オリーブ・ブランチ NO.195
心配するパレスチナ女性
2003年3月15日 サミア・コウリー
ブッシュさん、中東についてのあなたの最近のご意見を有難う。よく出来た文章ですけれど目新しいものは何もありません。私たちは2002年6月にも、そしてその前年にも同じ言葉を聞いています。それにも拘わらず50年以上に亘って国連の議題にのぼっているパレスチナ・イスラエル問題を解決するための何の手段も講じられていないのです。むしろ反対に、国際法を無視して我々の土地を占領し続けるイスラエルが罰せられない事や残虐きわまりない人権侵害などで問題は悪化するばかりです。皮肉なことに、解決策をみつけるための決議やパレスチナ国家の建設する約束は、この地域に於けるあなたの利益を脅かすような危機が起きるたびに新たにされます。
「その努力が何のために為されるかを決める明確な信念を持つこと」は全ての人々の基本的権利です。でもブッシュさん、あなたはパレスチナ人が軍の占領の下にいることをお忘れのようですね。 政治的にも市民としても何の権利を持たない我々が「自由で正直な政府の下、威厳を持って生きる」ことなど出来ないのです。「自由な社会に生きる人々ほど苦しみ、意味もない憎しみや恐怖を拒む」と言われますが正にその通りです。憎しみ、苦しみそして自暴自棄を生み出しているのは占領であり国家的テロです。だから我々はイスラエルの軍事占領や人権侵害や土地の不法占拠を止めるべきだと要求しているのです。そこでやっと「我々のエネルギーを和解、改革、開発などに向かわせる」ことが出来るのです。「両者に自由がなければ両者に平和がない」とも言われますが正にその通りです。片やイスラエルが自由の下に生きることを選べて、好き勝手に他の国家を占領するならば、もう一方には軍の占領の下、自由なぞありえましょうか。ブッシュさん、あなたは公平ではありません。あなたは、イスラエルには領土拡張政策を復帰させることを許す一方、パレスチナ人に対して土地が不法占拠されていくさまを黙認するようなどと、近代史に於けるゆゆしい不公平の犠牲者となることを求めています。こんなことでは平和を達成することなど出来ません。
ここ全域があなたとブレア首相がイラクに対して起こそうとしている恐ろしい戦争の脅威の下にあります。あなたはイラクが安全保障理事会の決議案を守らなければならないと頑なに言い続けています。そしてフランスが拒否権を行使すると脅かすことによって安保理を分裂させようとしていると非難しています。フランスはこの恐ろしい戦争を避けるために拒否権を行使しようとしているのです。一方アメリカの政権は常にイスラエルの占領を擁護するためにその拒否権を使用しています。イスラエルは国連の安保理の決議をあからさまに無視するアメリカの支持なくして35年以上に亘って占領を続けることなど出来なかったでしょう。
大統領閣下、イスラエルに対して安保理の決議案242条や338条、その他の諸々の決議案に従って占領地から撤退するように強制する勇気をお持ちでしょうか。いいえ、我々はあなたに戦争をすることをお願いしていません。この地域はすでに充分苦しみと蹂躙を見てきました。ですからブッシュさん、どうぞフェアであって下さい。我々に一息つかせて下さい。パレスチナの首相を新たにするとか、平和への案内図が問題なのではないのです。平和への案内図とは、皆が承知しているにもかかわらず終わりのないプロセスである、先のオスロ合意のようなものです。問題はイスラエルの首相と占領終決への拒否です。それがパレスチナ人とイスラエル人の命を奪っているのです。
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