オリーブ・ブランチ NO.184
平和の文化
イーサ・カッシシエ
2年以上にもわたる、継続する暴力と、その結果生じた人々の苦難のために、平和への支持が、恐ろしいほど低い水準にまで落ち込んでしまいました。憎悪と不信が支配し、「やつら」と「われわれ」という言葉が、オスロ合意の主要な基本的要素である「われらの共通の利益」に取って代わりました。それゆえ、パレスチナとイスラエルの関係はもはや双方にとって好都合な勝者−勝者の状況ではなく、片方が勝者となり他方が敗者となる状況です。
そのような一般認識は、ゼロサム・ゲームの時代、とりわけ、深刻な歴史的闘争の絶頂に築かれたマドリッド平和会談以前への逆行を意味します。現在のパレスチナとイスラエルの人々の間にある誤解と否定的ステレオタイプは、心理的障壁を更に深める結果となりました。
現在パレスチナとイスラエルの平和活動家は、双方の世論における支配的なイメージが、政治的変革への最も大きな障害になっているという絶対的確信を持っています。それは和平プロセスを阻害するマイナスの機能となっています。勇気ある人々は既に理解しているように、占領は、被占領者を抑圧するとともに占領者をも道徳的に腐敗させる、不安定さの主要な源であるということを認識することが絶対に必要です。
持続する平和−平和の実現−のための要因は、草の根レベルからホワイトハウスの門口に至るまで周知されてきました。平等と対等、権利の完全な承認に基づいた、2つの国家という解決策のビジョンは、平和と友好的な将来の隣人関係を実現する唯一の方法なのです。言い換えれば、育てるべき平和の文化は、まずパレスチナとイスラエルの間の政治的な相違と経済的不均衡を解決するものでなければなりません。さもなければ、その熱望しているビジョンは、流血の悪循環に飲み込まれてしまいます。平和の文化は、すべての人の政治上の権利だけでなく、経済上の権利をも尊重するもののはずです。故に、それは社会の内部における民主化レベルと切り離して評価することはできません。平和の文化の使命は、女性の完全な参加と権利付与の下、非暴力と基本的権利の尊重、自由、理解、寛容さらに団結に基づいて、共通の、価値と態度、行動、生活様式の総体を育てることです。
このような状況の中、各々の基本的な権利に取り組んで行く中で、イスラエル人とパレスチナ人は、対話と平和教育、協力を唱道する過程を通して、恐怖と不信という心理的障壁を克服することができます。
しかし、また一方では、まずパレスチナ人の苦情が公正な方法で解決されなければなりません。そうすることにより、他のなにものでもなく、正義が将来の世代が心から守りたいと思うような平和と安全の、確固たる基礎となるのです。
このような状況の中で、パレスチナとイスラエルの平和活動家が、両社会の間に現在の深刻な亀裂を生み出した、今回のインティファーダの本当の原因に真剣に取り組むべき時が来ています。さらに今のうちに、受容可能な正義ある平和を通して基礎を築き、それがアラブとイスラエルの関係の、新たな持続する枠組みの土台となるようにすることが不可欠です。さらに、民間外交におけるキャンペーンを強化するためには、非常に大きく真剣な努力が要求されます。さらに、平和活動家がメッセージを各々の社会に一層行き渡らせるために、専門のPR会社やメディアのプロを使うことが考えられます。特に、紛争における人間的側面に対処し、信頼醸成措置を再構築するための一貫した努力を行うことは不可欠です。これによって、相互信頼への政治交渉の再開を促がす環境作りを目指します。
また、国連と欧州連合、米国、ロシアさらにその他の各国政府は、パレスチナとイスラエルによる現在の危機の沈静化と最終地位問題に決着をつけるための交渉の再開、紛争の終結を支援する義務があります。国際コミュニティーは、パレスチナとイスラエルが心理的恐怖と不信を克服し、平和教育と平和の文化を広め、相互の市民社会の絆を強めるための役割を担っています。最後に、パレスチナに対する支援国であるドナーは、パレスチナの新たな指導者の登場を促進しようとして、単に何人かの機関のトップとだけ協力するのではなく、パレスチナ市民社会の諸機関と誠実に協力しなければなりません。他者の意思と誠実さ、率直さを尊重することは、第三者も受け入れなければならない平和の文化の一部です。
聖地信徒委員会は全教派のパレスチナ在宅キリスト教徒の団体で、パレスチナの生活全般における、キリスト者の役割の活性化に取り組んでいます。
Webサイト http://www.HolyLandChristians.com
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