オリーブの木
聖地の子供ニュース NO.2 から |
お父さん大変!うちが壊される!!
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バセム・エラヤンは43歳の計理士、1月14日朝7時半ごろいつものように仕事に出かけようとした時、自宅前に清掃車が来ているのを見て、不思議に思った。 1967年の戦争後、東エルサレムがイスラエルによって併合されて以来初めてだったからだ。1時間後彼の妻があわてて事務所に電話をかけてきた。「もしもし、お父さん!大変!!ブルドーザーが来て隣の家を壊し始めたの!うちも壊されちゃうわ。」 オリーブ山の東側、ヘブライ大学の足下に広がる人口1万人の大きな集落のことである。大急ぎで帰ってきたバセムは、イスラエル軍が自宅をばりばりと破壊するのを、なすすべもなく見ているほかなかった。彼はいろいろな書類を出して、身振り手振りで10月までは執行猶予があると説明し主張したが無駄だった。泣くしかなかった。
家財道具を運び出すこどもたち 家の残骸の中にたたずむこども 20年間の汗の結晶が一瞬のうちにガラガラと崩れ落ち、コンクリートと鉄くずの残骸になってしまった。その朝見た清掃車はこの破壊行為の前兆だったのだ。大人もこどもも老人も家を壊された人はみんな、廃墟の中をウロウロ歩き回るばかりだった。この日はこの地区で全部で9件の家が容赦なく取り壊された。あと10戸は近日中に同じ運命にある。 エルサレムでは、建築許可のない建物は取り壊されることになっている。手続きをすれば取り壊しを執行猶予にしてもらえるはずだが、それも今は空文にすぎない。バセムが取得した猶予証明書は何の役にも立たなかったのだから。「おれたちは、もう800年もここに住んでいるんだ。この土地は俺たちのものだ。だがあいつらには、村が大きくなるのは困るんだ。あいつらは向こうに見えるマレー・アドミムやピスガット・ズエヴ(2つともユダヤ人入植地)に通じる道路を作るために俺たちの土地をずいぶん没収した。あいつらはやりたい放題やっている。おれたちには自分の家を建てる権利もないのか?ここは俺たちの土地だ!」と、バセムは不満と怒りをぶつける。 エルサレム市長は昨年秋、さらに1000戸以上の家が取り壊されることになっていると表明している。今回の事件はその発端なのだろうか?
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