第28号 04/07/04刊行予定 |
■ 鈍足再び 〜 これから鈍足道を歩む方々へ |
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先日のケイビータッグ大会である異色チームが優勝を果たしました。 ブリーダー・ペット全て低俊敏キャラで構成されたチームです。 「オール鈍足キャラのチームでの優勝はまず無理」という従来の定説?を覆しました。 (大会レポートは「こちら」をクリック。) 今回はそのスタイルについて明かし、鈍足キャラの可能性を探ってみたいと思います。 今後のデュエル大会が、よりいっそう多様性のある大会になれば幸いです。 当頁主催のタッグデュエル大会で、オール鈍足チームが快挙を成し遂げた。 トーナメント優勝である。 “攻めている間は驚くほど強いが、一度守勢に回ると驚くほど脆い”というのが従来の鈍足攻撃型のチームだが、このチームは攻撃を前面に出しつつ、守りの強さも発揮。「これは“新スタイル”だ・・」と、ギャラリーの見識ある者は驚嘆の息を漏らした。(←誇張あり。) しかし、それはかつて旧SA時代にデュエルチャンプの一人によって提唱されたスタイルであった。 ここではこのスタイルを提唱者の御名を拝借して“りき3rdスタイル”と呼ばせていただく。 由来については長くなるので、コラムとして最後の方に載せた。興味と時間の両方がある方はぜひご覧あれ。 興味と時間のあるかたはこちら → 「コラム: 時代の先駆者達 」 をクリック! 興味と時間のない方は、このまま読み進んでいただきたい。 注:以下の文章(コラムを除く)では受けの強さについて述べる場合、耐久力・防御力の両方をひっくるめて“防御力”と記述している。 “りき3rdスタイル”だが、簡単に言うと、「相手の攻撃を高い体力で受けて、低速コンボで俊敏キャラを葬る」スタイルである。 「コラム」でも触れているが、コンボで回避・忠犬・防御呪術の無効化を図るこの戦法は、タッグでのみ可能である。 “りき3rdスタイル”の実現にあたり、以下を考慮してチームの構想を練った。 方針: 1.倒すべくはペットではなくブリーダー 2.守護、属性優遇を捨て、復活を活かす ・ターゲットはブリーダー 受けが強いスタイルといっても、あくまで「従来よりは」というレベルである。長引くだけ不利であることには変わりない。 そこでターゲットをブリーダーに絞った。これならば最短2ターンで勝負をつけられる。属性は主流ペットではなく、主流ブリーダーに強い属性を選んだ。 ・攻撃力の設定 体力との兼ね合いになるが、この程度の攻撃力は必要という目安はあったほうがいいだろう。 チームは4キャラで構成されている。そしてコンボを前提としている。一人で倒せずともよい。 ここで目安を求める決めてとなったのが以下の事実だ。 「特定属性の火力ペットの背水2発を耐える俊敏キャラはありふれた存在だが、異なる属性の背水2発を耐えられる俊敏キャラは存在しない。」 属性を揃えないことにより属性を活かす方法をとった。属性を揃えるばかりがチームの属性戦法ではないというわけだ。 ・コンボは3キャラいればOK 連携率は2キャラでは4割程度と、主戦法にするには心許ないが、全員で狙わないと連携率が確保できないかというとそうでもない。 1人目と2人目では4割程度の連携率も、2人目と3人目では補正が入って7割以上。3人いればそこそこ期待できる。 1人目はダメージを期待しなくてOK。2人目と3人目でとどめを刺すための布石となる。 この、“3キャラいれば高い連携率を確保できる”というのは重要だ。 つまり、1キャラは自由が利く。呪術を唱えたり、石を投げたり、ガードしたり、ペットならばガードブレイクしたり、忠犬したりできる。 これによりコンボ一辺倒ではなく、攻撃にアクセントを加えることが可能だ。 ・体力の設定 これがキャラ作成上の最大の焦点となる。守護もなければ、属性優遇もない。