エルサレムからのHOT NEWS
−イスラエル・パレスチナの紛争の解決を願って−

この記事はイスラエルより発信されている「NONVIOLENCE (非暴力)」のホームページより、製作者 ラエド・アブサリア神父様の許可を得て「聖地のこどもを支える会」で翻訳したものです。


オリーブ・ブランチ NO.185

2003年クリスマスの嘆願? 
                
ハリー・ハゴピアン博士(KSL-KOG)

       

(ことば)の内に命があった。命は人間を照らす光であった。(ヨハネ1:4

 2002年12月25日! およそ2000年前の、ベツレヘムのみすぼらしい飼葉桶でのイエスのご生誕を、キリスト教世界の大部分が今週祝いました。もっとも、クリスマスはとりわけ神の永遠の言葉の受肉の奥義を祝うためのものですが、世界中の多くの場所ではマルドワインとミンスパイ、七面鳥、プレゼントのための時期としてより一般的になっています。現世的な喜びがインフレを起こす中、霊的な価値の後退は顕著です。

 カルメル山の聖母教会で今年のミサに与っているとき、私の心はエルサレムの南7キロのベツレヘムにありました。子ども−神の子である救い主イエス−を産もうとして、宿を探していたマリアとヨセフを歓迎しなかった小さな町へと、私の心はいざなわれました。なんという悲しい現実でしょう。正義と愛、平和のメッセージが、この町から世界中に向けて2000年前に宣言されました。それなのに、今同じ町が憎悪と流血、屈辱に直面しています。これがクリスマスにふさわしいメッセージでしょうか。そしてクリスマスを自分たちの家庭で祝っている私たちの大多数は、ベツレヘムに住むキリスト教徒が今日味わっている苦しみの大きさを理解することができるでしょうか。

 つい1週間ほど前、米国修道者会議の指導者の代表団が、イスラエルとパレスチナの被占領地域を訪れました。代表団は男子修道院長会議と女子修道者指導者会で構成されています。この2つの運動は1500人の男女の宗教指導者で構成されます。これらのメンバーは、合計で優に100,000人を超えるカトリックの修道女と修道士、司祭を擁する、米国の700以上のカトリックの機関の責任者です。この代表団にイングランド・ウェールズ修道者会議の代表団が加わりました。

 代表団は12月17日にメッセージを発表しました。そのメッセージは痛切で苦痛に満ちたものです。聖地に根付いた絶望とフラストレーションについて述べています。そして、外出禁止令や入植地、逮捕、水の収奪、土地の没収という体系的な暴力に来る日も来る日も脅かされている、多くのパレスチナ人キリスト教徒の不安をはっきり述べています。また、検問所によって分断された領土に閉じ込められ、自分自身の土地で移動する一切の自由をパレスチナ人が奪われていることを語っています。一般の人々の苦しみを目の当たりにして、代表団は聖書との類似点を比較しています。「はりつけにおいて屈辱を受けられたイエスのように、パレスチナの人々は日々封鎖と外出禁止令のあいだ中屈辱を受けています。イエスはパレスチナの人々の内におられ、検問所でまだ苦しみを受けられています。」

 同様に、この合同代表団のリーダーは、自爆テロ攻撃の標的となるイスラエルのユダヤ人が直面する、ぞっとするような恐怖と死、破壊、嘆きについてはっきりと述べています。暴力的な破壊行為と残虐さ、非妥協的態度の中にあって、「希望はどこにあるのだろう。死と破壊に取り囲まれ、私たち女子修道者と男子修道者は新たな生命と復活をどのように見出すことができるのだろうか」と代表団は問いかけています。しかしながら、カトリックの指導者たちは、不正な占領が終わり、パレスチナの人々が自分たちの町で安全に生きることができるようになった時に初めて平和が訪れるという信念を明かにしています。これらの指導者は、パレスチナ人の祖国が実現されなければ、イスラエルに平和は訪れないと言っています。

 苦痛と絶望の中で努力する、イスラエル人とパレスチナ人の、平和を実現する人々の困難で往々にして見逃されている働きを代表団は称賛しています。そしてまた「占領と抑圧、暴力に直面しているのに、国際社会はほとんど沈黙している」という、パレスチナ人キリスト教徒のコミュニティーの深刻で苦しい絶望について述べています。聖地の苦境に関する西側世界の「完全な沈黙」について、地元のキリスト教徒は執拗に述べています。

 この海外からのカトリックの代表団と同じ意見を、それに劣らぬ迫力をもってローマン・カトリック教会のエルサレム管区ミシェル・サバ大主教は述べています。2002年クリスマスメッセージの中で大主教は「すべての善意の人々と国際コミュニティー、そして世界中の私たちのすべての教会は、目を覚まして、この地の両民族が正義と平等、尊厳に基づく平和を実現できるように手伝いに来て欲しい」と要請しています。また、復讐心に燃えた、不条理な、この昔の預言者たちの土地に住むパレスチナ人とイスエル人の指導者たちに挑みました。当然ながら、パレスチナ・イスラエル双方の現在の政治指導者への焦燥を表明し、不当な行為をやめて平和を築くようにと両者に大主教は訴えています。大主教はまた、イスラエルによる占領が全ての悪と困難の源であるとして、占領を終わらせるよう要請しています。

 ベツレヘムで平和の君がお生まれになり、イザヤの預言(イザヤ 9:6)は今週成就されました。イエスのご生誕は、聖地の男女の心に平和をもたらすでしょうか。イエスのご生誕によって、不正と屈辱を止めることができるのでしょうか。それともイエスの人間としてのご生誕は、強大な力を持つ者のごう慢により気づかれないままでいる神の願いの1つにすぎないのでしょうか。

クリスマスおめでとうございます。
天のいと高き所に神に栄光、地には善意の人に平和あれ。



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