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 明日は、憧れのモン・サン・ミッシェルへ出かける日。朝9時5分、モンパルナス駅から出発する。TGVのチケットはさっき買ってきた。

 パリは今日で三日連続の快晴。少し寒くなってきた。
 明日も晴れてくれるといいのだが。
12/8(Sat)
 何かをしようとして、すんなりうまくいった試しがない。今日も、たどり着くまでにいろんなトラップにやられた。
 でも全て、ほんのささいなこと。
 素晴らしい景色に会えた。今回の旅での、これまでで最大の収穫。忘れない。
12/9(Sun)
 昨日の夜は、疲れていたのか早くに眠った。モン・サン・ミッシェルでさんざん歩き回ったあと、レンヌ駅に戻るまでにかなり迷ったり、ガソリンスタンドでの給油に手間取ったり。
 今日は起きてから食材の買出し。カニを一匹買う。塩茹でにするつもり。それからモンパルナス墓地に寄ったあと、近くのクレープリーに入り、これを書いている。チョコクレープに、ショコラ・ショー。脳髄までチョコレート色に染まったよう。めちゃくちゃに美味い。
 それにしてもあの女店員は、後ろから見るとTバックが丸わかりだ。わからないために履くのではなかったか、Tバックは。
12/11(Tue)
 シテ島の鳥市を見てから、カフェに入った。目の前の大通りの片車線を独占して、ローラースケートを履いた子供達が大挙して走り去っていく。ポリスが前後で護衛をしている。何かクリスマスの催しだろうか。
 リヨンから昨日帰ってきた。向こうも寒かったが、パリもかなり寒くなった。首からすっぽりかぶれるフードをロンドンで買っていたので、使うことにする。自転車だと、相当厚着をしていないと、体にこたえる。
12/16(Sat)
 ……パリは雪です。
 
 ショコラ・ショーがめちゃくちゃおいしいという、マドレーヌ寺院そばのカフェ「ラデュレ」に来た。昨日はクリニャンクールの蚤の市まで遠出をしたので、今日はこの辺りまで。アパートから30分ほどで着く。
 飲んでみる。おお!なんだなんだこの濃厚な味は。お茶のようにも思える。しかし、あんまーい。もんのすごくあんまーい。一緒に頼んだミルフィーユと一緒に食べてちょうどぐらいに感じる、ショコラ・ショーの甘さよ。そしてポットに入ってたっぷり2杯分はある。良きかな。
 今日はここでゆっくりしようかと思ったが、次から次から入ってくる客の多さにそうもいきそうにない。早めに帰ろう。夕食は、魚をホイル焼きにする予定。名も知れぬ白身魚を、午前中に買ってきてある。
12/18(Tue)
 モンパルナスからアンヴァリッドを越えると、セーヌ川に向かう大きな緑地が広がる。この広い道路を自転車で飛ばし、アレクサンドル三世橋を渡る時、左手後方に大きくエッフェル塔が顔を出す。シテ島近くのセーヌ河岸と同じぐらい、ここの景色は好きだ。橋の欄干にそびえる金ぴかの像は少し大袈裟だが、ここからはコンコルド広場のオベリスクも、振り返ればモンパルナスタワーさえ見える。

 パリの東にある新都心、デファンスに行ってきた。クリスマスのマルシェが出ていて、しばらく見て回ってから、ケバブというトルコ料理を買って食べる。半球形のパンの中に、炒めた肉や玉葱が入っている。リヨンでも食べたが、結構イケる。
 こちらでの生活も、もうあと一週間となった。
 明日は、ベルサイユまで足を延ばすつもり。左岸からだと、RERで40分ほどで着くそうだ。
12/19(Wed)
 ベルサイユに行ってきた。宮殿の中は意外に狭く、すぐにけりがつく。入る前の広場のほうが、ベルサイユに来たーっという感じがする。
 ただ、鏡の回廊は確かに凄い。サント・シャペルを初めて見た時ぐらい感動した。
 その後は、広い広い庭園を散策。宮殿の入り口で買っておいたサンドイッチを食べてから、水路を抜け、グラン・トリアノン、プチ・トリアノン、王妃の家、と渡り歩く。王妃の家あたりの家並が面白い。絵に描いたような窓が、本物だったりする。マリー・アントワネットが「田舎の暮らしをしてみたい」と言って遊んでいたのはここらあたりだったか。
12/20(Thu)
 ブーローニュの森にもう一度行って来た。ビデオで自分の姿を撮るため、ベンチにカメラを置き自転車に乗っていると、通りかかった人に持っていかれそうになり、慌てる。

