エルサレムからのHOT NEWS
−イスラエル・パレスチナの紛争の解決を願って−

この記事はイスラエルより発信されている「NONVIOLENCE (非暴力)」のホームページより、製作者 ラエド・アブサリア神父様の許可を得て「聖地のこどもを支える会」で翻訳したものです。


オリーブ・ブランチ NO.174

ラマラのギリシア人女性
−マリア・C・コウリー教育学博士−

 「4月ほどはひどくならないでしょう。」と新任の駐エルサレムギリシア総領事エレニ・ソウラニさんは、ラマラ・ギリシア婦人協会との対話中に述べました。着任したソウラニさんを歓迎し、危機の時に感情的支援と連帯を図るために、パレスチナ人と結婚しているギリシア人女性が集まりました。総領事は、米国がイラクに対して戦争を始めた場合、聖地に大規模なパニックと恐怖が起こるのではないかと憂慮しています。彼女が最も懸念しているのは、ギリシア市民が聖地を退去したくても、ギリシア政府が支援することができないということではなく、イスラエル軍の占領下にある、到達が困難なパレスチナのコミュニティーで外出禁止令が長引くと、封鎖と外出禁止令によってあらゆる民族的背景の母親や子どもたちが飢餓状態に置かれるということです。対イラク戦争が始まれば、既にひどい軍事的状況の下で生活している私たちすべてにとって悲劇的な結果をもたらすでしょう。

 私自身、つい先日まで外出禁止令下にあるタイベで17日間を過ごしました。ラマラがユダヤ教の祝日の間、完全に封鎖されていたからです。完全な閉鎖とは、人々が外出することもできずに、家の中に釘づけにされることです。ナブラスにおいては外出禁止令は既に100日以上も続いています。同じ場所で、一つのグループは祝日を祝って、いつもどおりの生活をおくっているのに、他のグループは動物のように閉じ込められているということは、とても不公平で正義に欠けます。子どもたちはいつも授業を受けられずにいます。イスラエル軍は、このようにして生徒たちの教育の権利を奪っているのです。私は、ギリシア正教会総主教のイリネオス聖下が司式した、私の義父のカナーン・コウリー氏の葬儀に圧倒されてしまいました。人々にとって、この時ばかりは外出禁止令は何の意味も持っていなかったかのようです。

 ヨーロッパの全ての国々は、戦争の非常事態に備えるために協力して共通のプランを立てていますが、これらの国々の各々が個別に自国の市民の安全について交渉しなくてはなりません。悲しいニュースは、もしギリシア市民が戦争状態の下から退去するためにギリシア政府からの助けを受けたならば、1948 年と1967年の場合と同様に、その人たちには帰還する権利がなくなるということです。それゆえに、シャロンはイラクへの攻撃を利用してキリスト生誕の地から人々を追い出そうとしています。ユダヤ系の人々は、たとえそこに一度も住んだことが無くてもイスラエルに帰還する権利を与えられています。わたしの夫のようにエルサレムで生まれて、父親も祖父もパレスチナで生まれ、個人と事業の資産を所有していても、そのような権利は全く与えられていません。パレスチナを離れて生活していた23年間、夫は毎年パレスチナに戻りパレスチナの身分証明書を更新し続けました。さもなければ、彼は自分の生まれ故郷に戻る権利を失ってしまったのです。すべてのパレスチナ人がこのような手続きをふむ余裕はありません。それゆえ、キリスト生誕の地に住み続けているキリスト教徒がいるということは本当に奇跡的なことです。シャロンが、基本的人権を要求しているパレスチナの人々に対して、国家テロリズムを続けた場合、50年後にはキリスト教徒はいなくなってしまうでしょう。

 ギリシア政府はマルガリタ・カペタネアが代表するギリシア婦人連盟の助けを借りて、250人程度いると見られているパレスチナ中のギリシア市民のリスト作成に協力し、万一シャロンが第二のサブラ・シャティラの虐殺を企てている場合に備えて、ギリシア市民の救出を容易にします。私たちに神さまのあわれみがありますように、また世界の指導者が国際問題の解決に平和的な手段と非暴力的な解決策を採るようを祈ってください。戦争は回答ではありません。

