エルサレムからのHOT NEWS
−イスラエル・パレスチナの紛争の解決を願って−

この記事はイスラエルより発信されている「NONVIOLENCE (非暴力)」のホームページより、製作者 ラエド・アブサリア神父様の許可を得て「聖地のこどもを支える会」で翻訳したものです。


オリーブ・ブランチ NO.173

ベツレヘム学生集会での大主教のスピーチ
−2002年10月2日ベツレヘム−
◆◇ ローマカトリック教会のエルサレム大主教は9月25日(水)、
ベツレヘム地区で行われた集会(降誕広場で開催)を司式した。
以下はそのスピーチです。 

親愛なる学生のみなさん、
 新しい学年の始まりにあたり、私たちは生誕教会の前に集まりました。聖地における教会の長である私たちは、キリスト者もイスラム教徒も同じなのだということをみなさんにお話しにきました。恐れてはなりません、疲労に屈してはなりません、希望を失ってはなりません。決意と熱意を持って新学年に臨んでください。勉学に専念し、将来に備え、神と祖国を信じつづけてください。

 私たちは歴史的にも非常に困難で重要な時期を通り抜けてきました。そしてまだその只中にあります。愛と活気に満ちた日々を送る代わりに、あらゆる残虐行為を目にしてきました。愛や幸福、生命ではなく、死や憎しみに苦しめられました。パレスチナの街中が、外出禁止、封鎖、通行止め、学校閉鎖の状態にあります。このような状況にもかかわらず、みなさんにお願いをしたいのです。信仰や希望を失ってはなりません。力と愛を持って、自由と尊厳ある未来を築くべく自らを備えてください。

 「忍耐によって、あなたがたは命をかち取りなさい。」(ルカ21.19)この苦しみがどれだけ長く続こうとも、私たちは揺るがぬ信仰を持ちつづけなければなりません。この苦しみはまだしばらく続くでしょう。私たちの運命は、学校から帰る途中人の手ではなく神の手の中にあります。この世に生きる私たち人間は計画を立て、神は人が計画を進めることをお許しになります。人は殺し、攻撃し、家々を破壊し、学校を閉鎖します。しかしそれでも、神はなお力強く、神の力と愛によって私たちは抵抗する力を得ているのです。誰一人として、占領を許すことができる人はいません。誰一人として、自由を奪われることを容認することができる人はいません。街の包囲攻撃や、限られた仕事の機会、学校の閉鎖は、基本的な人権の甚だしい侵害なのです。

 私たちは、この包囲攻撃に終止符を打ち、学校を開校するよう、イスラエル当局と国際社会に要請します。そして、パレスチナの人々を尊重し、自由と尊厳を求める彼らの声に答える真の平和の道を歩むよう強く要請します。軍事力は破壊と混乱を招いても、私たちが待ち望む平和をもたらすことはできません。軍事力は人を殺しても、国際的に認められる自決や自由、尊厳に対する絶対的権利を主張する人々の魂までをも殺すことはできません。双方の人々を死や憎しみから免れさせ、敢然と命の道を歩んでいこうではありませんか。

親愛なる学生のみなさん、
 勉学にいそしみ、学校生活を大事にしてください。みなさんの希望で両親や先生方を支えてください。固い決意と忍耐を持ち、恐れることなく力強くいてください。みなさんは子供時代を奪われ、多くの苦痛を受けてきました。それでもなお、いつかある日、必ずや自由と尊厳を享受できる祖国を築くために、忍耐を持ってすべてに耐え抜き、あらゆる侵略に抵抗する備えをしてください。

 みなさんは、平和と愛の使者として遣わされたイエスの生まれた地、ベツレヘムの子供です。イエスが伝えた同じ愛をもって、みなさん自身や、親たち、そしてこの地に向けられるあらゆる攻撃を止めることはみなさんの仕事であり義務でもあります。愛は力であり、弱さでも降伏でも譲歩でもありません。神は愛であり、神は互いを愛せよと教えておられます。この愛があるからこそ、あらゆる敵や侵略者に立ち向かう強さを持つことができます。この愛があるからこそ、あらゆる武力や武器をなくし葬り去ることができるのです。

 みなさんの子供時代や青春時代そして祖国に対するあらゆる攻撃に抵抗できるよう、力と忍耐をお与えくださることを主に祈ります。みなさんを取り巻く死の災いに抵抗できるよう、神がみなさんを愛で満たしてくださるよう祈ります。この地を喜びと活力で満たすために、神がみなさんを力と愛で満たしてくださるようを祈ります。


もどる


HOT NEWSのもくじ

トップページに戻る