 近くにあるサッカー場「パルク・デ・プランス」は外からしか見られず、大したことはなかったが、テニスコートの「ローラン・ギャロス」は、センターコートの観客席に入ることができた。
 この時期、コートは整備されておらず汚かった。しかし、ここであの全仏オープン決勝が行われるのだと思うと、ちょっと興奮する。

 ブーローニュを抜けると、凱旋門がほど近い。ここからコンコルド方面は緩やかな下り坂なので、自転車のペダルを開放し、歩行者の群れの間をゆっくりとすり抜ける。
 ここに自転車で来るのはこれで最後だろう。旅は既に、まとめの時期に入っている。
12/21(Fri)
 朝一番はご機嫌。アパートの近くにシャム猫を飼っている家があり、一度だけ窓のそばに座っているのを見た。以来、通るたび覗いていたのだがもう姿を見せることはなかった。
 それが今日、久しぶりに会えた。喜んで窓越しにビデオを撮っていたら、その家の主人が気付き、ドアを開け、中に入れてくれた。
 猫は奥に逃げてしまい、触ることはできなかった。もともと臆病な猫だったのだろう。主人には「可愛い、猫、ですね」ぐらいの単語を並べ、握手をして別れた。
 いい気分でヴァンヴの蚤の市まで自転車を走らせていたら、通行人とぶつかってしまう。周りの人からもひどく怒られ、シュン。
 凹みつつ蚤の市を歩く。クリニャンクールとはかなり趣が違い、アンティークが主だ。どうみても実用的でない皿やコーヒーミルなんかがずらりと並んでいる。どれも大きくて重たくて、観光客向けではない。みやげ物を探すなら、クリニャンクールに行くのが無難だろう。
 店をほっぽり出してトランプに興じるおじさん達もいて、値段を聞かれた時だけ「100フラン」などと投げやりに答えているのがおかしかった。そんな朝の風景を見ているうち、気分も晴れていた。

 午後は、カルチェ・ラタンから、シテ島近辺をぶらぶら。中世博物館に初めて入ってみたが、入った瞬間、「あ、ここ好き」と思った。
 キリストの首だけの木彫りがあった。あまりに凄くて、しばし呆然とする。
12/22(Sat)
 アパートはパリの14区、南西部に位置する。ここから観光要所に出向こうとすれば、まっすぐ北にのぼるか、北東に向かうか。北ならメーン通り、北東ならサン・ミッシェル通りが都合が良い。
 サン・ミッシェル沿いに見えるリュクサンブール公園の緑が好きだった。ここからシテ島に北上すると、セーヌ川沿いに、いかにもパリという景色が広がる。そこを颯爽と自転車を飛ばすのも好きだった。
 バスチーユの自転車屋に行く。長く連れ添った相棒を返す時が来たのだ。最後に、バスチーユ広場を背景に写真を撮った。僕の手を離れた緑のプジョーは、スタッフの腕に支えられ、コロコロと店の奥へと転がっていった。
12/23(Sun)
 クリスマス・イブ。今日は街に出て、雰囲気を味わうつもり。とはいってもこちらでは、本番は明日らしい。今日は店が開いているが、明日は閉まるところが多いようだ。
 疲れが溜まっているらしく、朝の寝覚めは悪い。昼前までアパートで過ごし、今日はもう一度、中世美術館に行ってみた。
 ゴブラン織りのユニコーンのタペストリーや、あのキリスト像を、今度は入念に見た。ここはやっぱり性に合うようだ。絵を見ていても、びんびん心に響いてくる。ルーブルやピカソ美術館では、こんなことはなかった。
12/24(Mon)

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