エルサレムからのHOT NEWS
−イスラエル・パレスチナの紛争の解決を願って−

この記事はイスラエルより発信されている「NONVIOLENCE (非暴力)」のホームページより、製作者 ラエド・アブサリア神父様の許可を得て「聖地のこどもを支える会」で翻訳したものです。


オリーブ・ブランチ NO.196

"私の心から血が流れています"

エルサレム福音ルーテル教会司教Munib A. Younan博士
2003年3月25日


 戦争がイラクで始まりました。米合衆国、英国とそれらの連合が、国連の承認なしに行うと脅していたことをついに実行しました。戦争は、一般国民を傷つけ殺し、生存者に食物、水、衛生と言った基本的人権を拒んでいます。

 戦争は、東洋西洋全ての人の心と命を傷つけています。最も精巧な技術的な武器、局部攻撃、慎重な軍事計画と数ヶ月にわたる訓練をもってしても、イラクやその他の世界で起こっている人道主義的悲劇を防ぐことは出来ません。

 戦争の業が人間の中の神のイメージを破壊するのを見るとき、私の心から血が流れます。血の一滴一滴は、こぼしたり、無駄にしたりするには、余りにも尊いのです。どの人も殺されるには余りにも尊いのです。世界の経済を良くするために、人の血は一切必要ありません。

 世界中のキリスト教会と信者は、そのような戦争が命――継続的交渉と遠大な政治的人道主義的取り組みで救うことが出来たはずの命――を奪うことを警告しました。明らかに、政治家や、強力な世界の指導者たちは、違った考え方をします。かれらには、教会の予言的な声、世界中の神の民の声に耳を傾ける姿勢が無いのです。

  1. 私達は今、イラクにおける戦争を直ちに止めるよう要求します。攻撃軍はイラク領内から退去することを要求します。平和的方法が再開されなければなりません。そしてこの恐ろしい紛争解決のため、新しい方法を見つけなければなりません。

 私達はここエルサレムで、人々の心の中に絶望と敗北感を感じています。何故なら、世界の指導者たちは、平和にチャンスを与えず、余りにも早く武力に訴えたからです。私達は、複雑な政治的紛争に、平和的解決を見出せると信じています。戦争は人間にとり、非暴力闘争を信じている人々にとり、ショックです。私達は強調します:この戦争は宗教間の戦争でも、文明間の戦争でもありません。この戦争は、権力と経済拡大を追求するイデオロギーの戦争です。この戦争は富める者をより富ませ、貧しい者をより貧しくします。私は教皇ヨハネパウロ二世と共に、戦争は人間性の敗北であると、声を上げて抗議します。

  2 私たちアラブ人キリスト者は、他の宗教及び多文明社会との平和的共存に貢献する、神から授かった使命に忠実であることを断言したいと思います。私たちにはどのように他の宗教や文化と、平和的に公正に平等に生きるか、世界に教える使命があります。私達は、中東に浸透している「キリスト教」福音主義右派のハルマゲドンのシナリオの数々を嘆かわしく思います。恐れている人々を改宗させるために戦争を利用する「キリスト教」のグループを残念に思います。これらの過激な宗教的思想は、人々や宗教間の良い関係を害い、私たちの地域に混乱を起こします。中東には、戦争のこれらの病んだシナリオはこれ以上必要ありません。私達は総合的な平和と永続する正義を必要としています。詩篇作者はこう言っています。"慈しみとまことは出会い、正義と平和は口づけし"と。(詩篇85-11)

  3. 私達はキリスト教会(特に、米合衆国、カナダ、スカンジナビア、そしてヨーロッパ全域、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、南アメリカとオーストラリアの教会)の全ての声に私たちの声を合わせます。又、ルーテル世界連盟、世界教会協議会、中東教会協議会などの地域のエキュメニカル協議会の声に合わせます。これらの教会、エキュメニカル協議会、それらの指導者たちやそれぞれの会員は、励ましと支持と祈りを書き送ってくれました。国の相互理解や自己決定のために共に働くために、これらの教会や協議会との協力の強化をお願いします。又、どのような宗教的過激派であれ、他の国、宗教から人間性を奪うそれを止めるよう、共に働く必要があります。北や南の教会としての私たちの声は、平和、正義、一致のシンフォニーをこの壊れた世界に創らなければなりません。私たちの声は、荒れ野の声かも知りませんが、それは真実の声です。

  4. パレスチナ人とイスラエル人がそれぞれ自分の国に隣り合わせに、平等に、正当に、平和に住めるよう、私たちパレスチナのキリスト者は世界に、イスラエルとパレスチナに国際的合法性を満たすよう呼びかけます。

  5. キリスト教パレスチナ人は、難民が更に出るであろうと考え、恐れています。それは彼らが、戦争に継ぐ戦争を経験し、子どもたち、そしてその子どもたち、その又子どもたちに未来がないからです。かれらには、世界の勢力が正義の力より強く見えています。私の心は、中東の私のキリスト教会の人々の間で民主主義や人間性が失われ、その敗北を見るとき、血を流すのです。

  6. 私は、2003年4月18日の聖金曜日を、中東全域の、そして特にイラク、パレスチナ、イスラエルの平和、正義、許しと一致のために祈る日に指定してくださるよう、神の名において懇請します。愛と慈しみの神への熱心な祈りに支えられたこの日を、あなた方の声を上げるにためとっておいて下さるようお願いします。戦争と憎しみが終わるためだけではなく、他人の他者たることを受け入れ、他人の権利を見、神が恵みゆたかに世の指導者と全人類の精神を開かれるようにお祈りください。イラクでのこの戦争が、世界中の過激派と憎しみの炎を煽ることは明らかです。この壊れた人道主義のためにお祈りください。

 この世の全ての国の全ての人間が、野蛮、不正義、抑圧、憎しみ、戦争、暴力から自由で安全でありますように。皆が、キリストを通し互いを愛するよう私たちを呼んでおられる、創造主たる神の愛を知りますように。


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