エルサレムからのHOT NEWS
−イスラエル・パレスチナの紛争の解決を願って−

この記事はイスラエルより発信されている「NONVIOLENCE (非暴力)」のホームページより、製作者 ラエド・アブサリア神父様の許可を得て「聖地のこどもを支える会」で翻訳したものです。


オリーブ・ブランチ NO.184

ベツレヘムだより(42)    2002年12月19日
トワーヌ・ファン・テーフェレン

 今週ベツレヘムでは、12月12日土曜から15日火曜までの3日間、午前8時から午後4時まで、外出禁止令が一時的に解除されました。その後の3日間は24時間の外出禁止令が続き、今日金曜と明日土曜には、また午前8時から午後4時まで外出禁止令が解除されます。さらに事態を複雑にしているのは、外出禁止令解除の発表のうわさと変更が日常茶飯事になっていることです。たとえば、火曜の夜と水曜の朝は、少なくとも3回の変更がありました。最初に、翌日解除時間があるとの発表がありました。それから完全な外出禁止令に変更されました。それからまた新たな解除時間の発表があり、そしてさら外出禁止令に変更されました。地元のテレビ局の字幕によれば、パレスチナ連絡委員会が変更について遺憾の意を表わし、外出禁止令の出ている間に外出するかどうか自分で決めてもよいと発表しました。実はベイト・サフールの人たちは、外出禁止令が解除されていると思い込んで早朝街に出かけました。しかし、間違っていました。そしてイスラエル軍は市場で人々を集め始めました。その地域では、行政官はきりきり舞いさせられました。スクールバスは出て行きましたが、子どもを乗せずに戻ってきました。いつも醜い音をきしらせ、サイレンとクラクションを鳴らしている軍用ジープが、今日は外出禁止令の解除時間の終了は通常の4時ではなく、1時半であると放送しました。しかし1時半にはみんなまだ通りにいて、イスラエル軍は施行されるはずの外出禁止令を施行しませんでした。明らかに、これらすべては人々の神経をもてあそぶものです。1時間先すら計画することのできない国へようこそ。

 外出禁止令解除終了時間の直後、マリーはヤラを連れていて、通りで軍用ジープとばったりと出くわしました。マリーは手にショッピングバッグを2つ下げていましたが、家を出てごみを出しに行くところだと兵士の一人に伝えました。ショッピングバッグは食料でいっぱいで、その言い訳はもっともらしくなかったので、マリーはまた別の口実を考え、もう1人の兵士に、ヤラの薬を買いに行くところだと言いました。兵士は、「早く買い物をすませてきて、すぐに家に戻れ」と言いました。マリーは「そうね、やっぱり明日にしとくわ」と答えました。ヤラは、半ば不安そうに、半ば自慢げにそのできごとをおばと祖母に伝えに行きました。

 翌日、自宅で仕事をしていると、玄関の呼びリンが鳴りました。2人の男と子どもが家のポーチに立っていて、アッザ・キャンプの向かいを調べているイスラエル軍から隠れていました。3人を家に招き入れようとしましたが、その必要はありませんでした。その後、2度と知らない人を絶対に招き入れてはならないとマリーに言われました。「政治活動家かもしれないし、もしイスラエル兵に見つかったら、家を破壊されるから」と。それは、ほんの2、3日前パレスチナとイスラエルの間の対話に取り組んでいるベイト・ジャラに住む有名な平和活動家に起こりました。その平和活動家が知らないうちに、自分の家の借家人の1人が、タンジムの活動家をかくまっていました。その5階建ての家は完全に破壊されるところでした(実際に庭の塀と、家の中の様々な家具が既に破壊されていました)。ハ・アレツ紙によれば、すんでのところで、米国領事がイスラエル軍に必死に電話をして破壊を中止させたとのことです。この平和活動家は幸運にも、ヒラリー・クリントンを始めとした、海外の多くの人々と関係を保っています。

 2、3日前外出禁止令の間、2台の車が道の真ん中に止められていました。明らかに、運転手が逮捕され車のキーが没収されたようでした。車は停止させられたままの場所で放置されていました。現在の外出禁止令は、今年の春や夏とは少々違っているように感じられます。出歩く人々が増え、外出禁止令がまじめに受けとめられていません。しかしイスラエル軍は、逮捕や殴打、催涙ガスそして停止させた車のキーを没収することで一層厳しく対応しています。場合によっては、車のキーは草むらや、その他の手が届かない場所に投げ捨てられます。また、前回の外出禁止令の際よりも多くの店が開いています。イスラエル軍兵士は、これに対抗して、店に入り催涙ガスを発射したり、商品を床に投げ捨てたりします。1例として、1週間前にベイト・ジャラの手前にあるスーパーで、キリスト教徒だけに販売するようにと兵士が命じたのに、店主がそれを守らなかったためにこのようなできごとが起こりました。

 総じて、クリスマスを祝う気分の人がほとんどいないのは驚くにあたりません。支配的な感情は悲しみと怒りです。これからの1週間、様々な市民団体が非暴力の祈りや示威運動、行進を行うと発表しました。12月24日(総主教のベツレヘム入市)は諸宗派間の祈り、12月25日はベイト・サフールからエルサレム-ベツレヘム間の検問所までのキャンドルライト・デモ行進、12月28日は幼子殉教者の行進、12月31日は正義と平和のベツレヘム行進が予定されています。



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