エルサレムからのHOT NEWS
−イスラエル・パレスチナの紛争の解決を願って−

この記事はイスラエルより発信されている「NONVIOLENCE (非暴力)」のホームページより、製作者 ラエド・アブサリア神父様の許可を得て「聖地のこどもを支える会」で翻訳したものです。


オリーブ・ブランチ NO.193

サベールの戦争反対声明

サベールエキュメニカル解放神学センター
エルサレム-2003年2月24日

ブッシュ大統領の明確なモットーは"戦争を求め、遂行する"こと。
聖書は、"平和を求め、行いなさい"と言っています。
私達は誰の言うことを聞くべきでしょうか?

 エルサレムのサベールエキュメニカル解放神学センターは、予想されるイラクへの戦争と、無実の人々の死や、取り返しのつかない環境破壊の可能性に対し、非常な不快感を表明します。私達は神を信じる立場から、戦争を回避するための平和的試みがまだ成し尽くされていないこと、また戦争は、創造主なる神と愛する兄弟である人々、特にこのような戦争で必ず主な犠牲者となる女性や子どもたちを嘲るだけだということを強調したいと思います。

 こう述べたからといって、私達はサダム・フセインとその政権を弁護しているわけではありません。また、鉄のこぶしで、それぞれの国民を抑圧し苦しめる世界の多くの国の専制主義や独裁主義を弁護しているわけでもありません。しかし私達は、戦争が答えだとは信じません。

 数世紀にわたる戦争と殺戮の後、私達の多くは、この世の様々な手に負えない問題を平和的に解決する方法や能力を持つ新しい精神と決意のある人類の到来を、21世紀が告げるかもしれないと希望を持ちました。実際私達は、戦争は紛争を解決するよりも更に悪化させるという過去の教訓を世界の指導者たちが学ぶよう望んでいました。ですから、戦争遂行以外の方法を捜し求めなければなりません。戦争に訴えずに紛争解決に成功すればするほど、私達は神に近くなるでしょう。平和の実現者となるよう私達を招いておられる平和の神に。私達は、人間が自分のイメージの中で作り上げてきた神、つまり、相手の敗北や損害を喜ぶ人々を戦へと招く、戦争の神の原始的概念を、脱ぎ捨てることが出来ます。

 聖書の中では、神は戦争を終結し人々を平和実現へと招く者と見なしていることは明確です。
   主は…地の果てまで、戦いを断ち…(詩篇46:9)
   国は国に向かって剣を上げず もはや戦うことを学ばない(ミカ書4:3)
   平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる(マタイ5:9)

 聖書の神は、罪人や悪人の死や滅びを喜ばず、彼らの救いと解放を喜ぶ、そのような神です。イエス・キリストに於いて私達が知ることになった神は、多大な犠牲を払っても迷った子羊を探し出し、群れに連れ帰る方です。神は、他人を殺すことを選ばれずむしろ彼らのために自分を犠牲にする方です。

 キリスト者を名乗るブッシュ大統領とブレヤー首相が、テレビに頻繁に現れ戦争遂行について話すとき、彼らは、聖書のある部分に出てくる原始的な戦さの神を代表しています。私達はそれを受け入れられません。私達は、彼らが聖書の精神やメッセージとは反対の行動を取っていると思います。彼らは"平和を実現する者"ではなく、"戦争を実現する者"であり、このことを私達キリスト者は恥ずかしく思います。ジョージ・ブッシュや、トニー・ブレヤーといった神に、私達は従えないことを明確にしておきたいと思います。私達は平和を望む神、平和を愛し、追求することにより私たちを神の子どもとして下さる神に従います。

 私達は中東での生活体験から、イラク戦争が、平和も攻撃の危険度の減少ももたらさないことを知っています。世界やその全域を不安定にし、テロの危険度や恐怖を激化させることは確かです。戦争が長引けば、平和のために何をなすべきかを知らない戦争に身を売る数人の指導者のために(平和への道をわきまえていたなら…ルカ19:42)、更なる戦争、暴力、多数の無実の人々の死をもたらすであろうことを恐れます。

 今日、何がこの世に平和と安全をもたらすでしょうか?