しかし、体力に振りすぎると火力が不足し、ワンチャンスで相手を葬ることができなくなる。 以降の項目を考慮して設定して欲しい。 ・2択攻撃は必ず喰らう 「投石&ガードブレイク」のような攻撃は鈍足キャラにとって回避不能である。最低2発のガードブレイクに耐えるHPが必要となる。 ・相手の連携を喰らう こちらが下連携を狙えるなら、相手は上連携を狙うことができる。最低ペット2頭の連携に耐えるHPが必要。 ・ペットを倒された場合、ペット交代できずにKOされる確率が高い 忠犬無しでは必ず相手の攻撃を喰らう以上、ペットを倒されてからの交代は不可能に近い。味方のサポートは相手の攻撃を喰らったあとになるので期待できない。手傷を負っているならば、ほぼ敗北が決定してしまう。 ペット交代が困難〜鈍足タッグが優勝できない理由がここにある。 ペット交代ができないのなら、しなければよい。 ガードして耐えてもらう。パートナーのペットは復活で救う。 (復活ってOKなの?という方は第1試合場の脇の公式ルールをご覧あれ。復活は闘技場の公式ルールで禁止されていない、公認呪術だ。シングルのルールとあるが、旧SAでは公式大会のタッグにも適用されていた。) そう。復活が鈍足チームの浮沈の鍵を握る。 復活も後手に回っては通用しない。回復、復活は先を見越しての先行入力を必要とする場面が出てくるだろう。 特に回復は先を見越して行うか、相手のターゲットの読みがはずれていても問題ないティオで行う必要がある。 以上、今回鈍足キャラのみのチームを構成する上で筆者が考慮した事項を述べた。 もともと鈍足キャラは俊敏に注ぎ込まない分、高い攻撃力・防御力を手にすることが可能だ。単純に、“強い”。 ただ、今まで受けのもろさをカバーする手段をまじめに考案する人間が少なかっただけだ。 筆者は受けの弱さを復活呪術でカバーすることを提案。現在(16.6.27)のところ、闘技場の公式ルールでは復活は禁止されていない。 ただし、第1回のBOTHTEC杯ルールでは、試合を長引かせないために復活呪術は禁止されている。 (ターン制限を短くした方が間違いないというのが筆者の考え。長引く試合は主に火力に劣る俊敏型のチーム同士の試合に多いが、優勝を狙う俊敏キャラが守護を捨てて、ペットにしか使えない復活を装備することはまずありえない。呪術で長引かせたくなければ守護を禁止にするのが一番・・それは無理だろうけれど。) 今後はルールがどういう方向に進むのかわからないが、復活無しでペット交代の隙をカバーする必要が出てくるかもしれない。 そうなると、ポイントとなるのはペットである。ペットが倒されるからペット交代が必要となる。倒されにくいペットの選択で、ある程度余裕ができる。気になる方は、今号のMoM調査隊を読んでいただきたい。 闘技場の見飽きた光景だとあなたは思うかもしれない。 しかし、観客達はそうでないようだ。多くの者は感嘆を覚えたようだ。「あの矢印がぐるぐるしているの、意味あんの?」などという声も聞こえる。敗れた相手は、地系防御型ペットを有する俊敏マイナスキャラだ。 そう、これは旧SA時代初期の太陽闘技場の光景だ。 現在ではごく当たり前のデュエリスト達のスタイルも、かつては先駆者達がいて「新しいスタイル」と呼ばれたものだ。 俊敏を武器とするMoonのデュエリスト達が、公式大会で勝利を収め、鈍足忠犬の闘技場を変えていったのは何度か触れたとおり。 実世界の歴史でもそうだが、新テクノロジーはそれまでの様式を一変させる。俊敏キャラの新テクノロジーは「背水」だった。 (「ダメージが増える」と「攻撃力が増える」の違いに人々が気付いたのは、結構後になってから。だから背水よりも一撃必殺や地球一周の方が威力があると信じている方も最初は多かった。かくいう筆者もその一人。) 俊敏を活かした攻めと属性戦法の先駆者で有名どころといえば、やはり第1回・第2回公式大会優勝者、りきさんだろう。