エルサレムからのHOT NEWS
−イスラエル・パレスチナの紛争の解決を願って−

この記事はイスラエルより発信されている「NONVIOLENCE (非暴力)」のホームページより、製作者 ラエド・アブサリア神父様の許可を得て「聖地のこどもを支える会」で翻訳したものです。


オリーブ・ブランチ NO.179

教皇特使とのインタビュー
                        2002年11月15日  バチカン・シティ

 許しの宣言を行うことにより、カトリック教会は聖地の平和に決定的な貢献をすることができる、と開発援助促進評議会議長パウロ・ジョセフ・コルデス師は語りました。

 ヨハネ・パウロ二世の使節として、ドイツ人であるコルデス大司教は今週、イスラエル、パレスチナ地域を訪問されました。訪問中、コルデス大司教は暴力の耐えない地域で二方向から砲火を受けながら生活するカトリック教徒に対するローマ教皇の支援を表すために、カトリック共同体に40万ドルを寄付されました。

 「戦争と深刻な経済危機が、聖地に住むカトリック教徒に異郷生活を余儀なくさせています。それでもなお、許しと愛を説き実践することで、この地域のカトリック教徒はユダヤとイスラムの兄弟たちが和解できることを明確に示すことができるのです。」

 「このことは、カリタス修道会や、エルサレム大主教、ギリシャ正教会主教、Pontifical Mission for Palestineなどの地域の団体によって促進されている事前活動を通して見ることができます。」

 コルデス大司教が議長を勤める開発援助促進評議会は、世界中のカトリック援助機関の活動を奨励し統合しています。カトリック教徒の存在は断固としたものであり、聖地は死の石となってはならない、と大司教は語りました。

 「その土地にいのちを吹き込むのは人間です。聖地の場合は、その地に住む者、訪れる者たちはその土地のもつ意味を理解する必要があります。もしキリストの墓が単なる美術館に変えられてしまったら、もしキリストの死と復活が聖地で祝われなくなってしまったら、その地は枯れた歴史の遺物となってしまいます。」

 聖地にはユダヤ系キリスト教徒である300人のイスラエル人がいます。彼らの貢献はイスラエル国家により認められており、イスラエル国会クネセトは最近、キリスト教徒とユダヤ教徒間の関係促進に尽力したことを評し、Abbot of the Benedictine Olivettano monasteryに栄誉を授けました。

 大司教は、カトリック慈善事業は主にパレスチナ人を対象にしていると ZENITに 説明しました。これは差別しているわけではなく、パレスチナ人のニーズが非常に大きいからです。「パレスチナ人たちは医療へのアクセスがまったくありません。病院や保険、年金といったインフラが不足しているため、パレスチナ人のニーズの方が大きいのです。」それに加え、パレスチナ人は自由と希望という「精神的な要素」をも必要としています。パレスチナ人は自分たちが捕らわれの身であると感じています。自由に行動することができないことで、生きる喜びが奪われています。町から出るのに一体いくつの許可を取ったらいいかさえわからない、と大司教は語ります。

 それと同時に、「イスラエルが規制を解除できないことも理解できます。もしそうなれば、自爆テロの危険が高まるでしょうから。ですから、状況を打開できる希望がなかなか持てないのです。」と大司教は言われます。

 このような行き詰まりの状況の中でも、米国が影響力を及ぼせる可能性がある以上、ブッシュ大統領にも情報を知らせる必要があると、大司教は強調して語りました。

 「イスラエル政府は米国の言うことに従わねばならないにも関わらず、アリエ
ル・シャロン首相とベンジャミン・ネタニヤフ元首相はワシントンの指示すること以
上のことをやろうとしました。」

 現在、イスラエルとパレスチナ両地域で選挙の準備が行われていますが、自爆テロがあれば、イスラエル右派の票を増やすことになるだけだから暴行騒ぎにはならないだろう、と大司教は言います。

 また、コルデス大司教は、連帯の証を示すため、そして経済を再活性化させるため、カトリック教徒が聖地に巡礼に戻ってきて欲しいと呼びかけています。

 「私たちも聖地を訪れましたが、危険は感じませんでした。テレビでは攻撃のシーンだけを流していますが、そのような出来事は通常の生活を映し出しているわけではありません。人々が戻ってこられるように、聖地のイメージを変えなければなりません。エルサレムを離れるとき、人々は私にこう言いました。『どこへ行かれるのですか?危険ですよ!』」

 「このようなイメージは武力攻撃によって作られたものです。現実はそうではありません。かつては聖地に巡礼のグループが来ていました。クリスマスには巡礼者たちが戻ってきてくれることを願っています。」


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