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Camellia Sinensis -
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言う間に、オーナーは三つのカップに淡いオレンジ色の水色の液体を手際良く注ぎ入れた。カップの上の銀のストレーナーをこして立ちのぼるベルガモットの薫りが、ほんのりと甘さを誘う。 「さぁ。どうぞ、」 オーナーの入れるお茶と珈琲、そして茶菓は魔法の媚薬だ。これを戴いてしまえば、僕はきっと悟浄のわがままを聞き入れてしまうのだろう。 この人には叶わない・・・ 「鳩羽さんは、白い羽を持った悪魔のような人ですね」 やれやれ。 記憶をたどる。新年が明けて一週間が過ぎたあの日、悟浄が言った一言が、僕の悪夢のはじまりになる。そして忘れもしない、その言葉を聴く数時間前、ふらりと寄った「ペットショップ」で不覚にも、僕は一匹の猫に一目惚れをしてしまったのだ。 僕は、白くて、ふわふわとした猫耳の少年を衝動買いした。 |
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