エルサレムからのHOT NEWS
−イスラエル・パレスチナの紛争の解決を願って−

この記事はイスラエルより発信されている「NONVIOLENCE (非暴力)」のホームページより、製作者 ラエド・アブサリア神父様の許可を得て「聖地のこどもを支える会」で翻訳したものです。


オリーブ・ブランチ NO.174

−イスラエル政府が、ベイト・サフールにある100軒以上に及ぶギリシア正教会の家屋やアパートの取り壊しを命じた−

親愛なる兄弟姉妹の皆さん(2002年10月9日)、
 下記はパレスチナのベイト・サフールの市長からの手紙です。ベイト・サフール(聖書の羊飼いの野)はベツレヘムに隣接する住民の大部分がキリスト教徒の村です。村のコミュニティーはイスラエルの侵攻と土地の収奪により、継続的な損害を被っています。イスラエル当局は現在ベイト・サフールのギリシア正教会コミュニティーの建設した住宅プロジェクトの取り壊しを行おうとしています。自分たちがベイト・サフールのギリシア正教会コミュニティーから取り上げた土地に建設したジャバル・アブ・ガニエム(ハル・ホマ)入植地にこの住宅プロジェクトが近づき過ぎているとイスラエル当局はいうのです。この手紙を読んで、皆さんがベイト・サフールのキリスト教徒の兄弟姉妹を助けて下さるように願っています。 

聖地キリスト教徒エキュメニカル基金理事長
聖墳墓の騎士ラテブ・ラビエ

ベイト・サフール市民を代表しての緊急アピール

 イスラエルは、ジャバル・アル・グナイム(ハル・ホマ)に不法に建設された入植地に隣接するジャバル・アル・ディエク(ベイト・サフール)の100世帯以上の家屋とアパートを取り壊すことを命じました。ほとんどの家屋は、ギリシア正教会コミュニティの住宅プロジェクトにより建設された住宅の一部で、残りはその付近の住宅です。この命令が実行されると600人以上の住民が家を奪われることになります。

 問題の土地はギリシア正教会のエルサレム総主教庁が所有しており、ベイト・サフールのギリシア正教会コミュニティーの代表者であるイブラヒム・コウリー神父との間で合意が結ばれています。この合意の有効期間は50年で、それ以降も自動的に更新されると明記されています。この土地の広さは約2万平方メートルで、合意では住宅の建設にあてると明示されています。1995年9月28日ベイト・サフール市当局は、ベイト・サフール市都市計画委員会の権限で建築許可を発行しました。

 ギリシア正教会コミュニティーの住宅プロジェクトは1996年に発足し、各階に2世帯を収容する4階建ての建物15棟から成ります。これらのアパートは120世帯を収容します。現在まで、7棟が完成しており、23世帯を収容しています。もう1棟は現在建設中で、残りの7棟の建設はこれからです。会員制で、協会のメンバーになるためには、既婚者であること、ベイト・サフール在住で、所得が一定額以下で、家を持っていないことという条件があります。

 この協会の目的は次のとおりです:
ベイト・サフールのギリシア正教会コミュニティーに適切な住居を提供する
祖国への繋がりを強め、移住を抑制する
イスラエルによる土地の収奪を食い止める
地域活動と、メンバー相互の協力の強化
メンバーの社会的および経済的水準の向上
職業の機会を提供
被占領地域の経済上の困難を克服するために協力する

 今日までの基本施設に関する工事
ベイト・サフール市当局は住宅に通じる道路のアスファルト舗装工事を行っています。
電気および下水システムを設置

 3月と4月、ベイト・サフール市は他のパレスチナの都市や難民キャンプと同様、イスラエルによる完全な侵攻下におかれ包囲されました。2002年5月29日イスラエル軍はベイト・サフールの住宅プロジェクトの全戸に対し住居の取り壊しの通達書を出しました。この行動の理由としては次の三つがあげられています。
1) それらの住宅はハル・ホマ(1995年にベイト・サフールから収奪された土地に不法に建設された入植地)に近接している。
2) 目下建設中のイスラエル人専用道路の経路にそれらの住宅が近すぎる。
3) その住宅はオスロ合意IIでCと宣言された地域に位置している。この土地自体はベイト・サフール市の境界内に位置するが、この合意では新たな住宅の建築許可はベイト・エル(イスラエル当局)のみが発行できるものとしている。

 住宅の取り壊しを通告された家族が、一人の弁護士を全員の代理として選任しました。裁判所で異議申し立てが行われ、第一回目の審理が6月25日に行われました。この審理において判事は、本件について延期を宣言し、新たに7月25日という日程を定めました。裁判は再度延期されました。パレスチナ人に課せられた移動の制限のために、司法制度の利用さえも困難であることが判明しました。市当局に勤務する国際ボランティアが、必要な文書や書類を届けるためにエルサレムとの間を往復していました。彼女は外国人であるにもかかわらず、検問所でイスラエル軍兵士による、理不尽な検査と虐待にあっています。

 2002年9月17日にベイト・エルのイスラエル当局は100世帯以上を取り壊す命令を出しました。2002年9月29日に、この一件は西岸地区都市計画のためのイスラエル軍事法廷に提出されました。土地と家屋の所有権を証明する書類が提出され、現在決定が下るのを待っています。

 私たちは、この地域で既に多くの土地が収奪されるのを見てきました。そして、イスラエル人が法的手段を用いて私たちの所有地を奪うのを阻止しようと幾度も試みました。そのため、今回も私たちは決して楽観していません。これらの決定に対して、抗告を行う猶予が与えられるものの決して勝訴することはありません。これはイスラエルとパレスチナ人の間の全ての裁判についても同様です。

 ベイト・サフールのコミュニティーは、大変堅固で、困難な状況における結束力でよく知られています。私たちは、住宅プロジェクトの現場で連帯集会を計画しており、この問題を担当する委員会を組織しました。2回の連帯デモが行われ、多くのベイト・サフールの市民が、これらの住居を建てるために大変な労力と資金を注ぎ込んできた家族と行動を共にしました。この人たちの努力が水の泡になることも、私たちの土地に対する収奪が続くことも望んでいません。更に、私たちは全ての領事館と大使館に対し、この破壊の予告が現実のものとなることを阻止するために連帯と支持を訴えています。

 どうか、直ちに住宅の取り壊しの阻止のための、介入と行動をお願いします。

ベイト・サフールのコミュニティーを代表して
ベイト・サフール市長 ファウド・コカリー


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