 初期値: 20 
自動電源オフの時間 0: オフ無し
1〜10分でオフ
初期値: 1分
変化量が20G以内の
場合の表示間隔
500mS〜1000mS 初期値: 500mS

 ・設定を終了するには、一度電源を切って下さい。

  動作説明の動画

◎ このプリント基板と、書き込み済みAVRを、実費頒布しております。
 
  基板・部品の頒布室



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