エルサレムからのHOT NEWS
−イスラエル・パレスチナの紛争の解決を願って−

この記事はイスラエルより発信されている「NONVIOLENCE (非暴力)」のホームページより、製作者 ラエド・アブサリア神父様の許可を得て「聖地のこどもを支える会」で翻訳したものです。


オリーブ・ブランチ NO.185

タイベ村、キリストの誕生を祝う 
                          マリア・C・コウリー

「今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。 」(ルカ 2:11

 クリスマスイブの夜、小さなタイベ村のカトリック教会は、キリストの誕生を賛美する25人の聖歌隊の天使のような声で満たされました。聖歌隊は、教区司祭として初めてクリスマスを私たちと共に祝うラエド・アブサリア神父の司式するアラビア語の夕拝で、数時間にわたり歌を歌いました。これは、週に一度、学生聖歌隊の指導者として、教会のために精一杯の奉仕をするよう生徒たちに働きかけているSuhail Nazal氏の惜しみないご協力のおかげで実現したことです。フランス出身のボランティア学生ステファンもまた、聖歌隊の指導に積極的に関わってくれました。小さな村にこれほどの才能が溢れているとは驚くべきことです。この美しいクリスマス礼拝に耳を傾けていると、どんな言葉で話をしようが、神に祈りを捧げるためには心が大事なのだと改めて思いました。

 ユリウス暦で言うところの12月25日までまだ13日待たなければならない私のような人も列席していたため、立見席も含め教会内は人でいっぱいでした。オスロ合意以降、キリスト教徒の連帯を社会的レベルで促進するために、西岸地区の町や村は、西洋暦でクリスマスを共に祝い、正教会の暦で復活祭を祝うことにしたのです。しかし、実質的には正教会の礼拝の内容が変わったわけではありません。この合意は、同じ日にクリスマスを共に祝う社会的機会を促進することを目的に行われたものです。しかし、この二年間は、かつて村の慣習として行われていたような、街頭のクリスマス装飾もなければクリスマスキャロルもなく、またキリストの誕生を描いたクリスマスの壁画もまったく見当たりません。2000年9月以降は、祝日に行われるボーイスカウトの行進も見なくなりました。聖地からは、クリスマスのお祭り的な側面はすっかり姿を消してしまいました。しかしもちろんキリスト教徒として、心の中では主なる救い主キリストの誕生を祝ってはいますが。
「言(ことば)は、自分の民のところへ来たが、民は受け入れなかった。しかし、言(ことば)は、自分を受け入れた人、その名を信じる人々には神の子となる資格を与えた。 」(ヨハネ 1:11-12

 暴力や死が依然として私たちを飲み込んでおり、心の中にある喜びの気持ちを文化的・社会的レベルで表現することはできません。日々の破壊や抑圧が私たちの生活を支配しています。村の主要な入り口が閉鎖されてからすでに一ヶ月が経ちました。米国領事やイスラエル地区の連絡事務所に道路を開通してもらえるよう手助けを求めましたが、結局無駄骨に終わってしまいました。基本的に、私たちは壁のない牢獄に拘留されているようなものです。西岸地区のあちこちに作られている防衛用の壁や高いセメントのブロックを見ると、イスラエル人がパレスチナ人に顔を合わせなくても済むように、もしくはパレスチナ人と付き合いをしなくても済むように、ゲットーを作ろうとしているようにしか思えません。パレスチナ人の基本的権利はすべて否定され、文字通り、感情的、物理的、心理的、精神的に絞め殺されている状態なのです。

 キリスト教徒として、私たちは平和的な解決を促し、この恐ろしい抑圧に対する非暴力的な手段を模索していかなければなりません。このクリスマスシーズンにあたり、このようなひどい抑圧下に置かれている聖地の人々のために祈ってくださることに感謝します。
キリストが生れた!キリストを称えよう!



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