 ギリシア領事は、とても心の優しい人で、地域の人々を助け、心から聖地のギリシア人コミュニティーのために尽くそうという意志を持っているようです。私は直ちにタイベの聖グレゴリオスギリシア正教会の住宅プロジェクトへの支援を要請し、キリスト教徒に手が届く住宅を提供することでその村に留まれるように助けてほしいとお願いしました。領事は、教会によって建設され現在イスラエルが取り壊そうとしている、ベツレヘム地域にあるベイト・サフール住宅プロジェクトの置かれている、恐るべき状況について言及しました。聖地においてはいかなる生産的な仕事を行うのも非常に困難です。少しでも前進しようとすると、イスラエル人が軍事政策で私たちを押し返します。 私たちは、一度に何百もの単位で増え続けているイスラエルの不法な入植地に取り囲まれていて、イスラエル人は教会が建てた小さな住宅棟でさえ、破壊しようとしているのです。この地に正義はないのでしょうか。パレスチナ人が国民として生き延びるために耐え忍んでいる差別と、苦しみを思うとたまらない気持ちになります。

エルサレムでの新しいポストはいかがですか。
ギリシア領事:とてもやりがいがあり、勉強になります。

聖地のキリスト教徒についてどう思いますか。
ギリシア領事:キリスト教徒の存在は、抗争を続ける二つの主な陣営の間の均衡をとる役割を果たしています。キリスト教徒コミュニティーはとても和やかで、極端な動きに対してバランスをとる役目を果たしています。

聖地のキリスト教徒の存在はどのくらい重要ですか。
ギリシア領事:非常に重要です。生命であり、心であるキリスト教徒がいない聖地など、どうして考えられるでしょうか。教会や聖堂、修道院だけでは十分ではありません。そこにはキリスト教徒が住んでいなければなりません。

このようなひどい経済状態のなかで、どのようにしてキリスト教徒を留まらせることができるでしょうか。
ギリシア領事:支援のためのプロジェクトを行い、この地に留まることができるようにします。人々が移住するのはやむを得ないからです。移民になりたい人などどこにもいません。人々は普通、家族や親族と共に、自分たちの祖国で生活することを望むものです。

 12人のギリシア人女性との素晴らしい集会の後、総領事は私たちのことを大変気にかけていて、私たちのプロジェクトの遂行をサポートしようと私たちを安心させてくれました。このプロジェクトは、ラマラ地域においてギリシア語を生かし続けるために、木曜と土曜に教室を開き、また音楽会等のプログラムを奨励し、多くの家族が生活必需品の欠乏に苦しむこの困難な経済状況において、全ての人々に人道的支援を与えるというものです。

 ギリシア婦人協会は1999年にラマラで設立され、2000年の秋に始まったパレスチナの蜂起とともに、活発な活動を開始しました。第一の目的はこの地域のギリシア人女性に対して支援と協力を提供し、ギリシアの価値観や伝統をさらに追求し、一つの連帯したグループとして活動することにあります。また、ギリシア婦人協会は、孤児を助けるためのギリシア連帯キャラバンと協力し、父親のいないパレスチナ人の子どもたちに、毎月50ユーロの寄付金を集めます。さらに、ギリシア婦人協会は多くのギリシア人組織と協力し、親が失業していて、子どもの教育のために授業料が必要な家族を助けています。
現在、パレスチナの学校は、教育関連の非政府団体を通して、ギリシアの学校とペアを結んで、単なる財政的な支援に留まらず、協力と文化的理解を押し進めようしようとしています。また、マルガリタとマリア・ベコウは、ナブラスのヤコブの井戸にある修道院のような、孤立したギリシア正教会の修道院と連絡を保っています。そのナブラスの修道院では、イオウスティノス神父に対して17回もの暗殺未遂が起こっています。彼の前任者の修道院長は70年代に暗殺されています。


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