南インドの中心地


ハイデラバード:Hyderabad

   1月19日 晴れ

 アウランガバード―>ハイデラバード  一等寝台列車・450Km:970ルピー/\2,600

 
 
 アジャンタのバスツアー後、駅前で降ろしてもらい、アウランガバードからハイデラバードまでの寝台列車の切符を買った。 インドを旅する場合、時間的余裕があれば列車の旅がよいと言われている。
(写真:アウランガバード駅)
 

乗り込んだ寝台車は、一等であるので冷房が効いており、スモークガラス窓で、外から覗かれない様なセキュリティが確保されている。 「本当のインド旅行をしたい場合は、2等に乗った方がより生のインドに触れられる。」と言われているが、今回は快適さを選んだ。 寝台を作る前は、4人が向かい合う形で座る事になる。 2人は若いビジネスマンで、ハイデラバードに出張する人達、もう一人は明らかにその2人に遠慮しているそぶりの50才ぐらいのおじさんだった。 「未だインドでは階級制度の様なものが残っているのであろうか?」と気になった。 インドでは皆英語を話すので、異邦人としての感覚は薄く、直ぐに和やかな会話に花がさいた。 誰かヒンドゥ語の通じない人がいる場合、直ぐに皆英語を共通語とするそうである。 話題は私の関心事である、最近のインドの工業化状況について話しが盛り上がった。彼らが教えてくれた事は、「現在、シンガポールのGoh Chok Tang首相がハイテク産業のインフラ整備の投資団として、40人程の財界首脳を引き連れて、インドを訪問している。」との事。 明日、我々と同じハイデラバードに来る予定だとの事である。

 夜明けと共に、まばゆいハイデラバードの白い駅舎に到着した。(写真:ハイデラバード駅)
 ここは
600mぐらいの高地にあるが、1月でも真夏のように暑い。 当初、私の旅程の中にはハイデラバードと言う地名は入ってなかった。 しかし、ここハイデラバードはバンガロールと並んで、ハイテクの前線基地であると言う事を聞き、それならば、バンガロールに行く途中で立ち寄ってみようという事にした。 




駅前でリキシャーと交渉して、30ルピー(\80)で2時間程市内観光をした。 インド大陸の中央に位置するここハイデラバードも、西側のボンベイ同様に車の洪水で、その車の間をリキシャーで縫って行く。 市の中央に湖があるので幾分気分が和らぐが、街中は相変わらず騒々しい。 非常にエネルギーに溢れた街で、経済成長の緒に付いた日本の60年代前半の感覚を彷彿させる。 (写真:ハイデラバード駅前)



特にここは有名な史跡がある訳でもないので、町の雰囲気だけを味わって、バンガロール行きの飛行機の切符を買った。  ハイデラバードの空港は物々しかった。 Goh首相がバンガロールに向かうと言う事で、2重、3重のセキュリティ・チェックを受けて、フライト・スケジュールも変更されて、3時間遅れで飛行機は飛び立った。


乞食の子供:       

  ハイデラバードには3つのターミナル駅がある。
 列車の到着した
のは街の東側にある駅で、
 そこから中央のハイデラバード駅までリクシャ
ーに乗った。
 リクシャーを降りて釣りをもらった時に、タイミングよく
才ぐらいの女の子が
 さっと手を出したので、つい10ルピーの釣り銭を
やってしまった。
 すかさず、その兄らしい6才ぐらいの男の子が手を差
し出してきた。
 女の子に上げてしまった手前、その子にも何がしかのお
金をやるのが適切と思えた。
 財布の中にはあいにく100ルピー紙幣しか
なく、
 ポケットを探したら5ルピー硬貨があった。
 その硬貨を渡したら、
何やら大声で文句を言い出した。
 おそらく「妹に10ルピーで、何で私
が5ルピーなんだ?」と言っているようだ。
 
その場は何とか片がついたが、その後で駅のインフォメーションに行って
 ハイデラバードの名所案内の情報を入手し、さっきの広場に戻った。
  子供たちが15人ぐらい突進してきた。 
 事態を飲み込めず、「何が起こっ
たのだろう?」と思っている間もなく、
 3才ぐらいの垢に汚れた女の子に
右足をタックルされた。
 すかさず、別の女の子が左足にタックルしてき
た。
 二人にかじりつかれて、身動きできない身体に他の子供たちが殺到
してきた。
 その時、今何が起きつつあるかがやっと理解できた。 
 さ
っきお金を恵んでやった子供たちが、
 「あのおじさん気前がいいよ」てな
事をその子達に言いふらしたらしい。
 普通、1ルピー貨幣をもらってい
る乞食の子供が、いきなり10ルピーをせしめたので、
 うわさがあっと言
う間に広まってしまったらしい。
 幸い、さっき乗ったリクシャーのおじ
さんが、
 大声で追い払ってくれたから事無きを得たが、
 自分一人ではどう
処していいかわからなかった。
 
娘から、「インドでは乞食の子供には、お金を与えない様に。」と言い聞かされてきた。
 与える事が、その子の将来の自立心を損ねる事になる。
   もっともな事だと意識の中では理解していても、
 とっさに垢に汚れたひも
じそうな子供に行き当たると、つい理性を失ってしまう。
 この子達にも
いつか、「人間の尊厳とは?」と考える時が来るであろうと祈りつつ


 
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