Umbrella
<7>
何でだ?!
何で…!!
簡単な事じゃねぇか…っ…
見せ付けられたのは、飛び散る血しぶき。
血。
野望。
強く折れる事のない、槍。
その眼差しの向こうには、己が諦め、そして諦め切れずにぐずぐずと胸に燻り続ける果てしない海が広がっていた。
悲鳴を上げそうだ。
叫び出しそうだ。
求めていたものは、何…?
夢。
激しい想い。
激しい葛藤。
「行こう!!」
差し出された小さな傘に、戸惑いながら潜り込む。
大きな傘の下、守り、守られていた。
まだ、振り込む雨に濡れる程小さな傘かもしれない。
それでも、踏み出してしまった。踏み出す事を望んでいた。
前を向いて、振り返らず、進めばいい。
それが自らが決めた事。
「こンの…クソゴムーっっっ!!!」
「わわっ!バレたっ!」
「長っ鼻っ、トナカイっ!テメーらも共犯かーっっ!!」
「サ、サンジくん、ここは冷静に話し合おうっ!!」
「ああ…ウルサイ…」
「あっ!ナミさーんっ!スミマセン、コイツら蹴り上げたら、すぐにおやつ持ってくるからね〜っ!」
「ずりぃぞー、サンジ〜っ!!」
「テメーは、今盗み食いしてたろうがっ!!」
「てゆーか、よくこのウルサイ中寝てられるわね…この馬鹿」
「ナミさ〜んvvおやつだよーっvv寝腐れてるマリモなんて放って、素敵な笑顔をオレに見せてくれ〜vv」
「この船は、アホとバカばっかり…」
揺れる海賊旗。
青く澄んだ空は、奇跡の海に続く。
雨が降ろうと、嵐が吹き荒れようと、その旗が折れる事は無いだろう。
オレの掌は、もう掴めないものなんて
何も無い。
2003/8/21