(そして我が盟友ギーヴも。) そのりきさんが、己で切り開いたスタイルを自ら打ち破る新スタイルを見せてくれたのは、今から4年前の夏だったろうか。 彼が用意したのは鈍足キャラと鈍足ペット。俊敏キャラに対し、相手の攻撃を高い耐久力で受け止めた後に、相手を低速コンボで葬るというものだった。“耐久力で受け止める”、“低速コンボで葬る”という発想は斬新だった。当時は防御力に注ぎ込むのが普通の時代。また鈍足キャラといえば怪腕で忠犬しか戦法がない時代だった。 当時の俊敏キャラの開始ターンの行動といえば、忠犬しつつ自身に守護。攻勢に出るのは2ターン目以降。そこで開始ターンに低速コンボをぶち込み勝負を決める。しかし、当然のことだがあとで疑問を感じた。「これって守護を打ち破っていないよな。」 当時の体力が低い俊敏キャラなら、コンボ一発で葬ることは可能である。しかし、守護に対してはコンボが決まっても打ち消して終わりであるし、コンボの発生率の低さ等を考えると、「アイディアは素晴らしいが、流行らないだろうなぁ」というのが正直な感想だった。 (たぶん、りきさんも思いついたばかりで、煮詰めてなかったのだろう。) 高い体力と腕力、素早さと丈夫さには注ぎ込まない、ペットは鈍足高火力ペット、属性を活かす・・。筆者は勝手に「りき3rdスタイル」と名付けた。 某Mが聞いておもしろそうだと“りき3rdスタイル”を始めてみた。しかし、それはイバラの道だった。俊敏も防御力もない水系キャラは洞窟で野生の雑魚恐竜相手に何度も気絶した。その一方で、体力の高さと属性戦法はボス戦で強さを発揮した。 Mはベルガー級大会に挑むが惨敗。ケイビータッグにも当初“りき3rdスタイル”で臨むが、いくつかのスタイル変更を経て、優勝を果たしたときには別スタイルに到達していた。(バランス型ブリーダー&技6ペットで属性優遇により攻守に力を発揮するスタイル。) やがて、時代は移り、新SA。 一介のSAプレイヤーに過ぎなかった筆者は、SAの先人プレイヤーの一人となり、また頁「月の猟兵」はXGを経て、システム考察においては実績のある頁となっていた。(手前みそ。) 新SAになってからの当頁のいくつかの調査結果が、シングルでは実現困難の“りき3rdスタイル”がタッグでは実現可能であることを教えてくれた。 そして闘技場のデュエリスト達のスタイルは、かつてりきさんが新スタイルを提唱した当時とほとんど変わっていなかった。 どうやら、まだ“りき3rdスタイル”の出番はありそうだ・・・。 |
■ MoM調査隊 〜 防御力ペット再び |
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相手の攻撃を受けるステータスとして、防御力と耐久力があるのは、皆さんも御存じの通り。 旧SAでは、長い間、“受けは防御力が全て”と信じられていた。当時、耐久力は、“あまり役に立たないもので必要最低限あればよい”と信じる方が多かった。デュエリストはマンモーよりイシガメ、カタルカスを選んだ。 初期の頃は実際これでよかった。MoMでは幾度となく触れているが、火力ペットと背水の陣が普及するまでイシガメやカタルカスを簡単に打ち破ることはできなかったから。多くのプレイヤーは(ときどきおかしいと感じつつ)防御力は数字通りの効果があると疑わなかった。 しかし、火力ペットの背水の陣で、(レベル補正で効力の低下している)防御力自慢のペット達は次々と葬られた。 防御力の実際の効力に疑いを抱かなかった多くのデュエリストは、「これからは受けるのではなく避ける〜俊敏の時代が来た」と考えた。 やがて一部のデュエリスト達は気づく。「防御力は補正で効力が低下するが、耐久力は数値通り。1度きりのやりとりなら、体力は1ポイントの価値で腕力を上回る。」 (当頁でも過去のある号で取り上げている。取り上げる必要があったということは、その号を発刊した頃はまだ多くの方が防御力神話を信じていたというわけだ。) さて、そんなこんなで現在は、“受けは耐久力で〜”が常識になり、防御力に注ぎ込むのは愚かとすら思われている。 