エルサレムからのHOT NEWS
−イスラエル・パレスチナの紛争の解決を願って−

この記事はイスラエルより発信されている「NONVIOLENCE (非暴力)」のホームページより、製作者 ラエド・アブサリア神父様の許可を得て「聖地のこどもを支える会」で翻訳したものです。


オリーブ・ブランチ NO.180

外出禁止令下に置かれたキリスト教村
                               マリア.C.コウリー

 タイベのような小さくて平和な聖地の村が外出禁止令下に置かれるというのは非常に稀なことだ。イスラエルのシャロン首相がパレスチナ暴動を誘発して以来この2年間、村に外出禁止令が敷かれたのはわずか2回だ。二回目の時には、イスラエル兵に頼み込んで禁止令を解除してもらった。モヒードという名の若者とその婚約者の婚約パーティがギリシャ正教会で催されることになっていたからだ。親切にも兵士が禁止令を解除してくれたおかげで、手拍子をたたき、歌を歌いながら、家から教会まで伝統的なパレードを執り行うことができた。しかし村が直接外出禁止令下にないときでさえ、村の入りタイベ村口は事実上イスラエル軍によって閉鎖されているため、あまり遠くに行くことはできない。あたかも囲いのない刑務所に捕らわれているようなものである。お察しのことと思うが、ユダヤ・サマリアの荒れ野のど真ん中にある小さな村には、生活物資がほとんどない。5軒の小さな食料品店を全部回っても、ヨーグルトのようなシンプルな品でさえ手に入らない。なんでヨーグルトなんかが欲しいのかと思われるかもしれないが、伝統的なアラブの米料理はヨーグルトと一緒に食べるので、ヨーグルトがないと子供たちがメインの料理を食べたがらないのだ。

 私が外出禁止令が発動されたことを知ったのは、シカゴで11月23日に開催される聖地のキリスト教徒についてのシンポジウムに参加するため、エルサレムから飛行機の切符が配達されるのを待っていたからだ。配達の運転手は村外れまできたのだが、切符を届けるために村の中に入ることができず、また私も切符を受け取るのに検問所に行くことができなかった。今もまた、外出禁止令を知らせるイスラエル軍のジープがタイベを巡回する中、私は家で身動きが取れない状態にある。数時間前、パレスチナ人の過激派が村に隣接する路上でイスラエル入植者を襲ったからだ。このイスラエル入植者の殺害の報いを受ける者が見つかるまでは、戸別の捜索が続くだろう。なぜ罪ものない人間が両側で死ななければならないのか?つい昨日も、21歳の罪のない若いパレスチナ人女性が、自宅にいるところをイスラエルの戦車砲によって殺害された。おそらく人々はパレスチナ人女性が悲劇の死を遂げたことを耳にすることはないだろう。しかし、テロリストと思われる者がイスラエル女性を襲ったことを、国際ニュースは間違いなく報道するであろう。そして夕方のニュースでは、その女性についての人間的な物語までもが写し出されるに違いない。しかし日々命を落としているパレスチナ人について尋ねる人は果たしているだろうか?彼らは人間ではないのか?先週1週間だけで、25人ものパレスチナ人が殺された。彼らが誰かの兄弟、父親、祖父、子供、乳児であるかどうか、誰も気にしないのだろうか?みんなが「テロリスト」のレッテルを貼られているのだろうか?イスラエル兵の銃弾を受けた2歳の子供が父親の腕の中で出血多量で死んだ。新しい千年期を迎えた今、テロの定義について疑問を投げかける者は国際社会の中にはいないのだろうか?

 血なまぐさい暴力は止まず、パレスチナのあちこちでイスラエル軍が爆撃を落とし、人々や町々を破壊している。一方でイスラムの自由の戦士たちは自爆テロを繰り返し、イスラエル入植者たちを攻撃している。まるで絶望的な状況だ。両側の狂信者たちが一般庶民の生活を破壊しているのだ。国全体が集団の処罰を受け、報いを受けているのだ。非暴力を訴えるキリスト教徒はその両極の板ばさみになっている。キリスト教徒は、祖国のために殉教するという信念を持っていない。キリスト教徒が平和主義者であるため、このことが時として批判の対象にされることがある。パレスチナに生活するティーンエイジャーであり、その上キリスト信者であるというのは、非常に難しいことだ。少数派であるだけでなく、主流に加わり国のために戦わなければならないというプレッシャーにさらされるからだ。しかし敵にもう一方の頬を向け、敵を愛せよというキリストの教えにどう答えたら良いのだろうか?

 私たちは必死に神に呼びかけ、1948年以来の問題の平和的解決の祈る。パレスチナ人キリスト教徒とイスラム教徒が自分と先祖が生を受けた国において基本的人権を剥奪されているという事実を、なぜ世界の人々は無視し続けることができるのだろうか。日々人間以下の扱いを受けるということは明らかな不当行為であり犯罪だ。アメリカ合衆国大統領、ローマ教皇、国連、欧州連合、そしてロシアが、シャロン首相を説得し占領を止めさせることができなかったのであれば、希望と信頼を神であるキリストにおこうではないか。キリスト生誕の地で正義が行われるよう日々祈りを捧げることで、パレスチナ人キリスト教徒に対する連帯を示そうではないか。「主よ、あなたに向かって叫び、申します/「あなたはわたしの避けどころ/命あるものの地で/わたしの分となってくださる方」と。わたしの叫びに耳を傾けてください。わたしは甚だしく卑しめられています。迫害する者から助け出してください。彼らはわたしよりも強いのです。 」(詩篇142)


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