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地図にない町 ディック幻想短編集(1976)-早川文庫
地図にない町


万物賦活法 The short happy life of the Brown Oxford / フィリップKディック 訳:仁賀克雄のあらすじ
初出 Fantasy and Science Fiction(1954.1) 原稿到着1954 短編 第78作

「君に見せたいものがある。現代科学の最先端の発明だ」
夜中に突然訪れたラビリンス博士は、胸ポケットからマッチ箱を
取り出した。中には真鍮のボタンが入っていた。

「どうだね?」
「ボタンは、博士より先に、誰かが発明していると思いますが...」

「何じゃと? あれ? 死んでおる」
「一体、何の事ですか?」

「万物賦活機を発明したんじゃが、どうしてうまく動かないのかのお?
   過刺激の原理に誤りなど、ないはずじゃが?」
「『過刺激』って何ですか?」

「ある日、わしは海岸の岩の上に座っておった。太陽はギラギラと
   照りつけていた。すると、そこにいた小石が、立ち上がり、日陰へ
   歩いたのじゃ。太陽熱の過刺激がなせるわざじゃ」

「はああ?小石が動いたんですかあ?」
「そこに生命の基本現象があるのじゃ。無生物の中には、何らかの
   刺激で動くものがあるのじゃ。その原理を使ったのが、万物賦活機じゃ。
   今日は、これを君に5ドルで売ろう!」

「はあ、5ドルですかあ」

妻が2階から降りてきた。
「どうしたの?」
「オーブンを買ったのさ」
「ちょうど良いわ。貴方の濡れた靴を乾かしておいて」


次の日、朝食を取っていると、ラビリンス博士がやって来た。
「やはり、万物賦活機は、返してくれ。5ドルは返す!」

「ちょっと待ってください。靴が入ってるんです」
「中を見たが、片方しかないぞ」

その時、妻が唖然とした顔をした。その視線の先、長椅子の下に、何かが隠れた。
「いました。外に逃げる前に捕まえましょう」

二人がかりで靴を追い詰め、ようやく捕まえると、引き出しの中に放り込んだ。
「よし!これで、現代科学の最先端の発明の証拠が出来た!」

「ねえ、私、あんな、お化け靴がいるなんて、この家にいたくないわ」
妻と町へ出て夕食を取り、戻った。

家に着くと、何かが素早く草むらに飛び込んだ。
「あれは、きっと!」

確認すると、机の引き出しは開けられており、中はカラッポだった。
「仕方ない、今晩はドアを開けたまま寝よう。靴が帰ってくるかも知れない」

翌朝、起きると、台所のゴミ箱が荒らされていた。
靴は家に入り、また出て行った様だ。

その時、電話が鳴った。ラビリンス博士からだった。記者を連れて、
我が家に来ると言う。こりゃ、大変だ。早く靴を捕まえないと!

結局、記者達は来てしまった。どう言い訳しよう?どうしよう?
しかし、博士と記者達はなかなか入って来ない。

私が、外を覗くと、そこには驚くべき光景を見ている、博士と記者達がいた。

白いハイヒールの後を、進む褐色の靴。褐色の靴が追いつきそうになると、
ハイヒールは身をかわす様に飛び跳ねた。

靴の奴、夕べ、万物賦活機を動かして、ガールフレンドを作ったようだ!

「えええ、みなさん。人類が滅びた後、新しい生命の形は
   この様なものになるかもしれないのです」


..............


う〜ん。ラビリンス博士ものは止めた方が..いいんじゃ、ないんでしょうか.



記:2011.09.27


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三分 小説 備忘録

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