 第一 権力者は正義を行うことを学ばなければなりません。預言者ミカの言葉(6:8)を繰り返します。神は指導者、と同様に私達全員に"正義を行い、慈しみを愛し、へりくだって神と共に歩むこと"を期待しています。中東問題の大半は、欧米の権力、特に合衆国と英国が、パレスチナに正義を行うのを妨害してきた事実に由来しています。今日大げさでなく、もし合衆国がパレスチナで正真正銘の正義を支援するなら、中東における暴力とテロの多くを減らすことは可能です。このことは、イスラエルによるパレスチナ領土の違法占拠の終わりと、ガザ地区全体と国連決議による東エルサレムを含む西岸地区に、独立可能な主権を有するパレスチナの建国をすることを明確に意味しています。そうすればこの地域全体と世界に、安定と平和の保障がもたらされるでしょう。

 第二 もし合衆国が率先し、他の国々にも先例に従うよう奨励して軍資金を全人類の保健と幸福追求に転用するなら、その結果は目を見張るものがあるでしょう。イラクを打ちのめし、人々を殺し、不具にするために使われるであろう数百万ドルのうちのほんの少しでも保健、教育、経済発展に使われるなら、私達は多くの疾病を根こそぎにし、貧しい人の運命を変えることが出来ます。もし合衆国が、新しい巧妙な破壊兵器を作るのに必要なだけの資金とエネルギーを平和実現のため、創造的戦略を開発することに使うなら、私たちの世界はみなにとってより安全な場所となるでしょう。

 実際、世界で一番裕福で強い国である合衆国政府が、世界の国々を先導し、平和追及のため彼らを動員する代わりに、戦争へと圧力をかけていることは不名誉なことです。合衆国が国家として、自国だけの利益のためでなく、人類のために包括的に考えて世界を先導したら、私達は平和と正義をもたらす本当の道を歩むことになるでしょう。

 第三 国々を戦争に導き国連の援助を強制する代わりに、国連に公的な権能を与え、正しく客観的にその仕事をさせることが合衆国にふさわしいことです。紛争解決への正しい応対は、合衆国ではなく国連でなければなりません。後者は平和的な方法で正義追求の擁護を委任された組織です。合衆国はその権力と影響力を使って、他の国々と国際法の尊重と履行を保障する見張りをすることにより、国連を通して働くことが出来ます。このようにして合衆国が、国家の必要と利益を基にした特定の正義を追求して世界の多くの人々から不正直なブローカー呼ばわりされるより、むしろ、世界の平和と安定に貢献できます。いわゆる自由世界のリーダーとして合衆国は、その言葉と行いにより、国連を通し、人権、民主主義、環境の保護、全人類の尊厳への尊重を促進し、向上させ、育てることができます。国際共同体の望みを確実に実現できます。君臨して自分の望みを他に押し付け、多くの恨みや、いやみを招くより、今日の最も偉大な権力として、世の中の平和の僕になることによりその影響を使うことが出来るのです。

 合衆国、英国、カナダ、スカンディナビア、オーストラリア、ドイツ、フランスの友人達の勇気に、また、戦争に対し強い立場を取り続けている他の様々な国やキリスト信者のために、神に感謝いたします。彼らは皆、戦争の力より、平和の力を信じています。イラク戦争に反対し、回避のため働き祈っている全ての人々のために神に感謝いたします。

 戦争が選択肢の一つであってはなりません。全能の神、恵みあふれる愛する神よ、イラク戦争を回避するため私たちを強めてください。

 世界中の兄弟姉妹の皆さん、平和のために祈り、働いてください。私たちが"地の果てまで戦を断つ"神の平和の道具となりますように。



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