しかし、そうなると、逆にこう考えてしまう。「防御力は本当に価値がないのか?補正が入るが、それは制作側が考えた上でのさじ加減。補正の入った状態でも防御力が有効なシーンがあるのではないか?」 というわけで、今回は防御力型ペットと耐久力型ペットを比較してみたい。 今回用意できたのは(筆者の都合により)防御力型の代表としてガメラン、耐久力型の代表としてブーイ、そして攻撃役にバンギーノ。 (バンギーノはあるSP付近に落ちていたのを拾った。平凡なステータスのようだったが、育ててみると攻撃力こそ平凡なものの3要素でみれば5.0/Lvに近い成長を見せた。筆者の持論は、「成長の良いものは平凡なステの中にもちゃんといる。」心当たりがある「放置したのではない返して欲しい」という方は、御連絡を。) ガメランとブーイだが、片方の属性を反転させると属性が近いので比較に耐えられると判断した。 以下の数値は、概略の値であり、わかりやすいようにちょっと端数をカットしている部分もある。ご了承を。 ガメランLv19 耐久力180 防御力45 火8風2(属性反転時、地8水2) ブーイ Lv19 耐久力270 防御力30 地6水4(属性反転時、火6風4) バンギーノLv19(攻撃力53 火10)で攻撃した場合のダメージ ガメラン 通常時、攻撃 60 背水2 110 (反転時、攻撃 50 背水2 90 ) ブーイ 反転時、攻撃 70 背水2 130 (通常時、攻撃 50 背水2 90 ) 耐久力で90、防御力で15の差がある。耐久力90と防御力15が釣り合えば、制作者に公平心ありというところだが・・。 結果は、防御力のあるガメランの方が属性の影響が小さく、ダメージも小さい。 しかし、何発耐えられるかというと、ガメランは反転して属性やや有利でも、バンギの通常攻撃3発、背水は2発いけるかどうか微妙なところ。ガメランは不利なら1発しか耐えられない。一方のブーイは属性反転されても、バンギの背水2発に耐えられる。 防御力ペットのよさを見いだそうとして、逆に耐久力ペットに劣る結果となってしまった。 (ガメランの反転時とブーイの通常時のダメージが同じ。防御力15の差が、属性2の差で追いつかれてしまう程度のものだったとは・・。) たぶん、低火力の野生恐竜を相手にした場合は結果がイーブンか逆転すると思うのだが・・。 さじ加減は、デュエルではなく冒険を基準にということか?それはもっともであるが・・。 壁ペットとしてのペット選びをするならば、耐性も考慮してみてはいかがだろうか? 石化で固めてくる相手に、石化しないペットを用いるならば、(相手が気付いてなければ)無駄な攻撃をさせることができる。 「しかし、睡眠攻撃をしてくるムーイーだって、こっちが睡眠攻撃をすると寝るよな。ペットに耐性ってないんじゃないの?」 ごもっとも。ステータス異常技をもっているからといって耐性があるとは限らない。 しかし、筆者が試してみた範囲では耐性があると思われるペット達も存在する。いくつか紹介しよう。興味があるなら御自身でも試していただきたい。 ・ベロロック(毒耐性) ・ベロボリ (石化耐性) ・イシガメ (石化耐性) 東ギール山稜でLv1ペットのレベル上げをしようと思い、ベロロックを毒で削ろうとしたところ、全然毒がかからなかった。おかしいなぁ、と思いながらこちらも意地になって、20回を超えたあたりにふと気付いた。 ベロロックは複数の戦闘を通じて100回以上毒呪術を試したと思う。ベロボリ、イシガメにしても複数の戦闘で複数の個体を1個体あたり8回〜20回試した。 これ以上検証する根性はないので、「耐性がある」と判断した。 これらのペットに共通するのは、「ステ異常を治癒する肉を落とす」ことである。体そのものが耐性の固まりなわけか? もし、御自身でお試しになって、違っていたらご一報いただきたい。 それではまた次回。 |