7〜11世紀の石窟寺院 1月16日 晴れ バスツアー (110ルピー/\290) |
ホテルのマネジャーに依頼して購入したエローラ・ツアー切符は、英語のガイド付きバス旅行で、1日の料金がなんと110ルピー(290円)。 信じられない安さだ。 ホテルでピックアップしてもらい、バスに乗り込むと、私以外の20人がすべてインド人であった。 しかし、ガイドは英語である。 インドにおいては、多民族国家なので、共通語がヒンドゥ語か英語との事。 私みたいな外国人も混じるので、英語の共通語がガイド言語としては一般的であるとの事で、ヒンドゥ語でなく英語であったので助かった。 エローラはアウランガバードの北30Kmの高原に位置するが、そのエローラへの途中で、ダウラタバードの砦跡に寄った。 ここはデカン高原の岩山を丸ごと城塞として作り上げた自然の要塞で、周りに民家が無く、城塞跡だけが雄大なデカン高原の中に悠然と現れた時には感嘆の声を上げた。 (写真下:ダウラタバードの砦跡) ここダウラタバードは、1326年にデリーから遷都が行なわれたとの事。 都とするには、水の便が悪すぎるし、沢山の人口を抱えられるとはとても思えない。 案の定、短期間で遷都は失敗し、再びデリーに再遷都されたとの事。 砦はイスラム教の影響が強く出ていて、中にモスクもあり、中世におけるイスラム文化の影響がこの辺りまで及んでいた事が伺える。 ダウラタバードから更に北に向かって、砂糖きびや麦畑の間を縫ってデカン高原を進むと行手に低い山が見えてきた。 近づいて行くとその山の中腹に彫られた石窟が現れた。 「あー、これが憧れのエローラ石窟寺院か?」 エローラの石窟寺院は50Kmぐらい離れた隣のアジャンタの石窟寺院より後に作られたものであり、アジャンタのそれが仏教寺院だけであるのに対して、こちらは仏教、ジャイナ教、そしてヒンドゥ教と異種宗教が一個所に共存している。 普通、異種宗教はお互いに排他し合うのが一般的であるが、3つの宗教寺院が同地に横並びに現存し、殆ど破壊の後が見られず、この3つの宗教の相互関係が比較的円満であった事が伺える。 いや、もしかしたらインド人が平和な人種なのかもしれない。 なぜならば、ヒンドゥ教の寺院の中に全く異なるイスラム教のモスク建築が混ざっていたりするのであるから。 カイラーサ寺院だけは、石窟寺院ではなく石彫寺院で、このような建築方式は、当時南インドのカルナータカ地方で発展していた南方型の寺院様式をここエローラで建造したものらしい。 ただ単に大きいだけでなく、精巧な彫刻と一部に残っている白地に朱色の鮮やかな色彩は訪れる人々を圧倒する。 つい寺院の岩に触れたくなる。 同じ思いの多くの人たちが、何万、何十万人が撫でた岩肌が、黒くつややかに光っている部分がある。 「これが歴史と言うものなのだな!」と岩に触れて感じ入る。 次へ(アジャンタ) |